東尾久に「タバタバー」?田端4代目の挑戦とクラウドファンディング

お店の正面。一度見たら忘れられそうにない看板です。

尾久銀座商店街の1本西側の通り。
この通りをひたすら南に下ると見えてくるインパクトの強い立ち飲み屋さんがあります。

このお店こそ今回ご紹介する「タバタバー」です。
2018年11月30日にこのお店をオープンされ、奥様と二人で切り盛りされている櫻井寛己(さくらいひろき)さんにお話をうかがってきました。

※記事の最後には、7月1日から開始したクラウドファンディングの案内があります。

店主の櫻井寛己さん(29)。このエリアで20代が運営するお店は珍しい。

– 荒川区東尾久の「タバタバー」とは?

東尾久エリアにお住まいでも都電荒川線や日暮里・舎人ライナーではなく、JR田端駅を普段使いの駅として利用される方が少なくありません。
それほど田端と尾久は近接しており、まとめて「田端・尾久エリア」と言う人もいるのだとか。

また櫻井さんは四代にわたり田端で商売されており、まさに田端とともに生きてきた一族。
現在ご実家の商売はコンビニで、寛己さん自身も週5回はローソン田端新町二丁目店に店長として立たれています。

さらに2016年には田端をテーマにしたウェブマガジン「TABATIME」を立ち上げ、編集長を務めてきました。

櫻井さんにとって田端はアイデンティティと言っても過言ではありません。

だから、「タバタバー」。

カウンターに立つ櫻井さん。

ここは北区に近い荒川区側ですが、お住まいの方々にとっては区の違いはほとんど関係がありませんよね。
このあたり、田端・尾久エリアにお住まいの方に広く来ていただければと思っています。

タバタバーを開業するに至った経緯や思いは、TABATIMEのこちらの記事に詳しいので、あわせてご覧ください。

– 狭いから居心地が良い。お店の雰囲気は。

夜のタバタバー。

タバタバーがこの地にオープンして、まだ8ヶ月ほど。
ですがもう、まちに欠かせない場所になっているようです。

一体どのようなお店なのでしょうか。

タバタバーは「バー」を名乗っていますが、どちらかといえば大衆的な立ち飲み屋さんという印象です。
バーではないので、お通しも席料もありません。
日曜が定休日で、週6日間、18:00〜23:00の時間帯で営業されています。

お客さんの層はどうでしょうか。

20代から60代、バー周辺に住む人が多いですね。土曜日はほかの地域からわざわざ来てくれたり、なかには田端駅に初めて降りたという人も。この周辺に勤めていて、仕事帰りに立ち寄ってくれる人もいます。田端では若い人がやっている飲食店があまりないので、それだけでもここに来やすいようです。(「ソトコト」2019年7月号より)

10名も入ればいっぱいになってしまう空間のため、通りから見ると常に賑わいが絶えない印象です。

そう、タバタバーの売りはなんといってもその狭さにあります。
お客さんの空間は1.5坪程度。ということは、畳に換算するとたった3枚。

これがお客様スペースのすべて。狭いからこそ、お客さん同士の会話や気遣いが生まれる。

狭いからこそお客さん同士の距離が近く、会話や気遣いが生まれます。
カウンター側のお客さんが、テーブルのお客さんにお料理を配膳するという信じられない場面も、タバタバーでは珍しくありません。

また、狭さ以外にもお客さん同士のコミュニケーションが生まれやすい仕掛けが用意されています。
例えばこの黒板がその一つです。

店内の壁面にある黒板に描かれた店舗周辺マップ。お客さんがお気に入りスポットを書き込むことで共通の話題を生み出し、交流を生んでいる。

次は、立ち飲み屋さんとしてのメニューを見てみましょう。
まずはドリンクのメニューです。

タバタバーのドリンクメニュー。

櫻井さん個人はビールが好きで、種類を揃えたい思いもあったのですが、カウンターのスペースの関係から断念されたそう。

しかし、そんな中でもフックのきいたものを、ということで、レモンサワーに力を入れています
レモンサワーだけで4種類を取り扱っており、使っているレモンは千住の市場で買いつけているのだとか。

お次はフードメニューです。

タバタバーのフードメニュー。燻製のメニューが多めです。

燻製のメニューが特徴で、注文が多いのだとか。
もともとお酒が大好きな店主が、つまみとして好きな料理を厳選されたということです。

– タバタバーからできるコミュニティ。

タバタバーは、普段からふらっと立ち寄れる立ち飲み屋さんですが、コミュニティのハブになるべく、ユニークなイベントを積極的に開催しています。
その一部をご紹介しましょう。

2019年3月に開催された「まんぷくないと」。

朝ドラという共通話題をテーマに、みんなで楽しく飲みましょうというイベント。
わかりやすいテーマが設定されていると、知らないお店に入店するハードルが下がります。

あわよくばご近所に友達ができるので、明日からの暮らしがもっと楽しくなりますよね。

2019年4月に開催された「田端1年生!大集合!!!」。

4月には、田端の街に住み始めたばかりの方を対象にしたイベントも開催されました。
田端1年生が集まって、田端に関する情報をお互いにシェアしあうことで、明日からの田端暮らしをより楽しくしようというもの。

最近も日本酒を楽しむイベントや、奥様である朝子さんがママとなる「スナックあさこ」など頻繁に企画されています。
こうしたイベントはFacebookTwitterで告知されており、基本的にどなたでも参加することが可能です。

もともと入店の敷居が低いお店ですが、こうしたイベント開催に合わせるとさらに敷居が低くなるかもしれませんね。





– コンビニ店長にwebマガジン編集長、飲食店経営という3足の草鞋を履く櫻井さんの次の挑戦とは。

明治通りに立つ櫻井さん。実は後ろに見えているのがご実家のコンビニです。

店主の櫻井さんは、

  • 「ローソン田端新町二丁目店」店長
  • ウェブマガジン「TABATIME」編集長
  • 立ち飲み屋「タバタバー」店主

と、田端をキーワードに3足の草鞋を履き、まさに八面六臂の大活躍をされています。

もちろん、田端と近接する荒川区にも積極的に関わられており、2018年8月に開催された「talk ARAKAWA vol.2」では登壇者としてイベントを盛り上げてくださいました。
※荒川102の記事はこちら

荒川区のトークイベント「talk ARAKAWA vol.2」に登壇する櫻井さん。

昨年は、実現こそされませんでしたが、田端と尾久をテーマにしたビアフェスティバル「オクタバタ(尾久・田端)ーフェスト」の開催に向けて奔走されていました。
行政・地縁団体等との調整・協議に精力的に動き回った結果、既存の枠組みの外から物事を起こす困難さを痛感されたそうです。

それでも彼は挫けることなく、次の挑戦をされています。

– “地域に関わる人を増やす”ためのクラウドファンディングが始まっています!(2019年7月30日まで)

櫻井さんはまさに今、田端本の出版に向けたクラウドファンディングに挑戦されています。

クラウドファンディングの開始を案内する画像。

山手線で一番無名な田端から教えてもらったこと〜地域に関わる人を増やす〜

出版業界に風穴を開けるべく、クラウドファンディングを利用したオープンな出版を目指すプラットフォーム「EXODUS」というプロジェクトが始まりました。
具体的には、クラウドファンディングのオールオアナッシング(目標金額を達成した場合にのみ、集まった金額がファンディングされる)という形式で、期間中に1,000冊の予約が得られれば、見事に著書を出版することができるというもの。

EXODUSの仕組み。(「EXODUS」サイトより)

櫻井さんはこの第1回に応募され、約300人から一次・二次審査を経て絞られた、クラウドファンディングに挑戦できる10人のうちの1人として見事に残られました。
そしてこの7月1日から、30日間のクラウドファンディング期間が始まっています。

櫻井さんがなぜクラウドファンディングを始めるに至ったかは、TABATIMEのこちらの記事で。
奥様からのインタビューを受ける形で説明されています。

一番伝えたいのは、「地域に関わる人を増やしたい」という気持ち。(同記事より)

田端だけじゃなく、東京のどの街もそうなのかもしれないけど、自分が住んでいる街に関わらないで、ただ消費するだけで過ごしている人ってすごい多いと思うんだ。会社と自宅の行き来だけ、買い物も生活に必要なものを買うためにスーパーやコンビニに行くだけ。そういう「消費」だけのために過ごしている人が。
でもそれが、行きつけの店を見つけてみる、とか、そこのマスターと話す、とか、そこで知り合った人たちと身近な人だけを集めた面白いイベントを自分たちで企画してみる、とか……。街に関わるっていうと、町内の青年部や町内会に所属しなきゃいけないとか思っている人も多いと思うんだけど、「こんな関わり方があるんだ」、っていうことを自分の経験を踏まえて伝えたいなって。(同記事より)

支援したい!私も田端本が欲しい!という方は、公式ページからお手続きをお願いします。

– 最後に、荒川102の読者の方へメッセージをお願いします。

「住んでいるのは田端ですが、昔から生活の一部には、荒川区がありました。
尾久銀座や熊野前商店街、銭湯など、自分にとって身近な存在。田端にTSUTAYAができるまでは、町屋のTSUTAYAにお世話になっていました(笑)
そんな生活感溢れる荒川区、これからも田端と一緒に大事にしていきたいと思います。
“盛り上げる”というのかな。より生活のレベルが上がっていくといいなと思っています。」


<店舗情報>

店名:タバタバー
住所:東京都荒川区東尾久4-52-14-103
アクセス:田端駅北口から徒歩9分(都電荒川線「熊野前」停留所、日暮里・舎人ライナー「赤土小学校前」駅)
電話:-
営業時間:18時〜23時
定休日:日曜日(+不定期で休み)ホームページ要確認
座席:オールスタンディング
公式HP:https://bar.tabatime.net/

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