なにかし堂 子供や学生が使える無料スペースがジョイフル三ノ輪にオープン

今年3月8日、「なにかし堂」という新しいフリースペースがジョイフル三ノ輪のアーケードの中にオープンしました。
アーケードの荒川一中寄り。去年までミュージックバーがあった場所です。

⼤きなガラス窓には⼿書きの「なにかし堂」という⽂字。
壁際にはたくさんの本がずらり。

ここは誰でも気軽に無料で利⽤できる街の図書館。
絵本から⼩説、ビジネス書まで2000冊以上を蔵書。
子どもが遊んだり、学⽣が本を読んだり、勉強したり、ギターの練習をしたり。もちろん⼤⼈も利⽤できます。
WiFiも使えるのでインターネットでオンライン授業を受けたり、ゲームをして遊ぶことも可能です。
⼆階は有料のレンタルスペースとなっており、イベントや会合に使えます。

運営するのは、地域創生企業やNPO法人、学校など様々な教育現場でキャリアを積んできた野⼝貴裕さん。
この場所を拠点に教師や大学生向けのサービスを提供するNPO法⼈を⽴ち上げ中です。

野口さん

学⽣時代は国際協⼒に興味があり、ルワンダでプログラミングを教えていた野⼝さん。

その後、⾃分が本当に興味があるのは教育分野だと発⾒し、⽇本に帰国。教育関連のNPOに参加し、学校の先⽣たちへの⽀援を⾏ったり、私⽴の⾼校の授業の⼿伝いなどを⾏う中で学校の現場への理解を深めていきました。また、大学卒業後は静岡県牧之原市に移住し、町づくりや小中学校への出張授業など地域の公教育に民間企業として携わってきました。

これらの活動を通して、「子どもにも大人にも多様な居場所・拠り所がもっともっとあっていい」と痛感し、学校現場で働く教員や教員を目指す大学生など想いを同じくする仲間たちとスタートさせたのがこのスペースです。

 

「なにかし堂」は「なにかしたい」「何か始動」「何か指導」 の、3つの意味。


⼀つには、学⽣が何かを始める場としての利⽤。

「⼦どもたちや学⽣さんには、ここで何か、初めの⼀歩を踏み出してほしい。その後押しをしたいと思っています。 ここであれば活動場所としても気軽に利⽤できて、すでに先⽣たちのコミュニティも繋がっています。教育系の⼤学⽣が何かやりたいことなどがあれば、先⽣たちが参加するグループLINEなどを通じてすぐに意⾒を聞いたりして、進めることが可能です。」

NPO法人として提供する基本サービスになるのは、相談相手に困っている教師向けの場の提供です。

この場所から仕掛けたいことが満載のホワイトボード

「⽇ごろの業務で悩みを打ち明ける先も少なく、疲れ切っている先⽣たちはたくさんいるんです。同僚に相談しにくいこともたくさんあります。かといって、教員という働き⽅に⼀定の理解がない⽅々に相談してもそれはそれで中々課題の解決に⾄らない。有名な教員や実践者のセミナーに参加しても、圧倒的すぎて距離感があり自分の現場の解決には至らない。やはり”身近で理解のある他者”に相談したいというニーズはあるんです。」

そんな教師の⽅が、時間を気にせず様々な⽇々の現場の悩みや課題を相談できる場をこのスペースでは提供しています。

「少し愚痴を⾔うだけでも気が楽になるし、他の先⽣と話すことでヒントが⽣まれたりもします。」

2階スペースでの会合

また、そういった先⽣たちの姿を、教育関係の仕事につきたいと思っている⼤学⽣の⼈たちにも⾒てもらいたいのだとか。

「リアルな現場のことを知ってもらう。⼀⽅で、先⽣たちの環境はメディアなどに過度にネガティブに取り上げられている側⾯もあり、実際にやってみると⾯⽩い部分は当然あります。その両⾯を間近に⾒てもらうことで、教師という職業に抵抗感を感じる学⽣が少なくなったり、実際に先⽣になったときのギャップが少なくて済むのではないかと考えています。」

誰でも⾃由に使えるフリースペースが1階があることでそこに集まる⼦どもたち。
それ⾃体も、⽇ごろ学校という枠組みを通じてしか⾃分の⽣徒たちと接することのできない教師にとっては、仕事以外で、放課後の⼦どもたちとフランクに接することが可能な貴重な場所になるのだと野⼝さんは⾔います。

店外でのオープンスクールも実施

今後ここでは、⼩さな学習⽀援塾も運営していきます。

「10⼈、多くても20⼈ぐらいの週1ぐらいの⼩さな塾というイメージです。教える⼤学⽣側の練習も兼ねて現在毎週⽊曜⽇にフリースクールのようなものをすでに⽴ち上げており、今後少しずつ⽣徒を増やしていく考えです。」

 





ここをモデルケースに、全国に広げていきたい


コロナの影響もありあまりPRは出来なかったはずですが、店内には多くの若者が集まっていました。

「ほとんどの⽅はたまたま前を通りかかって気になって⼊ってくる⽅です。若い⼈たちが⼊れる場所が近くにあまり無いのでそういう⼈たちの受け⽫になっているようです。」

野⼝さんは、ここで作り上げたモデルを全国の様々な商店街にも展開することが可能だと⾔います。

「全国どこの商店街でも同じような空きスペースがあれば再現が可能だと考えています。理想形としては、商店街全体が⼦どもたちの放課後の遊び場、というような形になっていければいいなと考えています。⼦どもが集まることのできるいくつかの施設やお店が連携し、1⼈の⼦どもの成⻑を複数の⼤⼈で⾒ていってあげられる。そういう場作りができるんじゃないかなと。」

応援者から届く大量の本

そのためにも地域の中に積極的に⼊っていくことを考えている野⼝さん。商店会の会合にも参加を始めました。

「若い⼈で何か新しいことにチャレンジしたいという⼈は⾃分の周りにも何⼈かいるんです。商店街の店も家賃は意外と⾼くないですし、例えば住み込みでやるなら空き店舗で若い⼈が事業を始められるイメージはあります。そういうお店が少しずつ増えていけば、賑わっていくかなあと思ってます。」

7⽉末にはクラウドファンディングでの資⾦調達も予定。
任天堂Switch対戦やボードゲーム大会の導⼊など、より⼦どもたちが気軽に、楽しみに集まってこれるような場所へとどんどん変化させていきたいのだと語っていました。

この記事を読んだ学生さん、子どもたち、お父さんお母さんも、ぜひお店の前を通りかかったら中をのぞいてみてください。
ここは、誰でも思い思いに自由に使うことができるフリースペースです。

運営者プロフィール:


野口貴裕。和歌山県出身。中央大学在学中、開発国際法を学びルワンダでのICT教育支援など幅広く活動(中央大学学員会会長賞受賞)。卒業後、静岡県牧之原市へ移住し東京都と2拠点生活を開始。牧之原市では、廃校を拠点に教育と町づくりをリノベーションに取り組む。総務省地域IoT実装推進事業採択、ドローン教育を小中学校へ展開。また、東京都荒川区では街の図書館「なにかし堂」を運営。その他、高校PBL授業協力や地域教育留学「TEA:CHER」主宰。生き甲斐とセレンディピティ溢れる社会を目指し日々小さな事実を創る。


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