想い出の街角 珈琲オンリー

珈琲オンリー 内観

高層マンションが建ち新しい街へと変わった南千住で40年以上変わらぬ佇まいで営業している喫茶店「珈琲オンリー」は浅草にあるオンリーの3店舗目として1970年にオープンしました。

オープン以来ほとんど変えていないというインテリアはまるで映画のセットのよう、物語が生まれそうな雰囲気です。

珈琲オンリー - マスター

「強いこだわりというわけではないんだけど…」

注文をもらってからサイフォンでコーヒーを淹れます。その時間8分。そのまま客に出してもいいのだけれど少し時間を置くことで味が落ち着く。

その3分は何かの儀式というには大袈裟すぎますが、懐かしく落ち着いた空間でただ待つ3分はとても贅沢です

珈琲オンリー - ホットコーヒー
ホットコーヒー(400円)

ほのかに甘く、コク深い。控えめながらしっかり残る味わい。飲みやすいコーヒーです。数種類の豆をブレンドして自家焙煎したオンリーのオリジナル。朝と午後使う分だけ挽きます。

こちらのお店のキャッチコピー「魔性の味」は最初の店を浅草で開店したころ、お客様が「この店のコーヒーは美味しいね!毎日味わいたくなる魔性の味だね!」というお褒めの言葉に由来します。

飲んでみるとなるほど確かにまた飲みたくなる味なのです。しかも小さめのカップの控えめな感じがもう1杯頼むべきか、また明日来るべきか…。

珈琲オンリー - 看板

「このへんは柳通り商店街って言ってね。以前は柳の並木だったんですよ」

約半世紀、南千住の歴史を見てきました。今では店も少ないですがかつては東京スタジアムへ向かう道であったこともあり人通りの多い通りだったそうです。

10数年前からの汐入地区再開発や南千住の駅前再開発でだいぶ景色が変わり住民も若い家族が増えました。数年後には店の前の道が汐入方面につながり買い物など便利になるでしょう。
マスターとの会話もチェーンの喫茶店には無い楽しみです。

珈琲オンリー - 秤

見渡すとピンクの電話や50年使っているレジ。年代物のコーヒーミルや測りはただの飾りではなく実際今でもつかっています。

レトロな店と言ってしまえば簡単ですがあえてアンティークを押し付けるわけではなく当たり前のように存在するのが下町らしさでしょうか。

珈琲オンリー - ホットケーキ
ホットケーキ(520円 サラダ付き)

週末にはこのホットケーキを食べに遠方から訪れる若い人もいるそうです。

注文を受けてから粉を調合してからじっくり丁寧に焼いています。厚く焼きたてのホットケーキに自家製のメープルシロップをかけていただきます。サラダが付いてくるのはマスターの優しさですね。

その他にも浅草のペリカンのやや小振りの食パンを使ったサンドウィッチやハンバーガーなどはどれも美味しく懐かしさを感じます。

mster2

「喫茶去という禅の言葉があります。まあお茶を一服召し上がれ、、、という意味だそうです。ホッとできる場所で、ホッとできる人と、ホッとできる時間を過ごす。1日のうちにそんなひと時をもっていただきたく願います。」と、マスター。

慌ただしい街の喧騒を離れのんびりと流れる時を楽しみ、温かいコーヒーを味わう。喫茶店本来のあり方を受け継ぐ素敵な店です。


<店舗データ>

  • 店名:珈琲オンリー
  • 住所:荒川区南千住5−21−8
  • 電話:03-3807-5955
  • 営業時間:9時〜19時 日曜日定休
  • その他:分煙、禁煙の設備はありません。車椅子入店可。マスターにお声がけ頂ければお手伝いします。

※荒川102の取材情報は地図からも探せます。ぜひご活用ください。>>> 「荒川102取材マップ」


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