職人の技を、自分の目利きで人に伝えたい
町屋にニューヨーク直輸入の服を販売するメンズセレクトショップがあると聞き、訪問してみました! 今回伺ったのは、町屋駅から尾竹橋通りを北に10分ほど歩いた場所にあるお店、Atelier(アトリエ)です。
「ものづくりや職人が大好き」と語るのは、店主の遠藤 剛さん。大学を卒業後、職人が手掛けるアイテムの中でも特に好きだったアパレルの世界に足を踏み入れました。その情熱を会社に認められ、ニューヨークへの買い付けの機会を得ることに。
ニューヨークに魅了された遠藤さんはプライベートでも生産者を訪問し、その過程で買い付けの手応えを得たことから独立。2019年12月に荒川区町屋で今のお店をオープンしました。
「品質が高いのに知られていないものがあります。実直にものづくりを続ける職人さんたちの作品を、多くの人に伝えられれば」という遠藤さん。つくり手のこだわりを伝える接客を求めて、Atelierにはファッション愛好家が足を運びます。
シルバーアクセサリーや鉄製家具……オリジナルアイテムの制作も
年4回も行っていたニューヨークへの買い付けは新型コロナウイルスの流行で難しくなりましたが、国内外の信頼できる生産者の衣料品や、質のいい古着をセレクト。現在ではオリジナル商品も販売しています。
さらにそのノウハウをもとに、お店のユニフォームなどTシャツ制作も請け負っているそう。デザインや数量によって少額からでもオーダー可能です。
オリジナルのシルバーアクセサリーブランド「Sewn(ソー)」はInstagramを見て近隣他県から来店するお客さんがいるほどで、取材の段階ではほぼ完売。最近では卸売を始めるほどの人気商品になっています。
店内は鉄製家具「miron.blacksmith」のショールームも兼ねており、商品を陳列する棚はすべて注文が可能。リノベーション業者との提携によってつくられるこれらの家具は、オーダーメイドも可能です。
それでは、店内の個性あふれるこだわり商品の数々をみていきましょう。実際に接客を受けるように、遠藤さんからお話を伺いました。
都内ではAtelier限定! 通気性と履き心地が魅力のカラフルソックス
店内でまず目を引くのが、カラフルな厚手の靴下「decka Quality socks(デッカ クオリティ ソックス)」。名古屋でつくられているこちらの靴下は、ヨーロッパ各国や北米、アジア各国で販売されていますが、東京の取り扱い店舗はAtelierのみです。
通常の5倍の糸が使われており、もちもちの肌触り。厚手の靴下ですが通気性に優れ、夏でも快適な履き心地です。かつてのルーズソックスのように編み目が溜まるようなシルエットがかわいらしいソックス。ボックス付きでギフトにも人気の一品です。
オーバーサイズの着こなしが楽しい、アメリカの老舗ワークブランド
こちらのトップスは、アメリカでトップシェアを誇る作業着ブランド「RED KAP(レッドキャップ)」のワークシャツ。ガソリンスタンドのユニフォームとして採用されているシャツで、アメリカ映画などで目にすることがあるデザインです。
気負わず着て、ガシガシ洗う。気軽に楽しめる定番シャツで、Atelierでも人気の商品です。遠藤さんは取材時にもオーバーサイズのこのシャツを羽織っていました。着こなしのポイントは?
「オーバーサイズで着た方がかわいいシャツです。ジャストサイズだとワーク感が出てしまいますが、大きく着ると生地のヨレがきれいに出て、こなれた印象になります。僕は真夏でも袖をまくって着ていますよ」
細部に宿るストーリーが男心をくすぐる、イギリス海軍のカーゴパンツ
続いて注目したのは、イギリス海軍が2000年頃まで採用していたという「ロイヤルネイビー」カーゴパンツ。せまい潜水艦の中で体をかがめて作業しやすいよう、斜めに配置されたスラントポケットが特徴です。
軍で使用される衣料品には無駄な部分がなく、細部にも語られるべきストーリーがある点が男性人気を集めています。
カラーバリエーションはブルーとブラック。通常、軍人が着る服には礼服を除いて黒いものがないのですが、元のブルーを黒染めしています。きれいめコーデとも相性がいい、美しいシルエットで使いやすい一品です。
包み込むようなホールド感……長く付き合える革靴
こちらの靴は遠藤さんの友人である靴職人が手掛けるブランド、WHEELROBE(ウィールローブ)のもの。浅草にショールームを構え、普遍的なデザインと伝統的なディテールにこだわるブランドです。
通常の革靴が0.9ミリほどの革を使用するところ、このローファーは2.2ミリもの厚手の革を使用しています。
甲高で幅広な日本人の足に合う木型を用い、包み込むようなホールド力が魅力です。
「経年変化を楽しんでもらえる人に履いてほしい靴です。かかとが減るなど、傷んできた場合でもメンテナンスができるように、日本のブランドのみを扱っています」
これまでスニーカーを好んで履いていた人が、この靴から革靴を履き始めてリピートするというケースがあるよう。
この他のデザインも、カタログをお客さんと一緒に見ながら取り寄せてもらうことも可能です。
クローゼットにずっと残り続ける服を提案したい
こだわり商品のセレクトショップだけあって、一つ一つのアイテム紹介の話題は尽きません。1回の接客が1〜2時間になることも。
「いずれ手放してしまう服ではなく、古くなってもいつまでもクローゼットに残って、たまに袖を通したくなる。そんな服を提案したいと考えています」
取材の最後に聞かれたのは、つくり手の思いに寄り添う遠藤さんらしい、そんな一言でした。
最新情報はAtelier、SewnのInstagramで発信中。気になるアイテムがあったら、ぜひお店に足を運んでみてください。
<店舗情報>
店名:Atelier(アトリエ)
Instagram:
Atelier https://www.instagram.com/atelier__official/
Sewn https://www.instagram.com/sewn__official/
webサイト:https://ateliercloset.mystrikingly.com/
営業時間:11:00〜19:00
定休日:火曜日
住所:東京都荒川区町屋8-4-4
電話番号:050-3704-0924