ものづくりを感じる場所に…東尾久のカルチャー発信地OGU MAG+リニューアル

ギャラリーOGU MAGが、カフェと住居を併設しリニューアル


代表の齊藤英子さんをはじめ、Atelier Asami Kazuhiro、nmstudio, architects、Studio Gross、東協建築の皆さん

東尾久のギャラリーOGU MAGが、3月18日にOGU MAG+(オグマグプラス)としてリニューアルオープンしました。

1971年、第一齊藤荘として誕生した建物が年月を経てギャラリーOGU MAGに。そして2021年、ギャラリーに隣接する部分をリノベーションし、カフェのほかシェアハウス兼アトリエスペースが増設されました。

JR田端駅からも近く、多くの人が行き交う「十字路」にオープンしたOGU MAG+は、店内のさまざまなところに「+」のモチーフがみられます。

これまでのようにアートやワークショップを楽しむだけでなく、近所の人がコーヒータイムを楽しんだり、アーティストが制作をしながら地元の人と交流をしたり……。

さまざまな扉を用意することで、多くの人に建物全体を回遊してもらい、変わり続けていく場所をイメージしたそうです。

リニューアルプロジェクトには、荒川区内のさまざまな人が関わりました。ロゴデザイン、コーヒー豆、ケーキ皿、照明、畳にいたるまで、荒川区の人々の力が結集。

中でも建物の設計は、荒川区内の3つの建築事務所、Atelier Asami Kazuhiro、nmstudio, architects、Studio Grossの協業に。

カフェ、ギャラリーのほか、普段は見られないシェアハウス部分にも伺いました。

カフェでは、アトリエエヌの焼き菓子が味わえる


カフェに立つのは、アート・映像コーディネーターの齊藤英子さんと、お母さんの照美さん。

このカウンターも、OGU MAGのワークショップで参加者とともにつくり上げた作品です。壁面のタイルの赤い目地とともに、こちらにもたくさんの「+」モチーフが。

齊藤さんの夫、大貫智裕さんによる「焼菓子工房アトリエエヌ」のスイーツがカウンターに並びます。甘いものと相性ぴったりのコーヒーは、苦味がしっかり感じられる豆を西尾久「とむさんのコーヒー」で選びました。

店内奥にはテーブル席があり、たくさんの画集、写真集を楽しめます。音楽や映画に関心がある人は、きっと楽しめるコレクションです。

イベントでは、ここがワークショップスペースとして活用されるのだとか。

アーティストと地域をつなぐ、アーティスト・イン・レジデンス


カフェから天井を見上げると、2階までつながる吹き抜けに気づくはず。今回、特別に2階を見せていただきました。

この2階部分は、国内外のアーティストたちが、制作しながら地元の人々と交流できるシェアハウス兼アトリエスペースになっています。滞在プランにはギャラリーでの展示も含まれ、制作から展示までをOGU MAG+に住みながら実現できるのです。

このように、2階から階下のカフェとコミュニケーションできる造りに。アーティストと地域との交流を意識した、OGU MAG+を体現した構造といえるでしょう。

布ものなど、縦長の作品も展示可能。これからどのように使われるのでしょうか。

OGU MAG+の成り立ちに関する資料を見ると、リノベーション前後の間取り図とともに、各部のこだわりをうかがい知ることができます。

右上の間取り図が、アーティスト・イン・レジデンスとなる2階部分。中央、グレーの「+」部分が共用部です。

「+」の真ん中は、キッチン。制作を続けながらの毎日の食卓のほか、展示会のパーティー利用なども想定しています。

窓からの採光のほか、半透明のポリカーボネートを活用することで、2階にもやわらかな自然光が差し込む空間です。

奥に見えるのは、ワークスペース。

制作に集中できるよう、机が設置されています。

その反対側には、ライブラリー。ソファーを置き、書籍を並べて読書ができるスペースになるそうです。

こちらが、3部屋ある個室。ロフトベッドのはしごには、上り下りしやすいよう各部に取っ手が取り付けられています。

窓からの採光のほか、天井近くには、より透明度の高いポリカーボネートを配置。

天井を抜くことで、天井高は3メートル以上に。柱や梁など、古い木材の質感から温かな印象を受けるとともに、開放感がある空間になりました。杉の断熱材を活用することで、夏の暑さ対策にも配慮されています。

所々に昔の名残がみられる一方で……

トイレ2つにシャワールームと、水回りは最新。浴槽はありませんが、近くに点在する銭湯を使って、地域の人に接してほしいという思いがあります。

昨今、尾久はイベントが盛んに行われたり、新しいお店が増えたりと注目を集めるエリアですが、古くからの商店街のほか、銭湯も残っているのです。

初回となるギャラリーの展示は、17年前の地元商店街の写真展


1階に戻りましょう。OGU MAG+の本体ともいうべきギャラリーは、土間や舞台を連想させる空間に生まれ変わりました。

街に向かって大きく開かれた窓から自然光が入るギャラリーは、ゆったりとした時間が流れています。

OGU MAG+リニューアルオープン記念の展示は、東尾久在住の写真家・小泉定弘写真展「あらかわの下町商店街」(4月18日(日)まで)。

これらのモノクロ写真は、今から17年前の東尾久、おぐぎんざ商店街、熊野前商店街をフィルムで撮影したものです。

写真集「わがまち下町荒川 : 小泉定弘写真集」第三章「商店街」から選ばれた作品たち。かつての商店街の賑わいが感じられる展示です。

「ものづくり」を身近に感じられる場所に


代表の齊藤さんによると、今後もたくさんのワークショップ、トークイベントを行っていくとのこと。5月以降の展示も決まり始めています。

「ものづくりを身近に感じてほしい。自分もいろいろなことが知りたいから、このような企画を続けています」と語ってくれました。

尾久の交差点に、広く扉を開いたOGU MAG+。築50年の建物は、さまざまな人達との交流によってかたちを変えながら、尾久のカルチャー発信地として新たなスタートを切りました。


<店舗情報>

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