ゆいの森で荒川区指定有形民俗文化財「三河島山車人形」展示中！

ゆいの森で荒川区の指定有形民俗文化財「三河島山車人形」展示中

先日、ゆいの森あらかわに行ったところ、総合カウンター前に大きな人形が展示してありました。
何これ！すごい迫力！

荒川区の指定有形民俗文化財で「三河島山車人形」稲田姫（いなだひめ）と熊坂長範（くまさかちょうはん）だそうです。何も知らずに通りかかっただけでしたが、存在感に圧倒されました。

組み立て中の様子

稲田姫保存会の方たちが、ゆいの森で組み立てをしたそうです。

荒川区のリリースはこちら
https://www.city.arakawa.tokyo.jp/a004/kouhou/houdou/20230204.html

荒川区指定有形民俗文化財「三河島山車人形」について

あらかわらいふの兒玉さんからコメントを頂きました。

荒川区には先人から受け継いできたものが多くあります。その中に素盞雄神社には受け継いでいきたい文化、伝統、技術、文化財があります。勇壮な神輿振りで知られているように天王祭は神輿で有名なお祭りですが、実は山車と山車人形の伝統があったことを知らない人も多いのかもしれません。

神田祭など江戸の祭りは神輿のイメージが強いのですが、実は江戸の祭りでも巨大な山車や山車人形も引きまわされていたのです。江戸時代は神輿と共に山車も街を練り歩いたのですが、明治、大正、昭和と電力の普及と共に電柱が増え、電線が張り巡らされ大きな山車は街を巡行できなくなり、車が増えるなど交通事情も重なって山車や山車人形は街を巡ることがなくなってしまったのです。

しかし、山車や山車人形が巡行することも天王祭の伝統なのです。荒川区内は上野寛永寺の領地が多かったので、領主である寛永寺の法主にその姿を見せるべく三河島の山車と山車人形は三河島から更に上野の山下まで巡行していたそうです。

かつては天王祭の氏子町域各町に山車があったと言われていますが、現存するものは三河島の町会に残る2体だけです。

力強く見える山車人形は「熊坂長範」。現代の人には馴染みが少ないかもしれませんが、昔は歌舞伎や謡曲、幸若舞などに登場する有名な大泥棒。架空の人物だと言われますが豪傑で奥州に向かう源義経を襲い討たれたとも、配下になったとも言われます。

女性の方の像は「稲田姫」。素盞雄神社の祭神であるスサノオの妻。ヤマタノオロチのいけにえになるところをスサノオに救われたと言われます。オオクニヌシのお母さんでもあります。

三河島にはもう一体、スサノオの山車人形もあったと言われていますがこちらは失われております。150〜160年前に山車人形が震災、戦災を乗り越えて現存するのは荒川区の宝といえます。

この山車人形は町会によって保存、維持されております。熊坂長範は荒川中央町会から成る熊坂保存会。稲田姫は荒川四丁目西中睦会、荒川文化会、大西町会、荒川宮地会の四町会からなる三河島山車人形稲田姫保存会によって組み立て技術が伝承されています。組み立てられた姿はお祭りの際に見ることもできるのですが、組み立てられている姿はなかなか見ることができません。

今回、ゆいの森でのイベントはこの貴重な組み立て風景を見られること。メンバーの方々がワイワイ言いながら組み立てていく姿も見ていて楽しかったです。このような機会が再びあると見ている方も親しみが持てたり、興味が持てて良いかもしれませんね。

素盞雄神社の天王祭の祭礼自体も荒川区登録無形文化財で受け継ぐべき文化、神輿や山車を保持し巡行していくことも受け継ぐべき伝統、精緻な山車人形の組み立ても受け継ぐべき技術、江戸から明治にかけて作られた荒川区有形登録文化財の山車人形も受け継ぐべき文化財。これらを守り伝えていくことこそが地域住民の誇りに繋がっていくのではないでしょうか。