東日暮里を拠点として活動する東京ガレージの新しいプロジェクト「よるのがっこう」がついに開校しました。
よるのがっこうとはなにか。
ホームページにはこのように書かれています。
“10代が魅力的に生きる大人と出会い、未来の文化を生み出す場「よるのがっこう」。深い対話や新しい体験を通して価値観や選択肢を広げ、自分のもつ可能性や自分らしい生き方を見出します。また、世代や分野を超えたビジネスの機会も提供します。”
コロナ禍による1年以上の延期を経てを経ての開校。4月3日に開校記念イベントが開催されました。
オンラインでは伝わりにくい部分。譲れない部分。
できることを考えながら準備を進めた1年半。
代表のよしおかゆうみさんの熱い想いのもとに、様々な分野から多くのプロフェッショナルが集まるよるのがっこう。
ここまでの準備期間を振り返っていただきました。
「コロナで約1年半も延びたので、感無量です。ここまで気持ちが切れずに来れたのは、誠実な仲間が共に歩んでくれたおかげです。よるのがっこうを発案した当初は、観光ビジネスを組み込む予定でしたが、その企画はコロナで持ち越しとなります。「オンラインでもできることはある」とも思いましたが、どうしても、モヤモヤしてしまって。オンラインでは伝わりにくい部分の「感情や感覚を伴う直接体験」「ホンモノのもつ熱量や迫力、品性などが共鳴し合う場」が10代にとっても重要で、東京ガレージの譲れないコンセプトだから。」
オンラインでは伝えきれない部分について安易に妥協せず、できることから着手していったよしおかさん。
ごく少数のメンバーで、よるのがっこうの暖簾と提灯を制作することから始めました。
この過程でも大きな収穫があったと言います。
「極力感染対策をした上で暖簾と提灯をつくりましたが、期間がたっぷりあり、作業工程を全て体験できたのは思わぬ収穫でした。改めて伝統工芸の魅力と重みを実感でき、よるのがっこうでも大切に伝えていきたいと思っています。」
(参考記事:伝統工芸職人と一緒に、ホンモノののれんをみんなで手作り中!東京ガレージ)
荒川区の職人と共にゼロから子どもたちとともに作った暖簾と提灯は、よるのがっこうのシンボルとしてイベントの際にお披露目されました。
これを見るたびに、これを作ったホンモノの体験、その時感じた伝統と技術、空気、手の感触。そういったものを子どもたちは思い出すのでしょう。
東京ガレージが子どもの自立に必要と考える「空間」「時間」「仲間」の三間(”さんま”)。そして、それらが一体となった記憶「原風景」。
これらのシンボルは、よるのがっこうが大切にするそれらの要素を凝縮した象徴とも言えます。
代表のよしおかさん自身の原風景、そしてよるのがっこうへの想いについてはホームページにあるこちらをぜひお読みください。
子どもも大人も
お互いに刺激を受けた”対話の食卓”
開校記念イベントでは食卓を囲みながら大人と子どもで語り合う「対話の食卓」を開催。
テーマは「みんなの10代」。6つのグループに分かれて対話が行われました。
「10代が予想以上に人生をちゃんと考えていることに、大人たちが刺激を受け、驚いていました。好きなことにチャレンジしている高校生、迷いながらもメンターのもとで修行中の高校生、ビジネスを始めた中学生、アートが好きな高校生、環境保護を真剣に考える高校生。昔の10代(大人)たちも、改めて自分の原点を思い出したようです。夢が叶った喜び、夢をあきらめたこと、出会いや体験で人生が変わること、どうしようもなかった壁など、大人たちの目もキラキラしていました。」(よしおかさん)
最初は緊張していた子どもたちも、大人と話しているうちに楽しくなった様子。
「自分の考えが広がって悩んでいたことの先が見えた」
「親以外の人に認められたのがすごくうれしかった」
「大人に話しを真剣に聞いてもらえたことに感動した」
子どもたちからはこんな反応が集まりました。
イベントのあちこちに伝統工芸、職人、地域の力が結集
あらゆる部分に歴史、そして地域のつながりを感じる空間がそこに。
子どもたちと作ってきた暖簾、提灯、掲示板などの伝統工芸品が取り囲んだよるのがっこう開校記念イベント。その華やかさはよしおかさんの予想以上でした。
一緒に制作に携わった暖簾染色職人の片山琢満さん、提灯文字職人の村田健一郎さん、東京額縁の栗原大地さんも、太陽のもと、大勢の関係者とともにお披露目の日を迎えた作品に感無量の様子だったと言います。
「よるのがっこうをモチーフにした暖簾に使う竿は、東京ガレージの創設メンバーでもある大工棟梁の林敬庸が、岡山に戻った際、一番真っ直ぐで丈夫な竹を山から持ってきて、自分で加工し、はるばる東京まで運んでくれました。当日の朝、立派な青い竹竿が暖簾の重厚感を引き立てるように飾られた瞬間、その美しさに思わず涙が出てしまいました。」
当日は版画摺師の小川信人さんが東京ガレージの千社札を作り、参加者がその場で摺師を体験できるように準備。粋な開校記念品に人気が集まりました。
提灯を立てるスタンドにも秘密が。
「東京ガレージのシンボルは、林敬庸が2016年に日本建築ワークショップでつくった、ケヤキの木のツリーハウスです。今回彼がそのケヤキの枝を使って提灯のスタンドを作ってくれたことで、東京ガレージとよるのがっこうのシンボルが繋がり、歴史が途切れずに続いてきた喜びをひしひしと感じました。」(よしおかさん)
(参考記事:本物の大工さんと一緒に作った本格ツリーハウス!東日暮里に出来た新しいみんなの基地においで。)
イベントでは参加者に同じ東日暮里にある企業組合あうんが運営する「どっこい食堂」のお弁当が振る舞われ、どっこい食堂の方もその場に招かれ紹介されました。
「どっこい食堂さんのご紹介をした時に、食材の話や会社の話をしてくださったんです。その時の「企業組合」という言葉が気になっていた子どもが、帰宅してから会社の形態について色々と調べていた、と保護者の方から伺いました。お弁当一つにも物語が詰まっていることを知り、みんなきれいに美味しくいただきましたよ。」
近所同士のご縁を通じて伝統工芸以外の世界にも子どもたちの視野が広がっていき、発見と学びを得る。
よしおかさんは、今後も地域の人たちと連携を広めていきたいと考えています。
「地域で面白い取り組みをしている人たちと連携してやっていけたら、よりできることも広がっていくと思っています。また、地域の10代の子どもたちが友だちと誘い合って来てほしいと願っています。ぜひ、身近な10代の子どもたちに声をかけていただけたらうれしいです。「大人のがっこう」にもぜひ参加して、仲間になってほしいと思っています。」
最後に、開校にあたっての運営チームの皆さんの抱負をいただきました。
「よるのがっこうは、非日常の出会いと体験の場です。一つの道を極める人がもつ凜とした雰囲気、見惚れるほど熟練した技能、礼儀作法を大事にし一連の作業を丁寧に行う美しい所作などは、憧れや見本にもなります。一方で、異なる世界で異なる価値観、予測のつかない出会いと体験こそが、自分自身の可能性を広げるし、これまでになかった新しいモノやコトが生まれる面白さを秘めていると思うのです。10代にとっても大人にとっても常にワクワクする期待感と充実感に満ち、感動をもち帰る場づくり、そこを大事にしたいと思っています。」(よしおかさん) | |
「継続的に行うことで見えてくることがあると信じているので、私たちが今大切だと思うことを実行し、自らが楽しむことを忘れずに行っていけたらと思っています。」(アーティスト 菊池宏子さん) | |
「学校では教えてくれない事をよるのがっこうで。10代の子どもたちとプロが集まり学ぶ場所にしたい。逆に10代からそれぞれのプロが学ぶ事もあると思っています。そんなガレージをつくっていきたい。」(職人頭 林敬庸さん) | |
「東京ガレージは放課後に立ち寄る路地裏のような場所です。見慣れた通りから外れたその場所には、これまで出会うことのなかったひと・もの・ことが溢れています。路地裏に飛び込むには少しの勇気と好奇心とが要りますが、東京ガレージはその心持ちを歓迎します。”よるのがっこう”では、東京ガレージに集まる10代と大人の皆さんと、色んなカルチャーと出会い、ちょっとヒリヒリしたり、でも心のどこかにひっかかる体験を積み上げていきます。まだほんのすこし謎めいた雰囲気をまとう”よるのがっこう”。「枠に当てはまらない」今後の展開が私自身とても楽しみです。ぜひ遊びにいらしてください。」(事務局・企画・経理 橘采花さん) |
よるのがっこうの今後の予定は以下の通りです。
最新情報は公式サイト、SNSなどをご確認ください。
・「対話の食卓」
日時:毎月 第一土曜日 16時〜20時
場所:東京ガレージ 3階
参加費:1000円(お弁当・飲み物代)
毎回、面白い大人のメンバーやスペシャリストのゲストが10代と食卓を共にし、その月のテーマにちなんだ話をします。
次回は、5月1日土曜日です。
地域の10代募集中です。お友だちと誘い合って、ぜひ参加してください!
・ホンモノ体験・ワークショップ
日時:不定期開催 継続型・宿泊型もあり
場所:東京ガレージ または 工房 または ほかの場所や地域
参加費:内容により
対話の食卓から生まれた企画を実施します。
・おとなのがっこう 次世代応援サポート制
10代と同じような内容の体験・ワークショップを大人向けにも開催します
こちらで支払われた料金の一部は、なるべく多くの10代に参加してほしいホンモノ体験へのスカラシップに回させていただきます。
*コロナ対策について
「対話の食卓」は、少人数で密を避けて実施します。常に窓を開け、換気をした状態で、広空間用空気清浄機2台を作動させています。食事の間の会話は無しで、対話の際は、マスクを着用します。入り口、トイレ、洗面所に消毒・スプレーを設置し、頻繁に拭いています。特にトイレは、使用後のスプレー消毒を必須にしています。屋外のガレージで行うワークショップの際は、入り口でアルコール消毒をし、室内に入る時にも消毒をしてもらいます。
<施設情報>
校名:よるのがっこう
HP:https://tokyogarage3309.wordpress.com/
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