キヌ電通りに佇む小さな庭 – 園芸店 Klein Garten(クライン・ガルテン)(読者特典付き)

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新三河島駅の改札から冠新道方面に進み、その入り口から明治通りを隔てた反対側を見ると、大きく空が開けた尾久の原防災通りが伸びています。

よく見るとその左側、ビルを隔てたところに狭い通りがもう一本、口を開けています。入口には何やら昭和な香りのする灯籠付きの立派な電灯が左右に控え、ビルの影からこの通りの存在を静かに主張しています。そこには、「キヌ電通り」と書かれています。

キヌ電通り入り口

キヌ電とは、その昔ここに発電所を持っていた鬼怒川水電のこと。道を入っていくと、通り沿いの電柱に設置されている風情ある灯籠型の電灯、この通りに少しノスタルジックな雰囲気をとどめています。

なだらかにくねった通りを尾久の原方面に向かってずっと進んでしばらくすると、目の前に突然、立派なログハウスが見えてきます。今日伺う、ガーデニングショップの「クラインガルテン(Klein Garten)」さんです。

クラインガルテン外観

オーナーの手島さんご夫妻にお話を聞いてきました。


– 簡単にご経歴を教えてください。

この店を開いて16年ほどになりますが、実はその前は埼玉のほうで21年間、小学校の教師をしていたんです。

クラインガルテン手島さんご夫妻

もともと実家がここにあったのですが、母が一人になって世話をしなければいけなくなったのを機に仕事を辞めてこちらに戻り、園芸の勉強をして店を開業したんです。


– なぜ花屋を?

自分の家にも庭があって元々好きだったですし、学校のほうでもよく園芸関係のことに携わっていました。教員のときは校庭があって材料もふんだんにありましたし、付属の農園もありましたから(笑)。どうせ荒川区に戻ってくるのであれば別のことをやろうかなと思って決めました。

クラインガルテン内観1

– お店はいつオープンされたのですか?

2001年です。この建物はキットを使って大工さんと一緒に建てたんです。隣の倉庫もキットから作りましたね。周りの方からは「喫茶店でもできるのかな」なんて思われたりしたようです。

お店をオープンするにあたっては1年間園芸の学校で花卉園芸の勉強をしたり、農大で聴講生として樹木について学んだりしました。あと近くにある植木屋の手伝いをしたりして学びました。

もう少し人通りの多い賑やかなところで店を始めようと最初は思ったんですが、開店してすぐに閉店するようなお店もありますし、引っ込んだところでそれなりにやっていくことでもいいのかなと思ってここにしました。


– 店名について教えてください。

「クラインガルテン」は、ドイツ語で「小さな庭」という意味です。ただ、文字通り小さな庭というよりは、向こうでは日曜菜園みたいなものをクラインガルテンと言うんですね。本当は、そういうのもやりたかったんです。埼玉のほうで貸し農園をやるとか。

クラインガルテン看板

ドイツ語の名前を付けたのは、私自身、獨協学園の出身なのでドイツに触れる環境には多少いたのもありますが、実は園芸ではドイツがかなり先端を進んでるんです。庭であればイングリッシュガーデン、という部分もありますが、観葉植物の室内園芸など、全体ではドイツがいろいろ進んでいるんです。

うちでは花の提供だけでなく、樹木の管理や庭作りなどもやっていまして、最近は剪定を頼まれて行くことも増えました。


– 園芸の魅力は何でしょうか?

昔は教員として、子どもと人間として付き合っているのが楽しいという感覚があったんですけど、人間ではない植物との触れ合いもいいかなと思ってこの仕事を始めました。いろいろ目をかけてやってあげればそれなりの見返りはあるし、自分が思っているようにやったことが、ある程度素直に返ってくる部分があるのが魅力かな、という気はします。クラインガルテン - 植物画

実はこの仕事を始めるにあたって学術的な部分だけでなく、植物画なんかも合わせて勉強したんです。そうすることで植物の葉の形やディテールなどを見る目が養われた部分もあります。奥の深い仕事だなと思います。

長い目で植物と付き合っていることで、自分自身が気が楽になるところはありますよね。


– コンテナガーデニングの講習会をされているのですね。

教えるのが元々仕事だったこともあって、開店した当時から寄せ植えなどの講習会をやっているんです。

クラインガルテン - コンテナ・ガーデニング日程ボード

月1週間、午前午後のスケジュールで1回5-6人ずつでやり続けていて、それがもう15年ぐらい続いています。これをやったおかげで、いろいろな方とお付き合いさせていただいているのがとても良いです。


→ 店主の手島さん自らが工夫を凝らして考えた寄せ植えを教えてくれる人気のコンテナガーデニング講習会は2ヶ月に1回、1週間にわたって実施。

詳細については、ホームページをご確認ください。



– これまで数百人の方に講習されたことになりますね。

初期の受講生の方で、今でもお付き合いさせていただいている方もおられます。

最近は区が主催する「園芸名人」という講座の講師も勤めています。バラや、街なか花壇などを運営する緑化ボランティアを養成する講座を受け持っていて、年に6回実施しています。最初は1年だけのつもりだったのですが、初級・上級といった感じで続いていて、もう5年目に入ります。

緑化には区も随分力を入れていて、最近は荒川区もずいぶん綺麗になってきたなと思いますね。


– 奥さまも園芸はお好きだったのですか?

花や緑は好きだったんですが、園芸についての専門的知識は学んではいなかったので、花卉園芸について主人からいろいろ教えてもらいました。また、押し花やトールペイントなど、自分なりに違う側面から仕事をサポート出来たらと思い、習い始めました。

クラインガルテン内観 - トールペイントなど


– 花屋への転職についてどう思われたのですか?

もう少し教師の仕事が続くとは思っていたんですけど、次のステップに行くときにあんまり年を取ってからというのも大変なので、少し早めに別の道を行くのもいいかなと思って、まぁ、仕方ないな、って感じですけどね(笑)。

商売は2人とも全く素人だったので、親族にも商売人もいなかったですし最初は不安でしたけど、何とかここまで来ました。


– こだわりのポイントを教えてください。

植物を商っている人間として、お客様にはただモノを売ればいいということではなく、どうやって育てるのか、という情報も合わせてご提供できるように心がけています。

そのため、自分自身も、ガーデンデザインの勉強を1年間積むとともにグリーンアドバイザー、草物盆栽、ハンギングバスケットマスター、土づくりアドバイザー、農薬指導士などの認定を受けるなど資質の向上に努めて来ました。今では、草花から野菜、樹木まで生きた植物を広くカバーするとともに、コンテナ植栽、庭づくりまで植物を核に幅広くサポートできるようになりました。

クラインガルテン玄関

その時々の人気の商品や値段に左右されず、植物を育ててもらうものとしての誠実な対応を大事にしながら商売をしていきたいです。


– 地域について一言どうぞ。

この通りは昔は農道だったんです。荒川区では町屋の辺りよりもこの辺りのほうが戸数があったらしく、古地図にも載っているんです。

以前はこの通りもいろいろなお店があったんですけど、今は人通りが少なくなりました。仕方ない部分もあるのですが、もう少し活気が戻るといいなと思っています。

読者特典プレゼント
「荒川102を見てきた」で、その日のちょっとした気の効いたもの、を一つプレゼントします。(2016年7月末まで)

開店早々、朝10時から汗をふきふきインタビューに対応していただいた手島さん。口数は少ない中にも誠実なお人柄が伝わってきました。

尾久の街なかにぽっかり佇む「小さなお庭」。園芸に興味のある方もそうでない方も、ぜひ一度訪れてみてください。

<店舗情報>

  • 店名:クラインガルテン
  • 住所:東尾区2-12-9
  • 営業時間:10:00 – 17:00
  • 電話番号:03-3892-7110
  • メール:shop.kleingarten@gmail.com

※荒川102の取材情報は地図からも探せます。ぜひご活用ください。> 「荒川102取材マップ」


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