尾久に現れたヒーロー、救命戦隊オグレンジャーの秘密基地は尾久消防署だった!

尾久の原公園で3月に開催されたシダレザクラまつり。楽しい祭りのステージに突如、悪者軍団「シンゾウホッサー」が現れた。
「お前の心臓を止めてやろうか!?」

え、今まで聞いた悪役のどのセリフより凶悪な感じが……。悪いにも程があるじゃないか。何が起きてるんだ……。

さらにピンク色の悪者が登場。見るからに悪そうだ。
と思ったら突然倒れ込むピンク色の悪者。

大丈夫なのか?
自分で自分の心臓を止めてしまったようだ!

そこにヒーロー、救命戦隊オグレンジャーが登場! なぜか他の悪者たちと協力して、ピンク色の悪者の心臓は止まらず無事に事件は解決。

っていうか何者なんだオグレンジャー……。
カッコ良すぎるぞオグレンジャー。

それにしても、ピンク色の悪者は定年退職したオグレンジャーピンクだったとは!

 

ついにオグレンジャーの秘密基地を発見!


2カ月にわたる調査の結果、我々はついにオグレンジャーの秘密基地を探し当てたのだ。

我々が気づかれぬように内部に潜入しようとしたときに見たものは

悪者がオグレンジャーピンクに何か飲ませようとしている。毒薬か?
これは助けに行かないとまずいのではないか?

何をやってるんだ悪者!
「あ、熱中症で倒れたんで介抱してるんです」

近づいてみると脇には保冷剤、飲ませる冷水も用意している。
「脇には太い血管があるので、ここに保冷剤や冷たい飲み物が入ったペットボトルを挟むのが熱中症には有効なんです」
やるな! 悪者。実はいい人なんじゃないか?

やはりここがオグレンジャーの秘密基地だったのだ。
署内で聞き込みをしたところオグレンジャーの生みの親、予防課の村上さんにオグレンジャーが生まれたきっかけを聞くことができた。

 

若手からベテランまで……オグレンジャーの正体は尾久消防署の職員


「オグレンジャーは、2022年12月に尾久の原公園で行われた森のマルシェで、皆さんに応急救護に興味を持っていただくために企画しました。

今まで4回上演していますが、応急救護や消火器の取り扱いについて、お子さまから大人まで興味を持っていただき、実際に役に立つ知識をわかりやすく身につけていただくことを目的としています」

オグレンジャーの正体は、全員が実際に火災現場や救急現場で活動している尾久消防署の職員でした。

応急救護や初期消火を説明するオグレンジャーレッド、ブルー、イエロー、グリーンは東京消防庁に入庁5年目までの若手職員が担当しており、お騒がせ役のピンクや悪役のシンゾウホッサーなどは40代から60代の職員が担当しているそうで、若手からベテランまで階級、年齢を超えて協力しているとのことでした。

このシンゾウホッサーさんも実はベテラン職員さん。
小学生のときに見た阪神淡路大震災で活躍する消防士の姿を見て消防士を志したそう。

実際に都民と関わりながら防火防災診断を行い、住宅の防火対策をすすめていく仕事を担当している係長さんです。

最近増えているのは電気の火災。充電中のモバイルバッテリーからの火災が多いとのこと。
モバイルバッテリーを買うときにはPSEマークがついている正規品を買いましょう。

新潟県出身で、東京に出て来る際に警察官か消防士になるかと迷っていたところ、祖母の意見で消防士を選んだというオグレンジャーピンク。

尾久消防署管内にある出張所の所長さんで、38人の職員をまとめるトップだそうです。

「オグレンジャーとしては今後、いろいろなイベントに参加してより多くの方に応急救護などに関心を持っていただきたいと思っていますし、多くの方々と協力してさらに発展させていければと思っています。

たとえば、外国語の字幕入り動画を作成したり、高齢者施設などイベントに来ることができない方々の所におもむいて演じたりと、より効果的で親近感を持っていただける企画を考えているところです。

皆様からのご意見やアイデアも反映させていきたいと思っておりますので、是非お声がけいただければと思います」

と、村上さん。

 





夏に気になる熱中症対策、どうする?


これからの時期、やっぱり気になるのは熱中症ですよね。先ほどオグレンジャーピンクを介抱していたシンゾウホッサー1号さんに熱中症対策について聞きました。


「熱中症になってしまったら、スポーツドリンクや経口補水液等で水分と塩分を補給してください。

そして日陰や冷房の効いた所へ移動し、血液の循環をよくするため衣服をゆるめて体を冷やしてください。氷枕、保冷剤などを使うのも有効です。

自分で水分補給ができない、意識がない、うまく動けない、言動がおかしい場合は迷わず119番して病院へ行きましょう」

熱中症を予防するには本格的に暑くなる前から体を暑さに慣れさせる「暑熱順化(しょねつじゅんか)」を行ったり、早めにこまめな水分補給(1時間にコップ1杯程度)をすることが大切。

日常的に汗をかく運動をするのもいいそうです。

消防隊員が着ているこの装備の重さはなんと30kg! 防火衣は熱を通さないが着ているととても暑いので、熱中症対策は重要。かなり早い時期から暑熱順化を行っているそうです。

 

溺れている人を見かけたら、まずやること


夏になると水の事故も増えます。溺れている人を見つけたらどうすればいいのでしょう?

「溺れている人を見つけたら、まずペットボトルや空のクーラーボックスなど浮力のあるもの投げてつかまらせましょう。そして助けを呼んで多くの人の協力を得るとともに、早く119番通報しましょう」

もし溺れている人が沈んでしまったら、沈んだ位置を背景などの目印と合わせて覚えておき、消防隊になるべく正確に伝えましょう。

つかまらせるペットボトルは、空だと遠くまで飛ばないので、少し水を入れるのがポイントです。

泳いで助けに行くことは、特別な訓練を受けた場合でなければ危険です。まずは、小さい子から目を離さない、気象状況に気をつける、飲酒して泳がない、泳がせないなど水難事故を予防することが大切ですね。

 

救急出動件数は過去最大を記録……救急車を呼ぶか迷ったら


最後に土屋署長にお話を伺いました。

「オグレンジャーは、消防から住民の皆様へお伝えしたい大切なメッセージを『正しく伝えること』に加え、『よりわかりやすく』、『共感』を得る広報を展開するために企画されました。

住民の皆様に信頼感、親近感を感じていただき、意識や行動がより安全に向かうよう『誰に、何を、どのように伝えるのか』を具体的に想定してシナリオや構成を工夫しています。

これからも住民の皆様の安全を守るため、さらにわかりやすく、共感を得られる消防広報に努めてまいります」

消火や救急の仕事が目立ちますが、消防署では予防や啓発にも力を入れていることがわかりました。

特に現在、救急出動件数が増大し、令和5年中は91万7千件を超えて過去最多を記録するなど、救急車がひっ迫している状況です。
そのため、もし119番通報してもつながらない場合は、次のことに留意してくださいとのことでした。

  1. 呼び出し音が鳴っている場合は、そのままかけ続けてください。
  2. 話し中になる、呼び出し音が鳴る前に切れてしまう、呼び出し音が鳴っている間に容態がわるくなってくるなどの場合は、最寄りの消防署に電話してください。
    1. 尾久消防署 03-3800-0119
    2. 荒川消防署 03-3806-0119

また、救急車を呼ぶか迷ったら、電話で「#7119」にコール!
インターネットでは「東京版救急受診ガイド」で検索!
とのことでした。

私も早速、尾久消防署の電話番号をスマホに登録しました。いざというときに安心です。
まだまだ気になる救命戦隊オグレンジャー、荒川102はこれからもオグレンジャーを追い続けていきます。

 

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