「フクシのなべさん」って誰?
FacebookやInstagramで介護情報を発信している「フクシのなべさん」を知っていますか?
下町花フェスの参加店を勝手に宣伝する(本人談)など、荒川区民ご用達のネットコミュニティで活動しているため、どこかで見かけたことがある人も多いのではないでしょうか。
「フクシのなべさん」こと渡邉 秀雄さんは特別養護老人ホーム(以下、特養)の施設長も経験した、業界歴25年の介護のベテラン。介護の将来について課題を感じ、独立して2022年7月から「フクシのなべさん」としての活動を開始しました。
その日は突如、訪れる……「自分で考えるべき」介護のこと
なべさんが今いちばん心配しているのが、介護業界の人手不足。
「私がキャリアを開始した25年前から慢性的に人が足らず、昨今では超過勤務が常態化。ここ10年は、特に介護業界に人が集まらないことを実感しています」
介護の現場だけでは対処しきれないと考えるにいたったなべさんは一念発起。一般の生活者の介護リテラシーを上げるための啓発活動を行うことにしました。
「誰もが歳を取り、いつか介護に関わるときが来ます。皆さんにお伝えしたいことは2つ。介護はある日、突然やってくること。そして、いつ終わるか期間がわからないことです」
介護についてどれくらい考えてる? チェック項目で診断
フクシのなべさんが行っている活動の1つは、生活者向けに親の介護の道筋が立てられる「介護シミュレーション」。もう1つは中小企業向けの介護相談です。
それではここで、介護シミュレーションの最初に渡される質問シートである「事前確認票」をもとに、あなたが今どれくらい介護について考えられているか確認してみましょう。いくつスムーズに答えられるでしょうか。
- 親、親戚など、これから介護が必要になる人がいますか?
- その人の住居はどれくらい離れていますか?(車で30分、電車で3時間など)
- その人には、日常的に管理が必要な病気がありますか?(糖尿病、心臓や腎臓の病気など)
- 介護が必要になったとき、どこで介護をしていこうと思っていますか?(自宅、施設など)
- 介護を受ける人に、その意向を確認していますか?
- 介護が必要になった際、他に協力してくれる人がいますか?
- その人以外に、同時に介護が必要になる可能性がある人はいますか?(父、母、その未婚の親族など)
- 介護にかかる費用について、現在の想定では下記のどれが一番当てはまりますか?
- 介護を受ける本人の収入内(年金、これまでの貯金など)
- 自分や家族で負担をする
……これらの内容のうち、特に後半について「まだ考えてなかった」「周りと認識合わせをしていなかった」と感じる人が多いのではないでしょうか?
特に気になるのは、たとえば親の介護にかかる費用について「親のお金でなんとかなるのか?」という点です。
施設に入れるって言うけれど……そんなにお金がかかるの!?
なべさんへの取材の際、この事前確認票を見ながら、どういった回答が多いのかを伺いました。
「どこで介護をするのかという質問について、家で見るのは難しいという考えから『施設』と回答する人が多いです。しかし現実として特養は順番待ちの状態。その間に有料老人ホームに入るなら、地域によって相場は異なりますが、月額料金は25万円以上かかります」
さまざまな料金プランがあるものの、月額料金のほか入居金として数十万〜100万円のお金がかかるケースが多いよう。高級な施設の場合は、この桁が1つ増えることも。
私も「親の年金だけでなんとかなるのかな」と漠然と考えていましたが、どうやらその考えは改めたほうがよさそうです。
「子どもに迷惑をかけたくないという思いから『認知症になったら施設に入れてね』と言っている親本人も、その施設にかかるお金を把握していないケースがほとんどです。自治体では在宅で受けられる介護サービスがありますから、まずはそれらを利用しながら身体、認知の変化について配慮していくことがおすすめです」
介護シミュレーションは1回5,000円(税別)。事前確認票のやり取りの後、1時間程度のオンライン面談を実施し、最終的に2〜3ページほどの介護シミュレーション結果シートを作成してもらえます。
>> 介護シミュレーション結果シート、サンプルPDFのダウンロードはこちら!
「親の介護の話をしたいけれど、どう切り出したらいいかわからない」「親とお金の話がしづらい」「介護の話をしたらケンカになりそう」といったお悩みにも、第3者の視点が入ることで「介護のプロから聞いたんだけど……」と切り出すきっかけ作りができます。
実際、これまでに相談を受けた人たちは、これらのやり取りの中で多くの気づきを得ているようで、その内容をもとに家族、親類と相談をする足がかりを得たようです。
会社にも大きな損失……介護離職を減らすには
フクシのなべさんでは介護シミュレーションのほか、地域の中小企業の介護離職をゼロにするため「介護離職防止サポート事業」という介護相談も行っています。
地域の中小企業と契約を結び、
- 職員(その家族)が、介護を必要としたときの相談支援
- 介護に関する勉強会の開催
- 介護が必要になったときを想定した計画支援
を実施。
1で職員に安心感を与え、2で個々人の意識を高め、3の計画作成で介護離職を防止します。
なべさんが繰り返し語るのは「介護はある日、突然やってくる。そして、いつ終わるか期間がわからない」ということ。「今から介護が必要になったら、具体的にどうしたらいい?」という大きな課題について、解決の糸口を見つけるサポートをします。
年末年始は家族とゆっくり時間がとれる機会。改めて親、パートナーをはじめとした親類の健康状況に目を配ってみましょう。少しでも気になったら、以下のInstagramやFacebookのアカウントにアクセスしてみてください。
「あるとき、突然」その日を迎えるか、事前に準備ができているかでは、できる決断やその後の納得感に大きな違いが生まれるはずです。
<サービス情報>
- サービス名:フクシのなべさん
- Instagram:https://www.instagram.com/kumagoroudai/
- Facebook:https://www.facebook.com/hideo.watanabe.520