53歳記者が人生で初めて神輿を担いでみた。超初心者向け天王祭体験記

6月7日(土)、8日(日)、南千住にある素盞雄神社のお祭り「天王祭」が行われました。

私53歳、荒川区在住。しかも神社のお膝元の南千住に住んで15年になるんですが、生まれて一度も神輿を担いだことがないんです。

生まれ育った街に神輿がなかったというのもあるんですが、新しく引っ越してきた人などはどうしたら参加できるのかわからないですよね。

あとは体力的な問題、この甘え抜いた体であの大きな神輿をかつげるのか? いろいろ不安な要素がたくさん…

というわけで荒川区の情報を発信する立場としては一回は担ぐべきと思いつつもスルーしてきたのです。

「神輿、担ぐんなら半纏(はんてん)借りておきますよ」

ご近所の友人からそんなメールが。
これは千載一遇のチャンスかも、でも衣装はどうするの?

ということでネットで検索。
浅草にある祭り用品の専門店、あだちやさんへ。

 

初心者は、いろいろ相談できる実店舗が安心


「あのー、今週末天王祭で神輿を担ごうと思うんですけど全く初心者なんです」
と尋ねると、女性の店員さんがとても親切に教えてくれました。

祭りの正装は白い鯉口シャツ、半股引(はんだこ白い足袋。これを用意しておけば大抵の祭りに対応できるんだそう。

鯉口シャツ、半股引は綿でできているので洗濯すると少し縮むのと、天王祭は神輿を振るので少し大きめの方が担ぎやすいのではないかとのこと。

天王祭に詳しいなと思ったら店員さんも天王祭で神輿を担いでいるそうで、頼りになる先輩。

あだちやには試着室があり試着用の衣装も各サイズ用意してあります。実際、着方も店員さんから直接教われるのが心強かったです。初心者の場合、ネット通販で買うより実店舗に行くことをおすすめします。

そして全く未知の世界の足袋。

足袋もいろいろあるんですね。
エアーが入っているものは長く担ぐときに効果大。疲労度が違うんだそうです。
今回は現代っぽくない、見た目重視でスポーツ足袋をセレクト。

 





いざ天王祭、当日!


3点セットを購入して前準備はOK。いざ当日。
この衣装、胸の小さなポケットしかなくスマホや財布を持ち歩けないので、小さなポーチなどあるといいかも。

今回使ったのは、以前荒川102でも紹介した「祭」さんのポーチ

自分で想像してた以上に様になっているじゃないですか。

「よそ者が入ってきた」
みたいな感じにならないか一抹の不安を感じながら神輿を探して合流。

全く問題なく入れました。周りの人がやっていることを真似しながら、神輿について歩きます。
しかし神輿に入るタイミングがつかめない。「入れてくれ」ってこちらから言う感じでもなさそうだし…

その瞬間は突然やってきた!

担ぐのが厳しそうな女性と目が合ってしまったのである。
「オレが来たからにはもう大丈夫だ!」
見た目だけは貫禄あるオレ、歳はとっていても実は神輿未経験。

その女性に代わって神輿に入ったわけですが最初の印象は「お、重い…
しかも担ぎ棒が肩の骨にガツガツぶつかって痛い。
これが神輿か、といきなりの激しい洗礼。

次第に、みんなのリズムに合わせるとあまり痛くないことがわかってくる。

これぞ天王祭といえば激しい神輿振りですよね。

見てるぶんには華やかでカッコいいですがいざやるとなるとムリ、ゼッタイムリ、足死んじゃうんじゃないかと思っていたのですが、大変なことには間違いないものの、意外にもそこまでしんどくない(この感覚が後で悲劇を起こす)

神輿を担ぐ私。
担ぐのに辛くなったら交代してもらいながら神輿は町内を進んでいきます。

次第に一緒に担いでいる人たちと仲よくなり、担ぎ方を聞いたりコミュニケーションが取れました。
「荒川102見てますよー」なんて声かけてくれる人もいました。

町内の人が提供してくれる休憩所では飲み物や軽食が。まさに町内一丸となったチームプレーですね。

飲み物だけでなく羽根やのつくね、金太楼寿司の海苔巻き、鮓三亀の卵焼きなど地元の名店の料理も楽しめました。

67日、8日と町内を渡御(とぎょ)した神輿は連合宮入りでフィナーレを迎えます。
宮入りとは町内を回った神輿が神社に戻ってくることを指します。
コツ通りに並ぶ多くの神輿は圧巻。

夜の闇の中で輝く神輿は、昼間とはまた違う迫力がありますね。

最後の力を振り絞り境内での神輿振り。
こうして天王祭は幕を閉じました。

 

天王祭の神輿、正しい参加の仕方は? 志茂若睦 会長に聞いてみた


と、勢いに任せて参加してしまった天王祭。
正しい参加の仕方があるのでしょうか?

今回、神輿を担がせていただいた志茂若睦 会長の佐々木さんにお話を伺いました。

ちなみに若睦というのは町会を代表してお祭りごとに従事している集まりです。志茂には主に企画や運営を担当する志茂睦と実行部隊の志茂若睦がいます。

新しく引っ越してきた人など、どうやったら祭りに参加できるのかわからない人も多いと思います。参加するためのプロセスやルールはあるのですか?

マナーさえ守って頂ければ初心者であろうと大歓迎です。参加するためには、まず半纏を確保してください。各町会、いろいろな手段を使っていますが、私たちは町内の要所にポスターを張ったりInstagramにて告知してます。」

神輿を担ぐマナー、気をつけることはありますか?

「まず他人に迷惑をかける行為はNGです。お酒を飲みすぎるのも危険なのでNG。ケンカは江戸の華と言われますが、これもダメです。みんなで仲よくワイワイ担ぎましょう。志茂独自のルールとして半纏は大切に扱ってください。道路に座る際に座布団や敷物代わりに扱う方がいますが、絶対にやめていただきたいです。私たちにとって半纏は特別なものなのです。」

特に難しいことではなく常識的なことですね。
神輿が通る前より街をキレイにしようと、若い子たちが街のゴミを拾う姿も見られました。

「私たちがお祭りを楽しめるのは、担ぎ手の皆さんと我々を受け入れてくれる街の皆様のお陰だと考えています。ですが、祭礼が終わると街の方々が朝早くに汚れた街を掃除している姿を見てこのままではいけないと感じ、少しでも貢献できればとゴミ拾いをするようにしています。」

参加するのに費用はかかるのでしょうか?

「志茂若睦では半纏のクリーニング代として11,000円いただいております。最低限そのお金だけでも大丈夫です。別途ご寄付いただけますと手拭いがついてきたりします。」

今回担いだ神輿以外にも神輿はあるんですか?

「今回体験していただいたのは大人神輿でしたが、町内には園児たちを対象とした山車・小学生を対象とした子供神輿・中学生を対象とした中神輿があります。それぞれたくさんのお菓子をもらえますので、お子さんをお持ちの方は是非ご参加ください。山車・小中神輿の鈴(参加証の代わり)や、半纏貸し出し情報はポスター・Instagramに載っています。」

今まで観客として観てきた天王祭。神輿を担いでみて、今まで以上に地域愛が深まりました。

神輿を担いでいるときは高揚感で気にならなかったのですが、自分が50代だということを忘れていました。2、3日遅れで腿は猛烈な筋肉痛、肩、腰にも痛みが(笑)

来年はもう少し体力をつけて担ぎたいと思います。

今回取材に協力していただいた志茂町会の皆様、ありがとうございました。

<志茂町会のSNS>

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です