先日の記事で開催告知をさせていただいた3月23日(土)開催の「ごきんじょファーミング」のオープニングイベント。
荒川102の記者も現場に行ってまいりましたので、レポート記事をお送りします。
-「ごきんじょファーミング」とは?
「ごきんじょファーミング」とは、荒川区役所の若手職員を中心に組成された研究会「モクミラ」によってプロデュースされた、官民連携プロジェクトの一つです。
荒川区の土地の6割近くが、地震時等に大規模な火災が発生するおそれのある木造住宅密集地域(木密:モクミツ)であることは有名なお話ですが、モクミラとは、そんなモクミツの未来(ミライ)を考えるための、若手の荒川区職員の集まりです。
荒川区のモクミツでは、燃え草となる木造建物の密度を下げたり、焼け止まりに必要なオープンスペースを確保したりという目的から、区が管理している空地が点在しています。
例えばこんな土地。
これらの空地には、当面は建物を建てられることがありません。
したがって、雑草が生い茂ったり、それを防ぐために防草シートが敷かれたりして、結果としてそこは死んだ空間となってしまいます。
防災という必要性からの取組みが、逆にまちの魅力を下げている側面があるのです。
今回、そんな土地を暫定的に活用して、まちづくりに役立てようというプロジェクトが始まりました。
モクミラが目をつけたのが、「まちなか農業」という手法だったのです。
今回の取組みの舞台となった場所は、荒川4丁目、荒川中央通りから旧荒川図書館に入るところの角地です。
聞くところでは、かつてはお肉屋さんが建っていた敷地なんだとか。
– オープニングイベントの様子
さて、ここからは3月23日当日の様子をご紹介しましょう。
モクミラメンバーやその他区役所職員、周辺の町会長のほか、ご近所の方々が大勢集まっており空地活用の可能性を感じさせる光景でした。
瞬間最大人数は公式には発表されていませんが、普段は何気なく通り過ぎてしまうようなこの土地に50〜60名は集まっていたように思います。
ちなみに、あまりに大人数で敷地内にとても収まりきらなかったので、普段は消防団として活動している参加者の方が善意から交通整理をしてくださる様子が印象的でした。
イベントは、モクミラの発起人である荒川区職員・伊藤賢司さんの挨拶で始まりました。
挨拶が終わるといよいよ畑づくりがスタート。
前日のうちに黒土が現場に運び込まれていたので作業は畝づくりからでした。
続いて、種蒔きの作業。
今回作られた畑は5畝で、それぞれ、
* にんじん
* なす
* エンドウ
* トマト
* じゃがいも
でした。
ほとんどが種から、じゃがいもについては種芋から植えていきます。
ここに集まったいろいろな世代の参加者が、コミュニケーションしながら土いじりする光景は、それはそれは豊かなものでした。
-マルシェも同時開催
この日のコンテンツは、畑作業だけではありません。
区内のお店を呼んだマルシェも、にぎわいづくりに一役買っていました。
定番のタルトタタンも人気でしたが、厳しい寒さから、ホットコーヒーやクラムチャウダーが飛ぶように売れていました。
-今後の展開
ここで植えられた野菜たちは、モクミラと畑を耕すプロジェクトチームのメンバーを中心としつつ、有志の区民によって構成される緩やかな集まり「ハーベストレンジャー」によって育てられていきます。
畑作りを通じて、町内会の範囲を超えたコミュニティが作られていくことは、災害時の共助という目的にとどまらず、荒川区での生活をより楽しくしてくれそうですね。
区民と区役所との間は、カベがあるように思われがちです。
この日はそんなカベを壊すようなコミュニケーションの様子を、たくさん見かけることができました。
公民連携や官民協働といった言葉は堅苦しいものでは全くなく、無理のないところから実現できるのですね。
そんなことを証明する一つの事例が、この取組みであるように感じました。
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