10/15新しい文化を体感するワーキングプレイス「5005」が西日暮里に誕生

視覚で世界をとらえる人々の身体や感覚について体感する場「5005」


2022年に放送されヒットしたテレビドラマ、silent(サイレント)は観ましたか?
このドラマで話題になったのは手話。手話に興味を持った人も多いのではないでしょうか。

大のドラマ好きである私は、過去の手話を使ったドラマ「星の金貨」「愛していると言ってくれ」「オレンジデイズ」も観ていました。

これら過去のドラマとsilentの違いに気づいたことがあります。
それは、silentには耳の聞こえない人、ろう者が出演されていたこと。

以前より手話に興味をもっており、学習していた私。
ドラマを観ていても、ろう者の手話はスムーズだしリアリティーがあります。
ろう者の役を当たり前のように、ろう者の俳優さんが演じるようになればいいですね。

さまざまな個性をもった人たちが、日々感じ取っている世界観を社会に発信していく。そんな社会の実現を向けて活動しているのが、牧原依里さんと和田夏実さん。

ろう者の牧原さんは、一般社団法人日本ろう芸術協会の代表理事として、東京国際ろう映画祭の運営やろう芸術に関わる実演者の育成などを担っています。

和田さんは、ろう者の親をもつ聴者「CODA(コーダ:Children of Deaf Adults)」であり、異なる身体性や感覚世界をもつ人々が主体的にコミュニケーションの在り方を考える機会をつくる、一般社団法人ooo(オオオ)の代表です。

お二人が所属する一般社団法人日本ろう芸術協会と一般社団法人oooが共同運営する文化施設、5005(ごーまるまるごー)が2023年10月15日にオープンします(お披露目会は同日19〜21時半、参加申込不要)。

手話という「視覚言語」で話す、ろう者、難聴者、CODAなど視覚で世界をとらえる人々を主体とし、自らの感覚や言語を起点とした創作を行う場所です。

場所は台東区になりますが、西日暮里駅から歩いて5分のところにあるというので取材してきました。

 

お芝居、映像、展示……幅広い用途に活用できる、5005


荒川区と台東区の区境で、目と鼻の先。

ろう者の方が店主のラーメン店、麺屋 義(よし)の隣です。

麺屋 義の隣

取材時点ではまだ工事施工前でしたが、中を見せてもらいました。

5005施工前

この空間が、工事後どのように変わっているか楽しみです。

5005は、ろう者の体や感覚をベースに設計された空間になる予定。

お芝居であったり、映像であったり、展示だったりといろんなことに利用できる空間になりそうですね。

 





いろんな人が意見を出し合い、化学反応が起きる場所にしたい


一般社団法人日本ろう芸術協会の牧原依里さん

日本ろう芸術協会の牧原依里さんに、手話でお話を伺いました。

 

— なぜ5005を作ろうと思ったのですか?

ろう者やCODAなどの視覚で世界をとらえる人々は、聴者とは異なる感覚や基準をもっています。そのとらえ方こそが、この社会の発展に不可欠という見方を社会に提供していく場が必要です。

そのため、さまざまな人が話し合い、意見を出し合うことで、化学反応のように新しいものが生まれるような場所を作りたいと思いました。情報交換ができたり、お互いについて新しい発見ができたりする場所にしたいと考えています。

5005に訪れた聴者にもその機会を提供し続けていくことで、聴者コミュニティにも影響を与えていくでしょう。結果的に、聴者たちにもろう者の存在とは何かを考えていただく機会となり、それらが社会の豊かな発展につながると考えています。

— 5005の名前の由来は?

まず、何もないところからいろんなものが生まれるイメージを手話で考えました。

それを日本語として出す場合どうしようと考えたとき、グーにした両手が「0」、パーが「5」に見立てられたので、その形から「5005」とつけました。

— どうして西日暮里なのですか?

偶然なのですが、ろう者の方が店主のラーメン店「麺屋 義」の隣の場所が空いてると聞いたことがきっかけです。

「麺屋 義」にはさまざまな手話話者や聴者が訪れるため、隣に5005をひらくことで、さまざまな化学反応がきっと起こるだろうと思いました。

— 読者にメッセージをお願いします

西日暮里が手話の街になるかも!? ぜひ、遊びにきてください。

 

5005のオープンに向けて、クラウドファンディングを実施中


一般財団法人ooo(オオオ)の和田夏実さん

別の日に、現在イタリアにいる一般財団法人ooo(オオオ)の和田夏実さんにオンラインでお話を伺いました。

 

「幼いときからろう者と聴者、2つの世界を行き来しており、コミュニケーションのあり方、出会いのあり方に関心があります。
手話という言語に魅力を感じており、今年5月には展覧会『〜 視覚で世界を捉えるひとびと』を北千住BUoYで開催しました。手話を知らない聴者からも『今までと異なる身体感覚の世界に飛び込んだような感覚になった。ダイレクトに視覚で受け取っているイメージだ』という感想を受け、私たちがめざす未来はここにあると確信しました。

一方で、手話はいま聴覚補助技術の発達や少子化により使用者が減少しており、消滅の危機に瀕しています。

5005では、『視覚で生きる人々』の文化醸成をミッションに掲げて活動していきます」

 

10月18日まで、5005のオープンに向けてクラウドファンディングによって資金を集めています。牧原さん、和田さんの活動の詳細も書かれているので、ぜひチェックしてみてください!

クラウドファンディングはこちら:手話×出会いから生まれる新しい文化を体感する施設「5005」を作りたい(社会問題と向き合う人のクラウドファンディング“GoodMorning”)

 

<施設情報>

 

 

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