「今年の天王祭は中止だったんでしょ?」「でも天王祭のポスター貼ってあったよ」
こんな声を耳にします。今年の天王祭では新型コロナウィルスの影響で各町会の神輿や山車は出ませんでした、神社の境内に屋台も出ませんでした。だからといって天王祭が行われなかったわけではないんです。
今年の天王祭をレポートします。
「たしかに今年の天王祭は中止なんでしょ、という話は聞きますね」
今回お話をうかがったのは素盞雄神社の宮司さん。
天王祭といえば勇壮な神輿振り、お神輿がでない=祭をやらない、というイメージがあるのでしょう。
お神輿の宮出しから宮入がお祭りだと思ってる人も多くいると思います。
今年の天王祭のポスターには6月2日に宵宮祭。6月3日に例大祭がおこなわれると書いてありました。
例大祭とは神社で行われる3大祭(祈年祭、新嘗祭、例大祭)のなかでも最も格式が高い祭です。
毎年、この大祭式には61ヶ町総代をはじめ氏子崇敬者、約200名が参列するなか厳粛な祭儀が斎行され悪疫退散・除災招福・郷土繁栄を祈念しました。今年は密を避けるため町屋地区、三河島地区、南千住三ノ輪地区の3部にわけ総代のみの参列。そのときにお宮からお出ましになった御本社御分霊(わけみたま)を受け各町に持ち帰りました。
今年は特別に新型コロナウィルスの影響から疫病がなくなることを祈願する神事、神宝「天降諏訪面出御」が行われました。なんとこの神事、前回行われたのは明治時代とのことです。
今年の天王祭は密集、密接を避け行われました。
新型コロナウィルスの収束を願いつつ来年の天王祭を楽しみに待ちましょう。
素盞雄神社では6月30日夏越の祓が行われます。
茅の輪が設置され毎日多くの人が茅の輪をくぐっています。
無病息災を願う茅の輪くぐりはスサノオノミコトが旅の途中に蘇民将来(そみんしょうらい)から宿を借り、そのお礼に「疫病が流行した時、茅の輪を腰に付ければ逃れられるでしょう」と教えたことに由来します。
当たり前のように行われている行事の意味や由来を知ると見え方も変わってきます。
こういった状況の中でも伝統を守っていく人たちの存在もあります。
歴史や伝統を感じながらお詣りするといつもの風景もまた違って見えるかもしれませんね。
(写真協力 天王太鼓会 林 英一様、渡邊 佐絵子様 )
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