普段使いできる土器を作ってみたい
2022年10月、西尾久にオープンした土器作りの体験教室、土の子。
「土器を作るお店ができた」といううわさを聞いてからずっと気になっていたお店です。自分で作った土器でビールを飲んだらおいしいかなぁ。ふと、そんな思いにかられて伺いました。
土の子のスタッフは、武蔵野美術大学で陶磁器を学んでいたという西山彩子さん(写真・右)と我妻泉香さん(写真・左)。
西山さんは陶器の製造スタッフ、美濃焼の商社での勤務を経て、神楽坂の飲食店で土器を使った体験から土器に目覚め、土の子を開業。
我妻さんは福島県柳津町の地域おこし協力隊として展示やイベント企画をしながら、当地で原土採集や土器作りにも挑戦し、地域おこし協力隊卒業後に土の子へ参加しました。
土壁が塗られた店内には、スタッフのお二人が製作したさまざまな形の土器がずらり。茶碗やタンブラーのほか、調味料入れや花瓶、キャンドルホルダーなど多岐にわたります。
こちらでは土器作りの体験のほか、土器の販売、注文による製造も行っており、これらの商品を買うことができます。初めての土器作りでどんなものを作ったらいいものか……と悩む人の参考にもなりそうです。
手びねりと電動ろくろ……選べる2つのコース
土の子の土器作り体験は、手びねり、電動ろくろの2つのコースから選べます。
初心者におすすめなのは、自由な形が作りやすい「手びねり土器作り体験」。材料費込みの3,900円(税込)で、90分の間に手ろくろを使って成形します。
カップ、お皿、箸置きといった日用品から、オブジェなどの作品作りも楽しむことができるコースで、4名まで同時に参加でき、対象は4歳以上。
丸い形の土器が作りやすいのは「電動ろくろ土器作り体験」。材料費込みの4,700円(税込)で、こちらも90分です。
力加減にコツがいるため手びねりより難易度は高めですが、2名までの少人数コースでスタッフ1名がついてサポートしてくれるため安心。
初めての人でも時間内に2つ以上の作品を完成しているそうです。対象年齢は6歳以上となっています。
なお、作品を実際に使えるように焼成(しょうせい)するには4週間前後の期間と、1個あたり500円〜の焼成費がかかります。詳細は土の子のwebサイトで確認してください。
土は焼かない限り何度でもやり直すことができる素材で、時間内であれば土は使い放題。大人から子どもまで楽しめます。
なお、お店の目の前には銭湯の梅の湯があるため、土仕事の後にお風呂に入って帰るコースもおすすめだそうです。
この日は夫婦で参加し、手びねり土器作り体験コースにチャレンジすることにしました。
私は取材しながらなのでビアタンブラーを1点だけ作ることにして、妻は片口(かたくち)を中心に作れるだけ作ってみることにしました。
土を砕くところから材料に向き合います
まず案内されたのは、奥の部屋。ここで土を細かく砕いていきます。
最初はこれくらい塊になっている土を……
ハンマーで細かくしていきます。もくもくと作業に没頭していき、この時点ですでに楽しくなってきました。
粉ふるいで、さらに細かくしていきます。
さらさらの砂になりました。触っているとなんだか落ち着きます。目の前のことに集中するため、リラックス効果もありそう。
少しずつ水を加えていき……
粘土と混ぜて、土の塊にします。
材料のムラをなくすため、土の塊をさらにこねていきます。
ここで先生が見せてくれたプロの技、「菊練り」。
見ての通り菊のような模様になる練り方で、土器や陶器作りのほか、手打ち蕎麦の工程にもある作業です。材料をよく混ぜ、空気を抜いていきます。
きれいな球になりました。ペタペタして気持ちいい土の塊です。隣の作業台に移り、いよいよ成形していきます!
手ろくろによる、手びねり土器作りをスタート
こちらの青い円形の台が「手ろくろ」。中心を軸に、360度くるくる回るようになっています。
指先を水でぬらし、手ろくろを回しながら底面から成形します。手ろくろに同心円の線が引いてあり、これを目安にするため簡単です。
土の上面に親指で穴を開けて……
器の形にしていきます。
粉状だった土が、もう器らしい形になってきました! 土器ってこうやって作るんだと実感します。
思うように成形できなくても大丈夫。先生がフォローしてくれます。
一緒に作業してリードしてくれるため、どうしたらきれいになるのか、理解しながら作業ができます。
たとえば、このように切れ目を入れて……
余った部分をカット。
水でぬらした鹿の皮を指にまいて……
縁の部分をなめらかにしていきます。
食卓に並ぶ器のようなかたちになりました。
縁の1カ所に、すっ……と人差し指を押し当てると、片口に!
すごい、お店で売ってる器みたい!
まねしてやってみたところ、初心者でもそれらしいかたちになりました。愛嬌のある、かわいらしい出来に本人も満足した様子。
土器の表面に模様をつけてみよう
成形した後、土器の表面に模様をつけることができます。串状の道具で細かな線を引いてみました。
模様をつけるための道具は、さまざま。
底面に貝殻を押し当てたり……
縄目の模様をつけたりできます。
私のビアタンブラーも完成! ハンコのような道具で、花の模様をつけてみました。
90分間で妻は合計3点を製作。ちょっと大ぶりに見えますが、焼成すると9割ほどのサイズに縮むそうです。
乾燥させて、作品の焼き上がりまでは4週間前後かかります。ここからどんな焼き上がりになるのか……? できてからのお楽しみです。
こんな作品も販売されています
土の子では、土器の販売も行っています。土器を見てみたいけど体験まではちょっと、という人は、まず販売されている土器を手にとってみてください。
こちらは猫のキャンドルホルダー。
一輪挿しも土器だと温かい印象に。
ショップカードのケースも土器。当初のイメージ以上に、土器でさまざまなものを作ることができそうです。
大人から子どもまで気軽に楽しめる土器作り体験。土に向かって手を動かす作業を通じて、達成感だけでなく、心が落ち着く作用があるように感じました。
作るだけで焼成しないことも可能です。失敗しても、作り直せるのが土器作りの魅力。おもしろそうと感じたら、ぜひ参加してみてください。
<店舗情報>
- 店名:土器作り体験教室 土の子
- Instagram: @tuchinoco_doki
- 営業時間:13:00〜21:00
- 定休日:月曜、火曜
- 住所:東京都荒川区西尾久4-12-34 コーポ庄子 102
- 電話番号:090-8069-0448