消防団って知ってる? 訓練の成果を発表、荒川消防団 消防操法大会に行ってきた

南千住に住む芸人なべかずおさんから
「6月22日に消防操法大会がありますよ。見に来ませんか?」
と、お誘いを受けたので見に行ってきました。

場所は南千住にあるJR貨物 隅田川駅構内。普段なかなか入れることがない場所なので早くもテンションが上がります。

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出迎えてくれたなべかずおさんは、荒川消防団 第3分団に所属する消防団員。
普段はビックボーイズという漫才コンビのメンバーとして、浅草東洋館などのステージに立っています。

普段のステージで見る姿とは違って、消防団の制服姿も素敵ですね。

 

消防団消防操法大会とは?


消防団消防操法大会は、消防団員が日頃の訓練成果を競い合う大会。各消防団で年1回開催されています。

荒川消防団消防操法大会では8つの分団から、それぞれ指揮者、1番員から4番員までの5人がエントリーし、動作の正確さや安全性、規律スピードなどを審査します。

指揮者の指示のもとポンプを始動しホースを繋ぎ、火元をイメージした標的を狙い放水。

各チームキビキビとした迅速な行動から放水へ!見ていて圧巻です。

いよいよ、なべさんが所属する第3分団が登場。

放水を担当する1番員が女性というのは荒川消防団では史上初ということもあり、他の団に所属する女性団員からも声援が多くありました。

この放水作業は水圧もかなりあり想像以上に重く、体力のある男性でも安定して火元を狙うだけでも大変とのこと。

そして、前回優勝の第8分団。

ただただすごいというか、動きに一切無駄がない。
女性団員2人も素晴らしい。

 

全てのチームの発表を終え表彰式へ。

優勝は前年に続き第8分団。第3分団は4位という結果でした。

 





放水担当、小倉さんに聞きました


今回、放水を担当した1番員の小倉さんにお話を聞いてみました。

―― 1番員として初めての参加だと思うのですが、感想をお願いします。

「今回私が所属する第3分団の副分団長から、自分は最後の操法大会になると思うので、自分の水出しで放水を頑張ってほしいという大変うれしいお誘いのもと、1番員として選手をやらせていただきました。

副分団長は4番員として出場されたのですが、筋力が不十分な私に対して、練習でも本番でもすごく寄り添った水出しをしてくださいました。

結果は4位と入賞まであと一歩届きませんでしたが、副分団長だけでなく、他の選手の皆さんやサポートしてくださった第3分団の皆さんと一緒に悔いの無い全力のパフォーマンスができたことを大変うれしく思っています」

 

―― この荒川消防団消防操法大会で女性が1番員(放水手)というのは初めてと伺ったのですが、プレッシャーなどありましたか?

私もお伺いして、とても驚きましたし、不安もありました。

というのも、数年前女性初の2番員となるべく操法大会に出場したことがあったのですが、2番員は走りを求められることが多く、中学高校と全国大会に出場するような陸上部の長距離に所属していた私にとって、特技を活かし、自信をもって選手ができる番員だったんです。

しかし1番員だと、一番必要なのは腕の筋力。脚ばかり鍛えてきた私にとっては、一番の苦手分野でした。

実は競技の最後に、ノズルを回して閉め、放水を止める動作があるんですけど、あの動作、大会の前日まで成功していなかったんです。当日成功したのは、副分団長のポンプの操作技術と皆さんの声援、そして運のお陰としか言いようがありません。
周囲の皆さんのお陰で、本番は無事プレッシャーをはね除け、練習以上のパフォーマンスをすることができました」

 

―― 小倉さんにとって消防団とは?

私にとって消防団とは、東京の家族のような存在です。

私は富山県出身で、地元から上京し、荒川区で放課後こども教室という職場に出会いました。
そこに当時勤めていたのが、今回指揮者を務められた女性の副分団長です。

彼女から消防団に誘っていただき、私の父も地元で消防団員をやっていて興味があったことから、二つ返事で入団しました。

初めは父がどんな仕事をしていたのか知りたいという理由が一番でしたが、皆さんと一緒に活動をしていくうちに、防災知識の大切さや、子ども達へ教える意味、皆さんがどんな思いをもって活動されているのかに触れ、私自身も地域の防災や安全の為に自分に何ができるのかを考えるようになりました。

そこから今は、地域の防災訓練や、小学校での出張授業、紙芝居の上演など、皆さんと一緒に消防団の枠を越えた活動をやらせていただいています。

こうしたことに誠実に向き合えるのも、入団してからもうすぐ10年。風邪を引いたら差し入れを持ってお見舞いに来てくださったり、家や駅から遠い出動の際には最寄り駅や自宅まで送って下さったりと、まるで本当の家族のように接してくださる、皆さんのお陰だなと思っています。
そういった理由から、私にとっての消防団は本当に家族のような存在なんです

 

ありがとうございました。
なかなか知ることがない消防団の活動を知ることができました。

 

消防団は、どういう組織なの?


街に貼ってある募集のポスターなどで、消防団という名前は聞いたことがある人も多いと思いますが、どういう組織なのでしょう?
荒川消防署の防災安全係長 宮島さんに聞いてみました。

 

―― 消防団というのはズバリどういうグループなのでしょう?

「消防団とは各市町村に設置されている消防機関です。地域住民や在勤・在学されている方などで構成され、災害時に消火活動や救助活動を行います。消防団は区ごとに設置されており、荒川区には荒川消防団と尾久消防団の2つの消防団があります。それぞれ本団のほか地区ごとに分団に分かれていて、荒川消防団には8つの分団、尾久消防団には6つの分団が設置されています」

 

―― 具体的にはどういった活動をされているのでしょうか?

団員の皆さんは普段は本来の仕事や学業、家事などをしています。火災や風水害、地震などの災害時に消防署と連携して消火活動や救助活動等を行います。平時では災害活動を行うための訓練のほか、都民への防災指導やお祭りやイベントでの警戒活動を行うなど、地域防災の要として住民の安全を守る重要な役割を担っています」

―― 消防というと消防士のイメージが強く、屈強な男性じゃないとできないイメージがありますが、操法大会では女性団員も多くみられました。体力に自信がない人でも消防団に入れますか?

はい。消防団の活動は多岐にわたり、体力だけでなく、それぞれの得意分野を活かして活動できるため、体力に自信のない人でも活躍する場があります

 

―― 消防団に入るには資格がありますか? また報酬などはありますか?

東京23区内の消防団については18歳以上の健康な方で、23区内に居住・勤務・通学されている方なら誰でも入団することができます。

消防団に入ると報酬があります。42,500円からの年額報酬のほか、災害出場や訓練、指導などの活動に参加すると、1回につき4,500円が支払われます。災害活動に従事した場合は、1回につき9,000円です。また、5年以上在団した方には勤務年数や階級に応じて退職報奨金も支払われます。

そのほか、表彰や公務災害補償制度、危険物取扱者などの試験で科目免除が受けられる優遇制度など、さまざまなメリットがありますよ

 

―― 消防団への入団方法を教えてください。

特別区消防団への入団に関するお問い合わせは、専用ダイヤル0120-119-588に電話するか、最寄りの消防署にお問い合わせください。またインターネットから特別区消防団への入団エントリーもできます」

 

消防団の歴史を調べてみると江戸時代、八代将軍吉宗が江戸南町奉行の大岡越前守に命じ、町組織としての火消組である店火消(たなびけし)を編成替えし、時代劇でもお馴染みの町火消「いろは四八組」を設置させたことが今日の消防団の前身であるといわれています。

その後、多くの変遷を経ながら地域の自主的、民主的な消防組織だということがわかりました。

消防団員は全国に75万人。
消防士だけでなく私たちと同じ多くの世代、職業の市民たちが火災や災害から街を守っています。

ただ、全国的に団員の高齢化や成り手不足も問題になっています。
私たちの街の防災、もう一度みんなで考えていきたいですね。

<消防団情報>

首都東京を守る消防団ページ

<参照ページ>

消防団オフィシャルウェブサイト

<写真提供>
荒川消防署

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