荒川銭湯巡り:その参 – 斉藤湯はこうなる!

だいぶ間が空いてしまいましたが、久しぶりの荒川銭湯巡りシリーズ。 今回取り上げるのは、以前は日本で唯一の三助がいた銭湯として有名だった日暮里駅近くの斉藤湯さん。

実は現在改築中ですが、読者の方にオーナーさんをご紹介いただき、なんとオープン前インタビューを実現! これからリニューアルされる新時代の「斉藤湯」がどんなお湯になるのか?その思いを聞いてきました〜

ご主人の斉藤勝輝さん

・歴史について教えていただけますか?

昭和6年の名簿にはのっていないのですが、9年の浴場名簿にはうちの祖父の名前で名簿にでています。 それから両親を経て私で3代目になりまして、祖父母が始めてから創業八十数年ということになります。

祖父母が銭湯を始めたときには、元々祖母が浅草で髪結いをやってたんです。そのおじさんが銭湯をやってたんですが、おじさんからいい物件があるからやってみないかと言われ、祖母が三河島で「谷中湯」という風呂屋を始めたのが最初なんです。

風呂屋は家族の協力が必要なものですから、そこで私の父親が祖母の手伝いをするようになったりして、それで段々本業になっていたんですね。 現在の三河島駅の下に貨物の引き込み線があったんですが、そのすぐ脇に「谷中湯」はあったんです。

・なぜ三河島なのに谷中湯なんでしょう?

私もなぜ谷中湯だったのかなと思いましてね、古地図を調べてみたらこの地域が「谷中本村」っていう住所だったんですね。

この地域は当時はずーっと畑があるような地だったんですけど、そこで収穫された生姜が「谷中生姜」っていうんですよ。だから本来谷中生姜っていうのは今の谷中じゃないところが産地だったようなんですけど、それが地名として残っていたんですね。それで屋号を谷中湯にしたみたいです。

・今の斉藤湯にはいつ移転したのですか?

私も小学校入るまでは谷中湯にいたんですけど、その後、西日暮里にほまれ湯っていう風呂屋を父親が始めて、まずはそこに移ったんです。その時には谷中湯は他の方に譲って、それでほまれ湯をスタートしたんですね。 それあと更に、今の斉藤湯の地に、もともと別の方が運営していた銭湯が売りに出ていると知って、父親が買いました。当時はよく運営者が変わる時代だったんですね。ですので、それから風呂屋を2軒運営していたんですね。

最終的に、ちょうど200-300mの圏内で父親が3軒の風呂屋を残してくれたんです。今は2軒は業態を変えましたが、1軒だけ風呂屋を続けています。それが斉藤湯です。

工事中外観

・斉藤湯といえば三助さんがいることで有名だったと思うんですが、今回の改築ではどういったお湯にされるのでしょうか?

やはり、銭湯の原点である沢山のお湯で温まってもらって、その良さを改めて味わってもらえるような浴場をやりたいなって思ってます。

今の時代はサウナを作ったりもしますが、うちはあえてサウナをつくらず、お湯そのものを味わってもらうところにこだわりたいなと思ってます。 今は家庭風呂も良く出来ていますしね、なかなかお風呂の入り方が忘れられてきている部分もあるんですが、大きなお風呂や空間で温まるとこんなに体が楽になるよってのを伝えたいんです。

・どんなお風呂になるんでしょう?

マンション併設になるんですけど、単にビルに納まった箱物の銭湯を作るんじゃなくて、銭湯らしい雰囲気を残して「ここに銭湯があるんだよ」っていう存在感を感じてもらえる建物にする予定です。玄関前は昔ながらの浴場の雰囲気を残してもらえるものにしました。

・お風呂のほうはどのような?

玄関の方向は今までとまったく同じです。バリアフリーのスロープも設けてます。

流し場はこれまでと同じように2階まで吹き抜けの広い空間を用意します。 お風呂はいろいろなお湯を楽しんでほしいので、熱いお風呂、水風呂や、炭酸泉も用意します。女性に人気のお肌がすべすべになるお湯ですね。 ジェット湯も子どもも入れるように少し広めに用意します。さらに露天風呂や変わり湯もあります。

ホールも、多目的ホールとしていろいろな催し物に使ってもらえるようにする予定なので、少し広めに作ります。

☆新しくできる斉藤湯はこうなる!特別大公開〜☆

外観はマンション併設でありながら、銭湯の存在感をしっかりと主張した斬新なデザイン。

斉藤湯 – 設計図外観

内部は広々とスペースをしっかり確保。昔ながらのお風呂から露天風呂まで!

斉藤湯 – 平面図

・完成予定は?

4月下旬に完成する予定です。

・沢山お客さんに来てもらわないとですね。

これからは女性にも来てもらえる作りにしていきたいと思ってまして、お風呂もカランもシャワーも、お湯は全て軟水にするんです。 温度もしっかり管理するんですけど、江戸っ子が昔から入っているような熱いお湯も残しつつ、もう少しぬるめのお湯、更にぬるめの炭酸水と言った感じで、3種類の温度のお湯を用意して、無理なく体を温めていただけるような場所にする予定です。

最近はお湯に入ることが体に良いということがちゃんと立証されてきていて、銭湯の入り方次第で強い体を作れるという話しもあるんですね。なので入り方もお伝えできる銭湯にしたいと思っています。 昔は熱いのを我慢して入るのが銭湯で、一見さんが入りにくい、という印象もあったと思うんですが、子どもでも女性でも気軽に入れて、入り続けると健康にも良い、ということを感じていただけるお風呂にしたいなと思ってます。入り続けると風邪を引かなくなった、とか。

また、以前もそうでしたが、浴場セットや貸しタオルも用意しますので、手ぶらで来ていただけます。

工事中内観

・イベントもやるんですか?

以前は落語会とかをお風呂月で1000円とかで月1回はやってたんですが、今後もそれは続けていこうと思ってます。

これからは、手芸とか、お客さんにもいろんな趣味をお持ちの方がいますから、例えばそういう方にホールの壁面を提供して作品を展示販売していただいたりとか、そういうのも考えてます。私どもはお風呂を知ってもらうだけでもいいので、イベントをやりたい方にはぜひ気軽に使っていただきたいですね。

・宣伝はどのように?

地元ではポスティングなどもしますが、ホームページを作り直します。最新情報はFacebookも広げていきたいですね。メルマガも検討中です。 もちろん毎月変わり湯もやりますから、看板もだします。 お湯への注文や、イベントの希望など、読者の方の声とかもぜひ頂きたいですね。

これまで斉藤湯を守りぬいてきた3代目の勝輝さんが、これからの時代でも愛される銭湯の姿を模索して辿り着いた、伝統と新しい工夫が調和した空間。 どのような銭湯ができあがるか、これは楽しみです!

勝輝さん(右)、裕一さん(左)、雄大君(中)

<銭湯データ>

  • 銭湯の名前:斉藤湯
  • 住所   :東京都荒川区東日暮里6-59-2
  • 営業時間 :改築中(2015年1月時点)→ ※(追記)4月27日(月)リニューアルオープンです!
  • 電話番号 :03-3801-4022
  • ウェブ  :http://saito-yu.com

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