リオオリンピック・パラリンピックが終わったら、今度は東京オリンピック・パラリンピックですね。
銀座で行われた凱旋パレードもすごい人でした。
4年後に開催されるのですが街は東京オリンピック・パラリンピックムードですよね。
そんな中、荒川区は東京オリンピック・パラリンピック理解事業を行っています。
その事業の一環で、手話を使ったサインコーラスのデュオ「アツキヨ」が、荒川区内の小中学校を周って「アツキヨゆめコンサート」を行っています。
アツキヨとは・・・
あっちゃんこと荒川区出身の佐々木厚さんがギターを担当し、Kiyoちゃんこと重度難聴の中村清美さんがサインボーカルをしている、二人からなるデュオ。
尾久宮前小学校で行われた「アツキヨゆめコンサート」を観に行ってきました。
最初は、子どもたちもちょっと緊張気味。
あっちゃんとKiyoちゃんが、少しずつ緊張をほぐしていきます。
Kiyoちゃんは、生まれた時から、耳が聞こえないという話をしてくれました。
でも、Kiyoちゃんは話すことができます。だから、とても耳が聞こえていないとは信じられません。Kiyoちゃんはどんな風に聞こえているのか、子供たちにもわかりやすく説明してくれました。
「プールに潜ったときに、潜っていない人から呼ばれても聞こえない。籠ったような音ではっきりと聞き取れない。そんな感じです」
じゃあどうして、Kiyoちゃんは話せるんでしょう?
「耳が聞こえないとわかったときに、お母さんがいろんな人とコミュニケーションをとれるように厳しい訓練をしてくれました。たとえば、ご飯を食べるときに「ご・は・ん」、味噌汁を「み・そ・し・る」とちゃんと発音できないと食べさせてくれなかったんです。」
子どものころ大変な訓練をされて話せるようになったんですね。
アツシさんが、Kiyoちゃんは聞こえるけれど、Kiyoちゃんみたいにしゃべれない人もいるし、手話でお話しする人もいるので、その人に合った方法で手助けをしてあげてくださいね。と子どもたちに話していたのが印象的でした。
そんなKiyoちゃんのことをふまえて二人は子供たちに、「あ・つ・き・よ」という指文字を教えてくれました。
子どもたちも手を挙げて指文字を真似ています。
子どもたちがリラックスしてところで、『ごあいさつ』という歌です。
手話のあいさつ「おはよう」「こんにちは」「こんばんは」が取り入れられているので子どもたちも手話を覚えられます。
アツキヨの歌に合わせて、「おはよう」「こんにちは」「こんばんは」の歌詞が出てくるところで一緒に手話で表していました。
手話は英語でサイン・ランゲージと言います。歌はボーカル。その2つを合わせてサイン・ボーカルとKiyoちゃんは表しています。
ただ手話をするだけではなく、体をいっぱい使って音楽や歌詞を表せています。一見踊っているように見えますが、一つ一つの動作には意味があるんです。
子どもたちの質問タイム!
子ども 「どうしてアツキヨという名前にしたんですか?」
アツキヨ 「あつしのアツと、きよみのキヨを合わせてアツキヨとしたんですよ。結成当初は、コンセプトがあって、”疲れた体を薬で癒すのが、マツキヨ。疲れた心を歌とパフォーマンスで癒すのがアツキヨ”って言ってたんだよ。」
子ども 「どうしてアツシさんはギターを覚えたんですか?」
アツシ 「好きなギターを弾きながら歌いたいと思って、当時はストリートミュージシャンが流行っていて、ギターを弾けないと駅前で歌えないと思ったのでギターを始めました。好きな歌を弾くためにギターのコードを一生懸命覚えて弾けるようになったんだよ」
子ども達の質問はアツシさんに集中していました。アツシさん嬉しそう~。
次の曲『土曜日・日曜日』に、子どもたちも手話で参加します。
一番盛り上がったのは「ふりかけの歌」
ステージいっぱいに子供たちが上がって、ノリノリで踊って歌っていました。
最後にKiyoちゃんのメッセージ
耳が聞こえないKiyoちゃんが歌います。
子どもたちも、何かを感じ取ったんじゃないかと思いました。
教室に戻っていく時、指文字を練習している子どもがいて感激しました。
コンサートが終わった後、アツキヨのお二人にお話を伺いました。
– アツキヨの結成は、北千住の路上ライブをしているあっちゃんにKiyoちゃんが手紙を渡して「一緒にやりたい」とアピールしたからだとか?
Kiyoちゃん:実は、手紙というよりメモみたいな。ほとんど紙をちぎって渡したんですよ(笑)。当時、私と一緒にやってくれる人を探していたんです。
私が手話を知ったきっかけは、ドラマ「星の金貨」でした。高校の時、友達に「きよちゃんと同じ、耳が聞こえない人のドラマが始まるよ」と教えてもらいました。
筆談を使うんだろうなって思っていたら、酒井法子さんが掌をひらひらさせていて、「これ何?!」とお母さんに聞いたら、「耳が聞こえない人の言葉で手話って言うのよ」と教えてもらった。え、私は知らないよっていうと、お母さんが「あなたは、話せるから」って言われて、すごく衝撃的でした。
専門学校の時に手話に出合ったのですが、米内山明宏さん、井崎 哲也さんの手話のポエムは手話がわからなくてもパフォーマンスを見て感動することができることに驚きました。またアメリカにも興味があったので、アメリカの大学に行く人とアメリカに見学に行ってみたら手話が全く通じなかった。そのころは、ASL(American Sign Language、アメリカ手話)があることを知らなかったんです。
コミュニケ―ションがとれなくて寂しいと思っていた時に、大学の文化祭で耳の聞こえない人がサインポエムをやっていて、ASLがわからなくても観たら状況や情景がわかったんです。
これはすごい。私も、耳が聞こえる人も聞こえない人もわかる雰囲気やイメージがわかるサインボーカルをやってみたい、と思ったんです。そこでパートナーを探している時に、北千住の路上で歌っているあっちゃんに出合いました。
初めて会ったとき、ミスターチルドレンの「イノセントワールド」を歌っていたんですが、声が私にとっては入ってきやすい歌声でだった。
あっちゃん:「土足で人の心に入ってくる歌声」って言ってたんですよ。ほめてるんだか、けなしているんだか(笑)。
Kiyoちゃん:歌声に言霊を感じたんですよ。
– あっちゃんもすぐにOKだったんですか?
あっちゃん:聞こえないという障害を持っているのに声を掛けてくれたのも嬉しかったですし、どんなものか自分も見てみたいと思ったんです。でも、一緒にやってみたら隣なので見れなかったんですけど(笑)。今はこうやってよく話をしますが、最初は全く話さないでいたんですよ。
Kiyo:話すと、聞こえないと思ってもらえないと思ったので(苦笑)。
あっちゃん:実際にやってみると、足を止めてくれる人も増えたし、当時のファンとも僕以上にコミュニケーションをとってました。1+1は2以上のエネルギーがあると思ったんです。
– 耳の聞こえない人が声を出すことが出来ても、音程を出すのはとても難しいと思うのですが、どのように練習したんですか?
あっちゃん:最初は「ド」の音から一つずつ何度も何度も練習しました。音程を上げて、下げてというのがわからないので手で表しながら練習しました。
Kiyoちゃん:毎日自分の体に覚えこませる感じです。今日はここが響いているからここが「ド」だと覚えるんです。でも、体って調子によっても変わるので、昨日と同じようにここを響かせたから「ド」が出るってことがなくて、日に日に変わるんです。今日はここが「ド」みたいに。
本番では色々な歌を歌うので、「キセキ」を歌う時には直前に音を合わせて調整します。毎回勝負です。
あっちゃん:Kiyoは、聞こえないから上手に歌えたかどうかがわからない。達成感が無いんですよね。
– 荒川区についてどう思われますか?
あっちゃん:なんたって地元ですから。地元はいいですよ~。小中学校を回っていますが、子どもたちは基本的に素直でノリもいい!
Kiyoちゃん:びっくりしたことがあるんです。区役所に挨拶に行ったときに福祉課の方も紹介してもらったのですが、その時、「荒川区ではこういう取り組みをしているんです」と”荒川区コミュニケーション支援ボード”を見せてもらったんです。
地域が密着して、お互いに助け合う町づくりをしている区だなぁ~と思いました。
アツキヨ:今後は、荒川区のイベントなどに呼んでもらって、「ゆめコンサート」を見た子どもたちと一緒に荒川区を盛り上げていきたいと思います!
アツキヨのお二人にお会いして、大きなパワーをいただきました。
また、是非荒川区のイベントに来て欲しいです。
その時はもちろん、荒川102でまた取材させてください!
指文字で「あ」「つ」「き」「よ」と表しています。
アツキヨの最新情報などはアツキヨのFacebookまたは、ホームページをご参照ください。
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