荒川区の夜を遊ぶ:連載第1回「Bar Elmar」

Bar Elmar #1

 

「まず香りを愉しんでください」

 

とマスターが出したのは「秘められた魔法使いの黒魔術」というタイトルが付けられたグレンファークラス28年。軽くグラスをまわしてみる。甘く、そして鋭く濃厚な香り。

 

「次は舌先に一滴乗せる感じで味わってください」

 

一瞬舌先からふわっと香りが立ち喉にはいって戻ってくる、複雑な味わいだ。

 

そして次に出されたのはアードベッグ7年。

こちらの香りはピート(泥炭)を焚いた香りがガツンとくる。そして舌先で味わうとスモーキーな香りを残しつつ甘さと熱さが後からついてくる。私はこちらのほうが好みかな。

 

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Bar Elmarはカウンター席9席のみ本格的にスコッチを愉しめるBarだ。

「ウィスキーっていうのは自己完結している酒だと思うんです。ウィスキーに合うつまみなんて無いんじゃないかと思うこともあります」とウィスキーの魅力について語るマスター川上さん。

 

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店名であるElmarとはライカのレンズの名称だ。

本来はレンズの明るさをさす用語だが、多くのカメラ好きは標準レンズをイメージするだろう。3群4枚のシンプルな構造、王道でありながらも奥深い、きっとそこがスコッチウィスキーとの共通点かもしれない。

 

カメラのこと、音楽のこと、酒のこと、世界のこと…話は尽きない。時間とともにグラスの中のスコッチはまろやかになり味わいも優しくなっていく。

 

「このドラムの音いいでしょ?」

 

いつのまにか店内の音楽が激しくなっていた。
音楽を愉しみたいのであれば店の入り口に近い席がオススメだ。

 

Bar Elmar #2

 

お酒も無くなったころあいで「こういうのお好みじゃないですか?」と奨められた「ラフソ」をいただく。ラフソとはLaphroaigのソーダ割りのこと。

 

「うちのスコッチソーダは特別ですから。常連の方はとりあえずビールという感じに、とりあえずラフソと注文しますよ」。

 

なるほど、スモー キーな風味はしっかりあるのだがあっさりとまとまっていて1杯目にちょうどいい。

 

そして締めはと言うと、UNICUM(ウニクム)という薬草をふんだんに使った リキュール。こちらは複雑で濃厚、胃に優しい雰囲気。飲んで話して気づけば午前0時。

 

Bar Elmar カウンター

 

店を出て「次回はラフソから、あれを飲んで、これを飲ん で…」と、スコッチのフルコースを考えながら夜の町屋を歩いているととても幸せな気分になった。

 


<今回ご紹介したお店>

    • お店の名前:Bar Elmar
    • ひとこと:カウンター席9席のみの小さな空間に大迫力のサウンドシステム、たくさんのウィスキー、そしてカメラ。川上さんの好きな物だけ集めたおもちゃ箱といった雰囲気の店。
    • メニュー:グレンファークラス28年 ¥2900/1oz、アードベッグ7年 ¥1500/1oz など
    • 場所:東京都荒川区荒川7-34-10(千代田線町屋駅荒川口(3番出口)歩1分)
    • 開店時間:20:00~25:00(午前1時)
    • TEL/FAX:03-3806-9514
    • HP:Bar Elmar

※荒川102の取材情報は地図からも探せます。ぜひご活用ください。>>> 「荒川102取材マップ」


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