荒川区を舞台にした映画「あらかわミラクルLOVE!」が、5月25日(日)にサンパール荒川で上映され、荒川区内で反響を呼んでいます。満員となった上映会を経て、8月にはムーブ町屋での再上映も決定。
この映画に込められた想いを探るべく、監督の松村克弥さん(写真・右)、荒川区地域魅力発信実行委員会・実行委員長の小林清三郎さん(写真・左)にお話を伺いました。
インタビューでご協力いただいたのは、作品の舞台のひとつでもあるジョイフル三の輪商店街の喫茶店・白鳥です。
サンパール荒川大ホールのチケットが完売に--多くの人が注目した、あらかわミラクルLOVE!
── まず、上映会の反響について教えてください。多くの方に鑑賞いただいたようですね。
小林委員長(以下、小林)「興行で人を集めるのは本当に難しいです。ステージの上から満員のサンパール荒川を見て、驚きました。当日は開場前の早めの時間から行列ができていましたし、当日券がないかという問い合わせも何件かいただいています。広報に尽力された方々のおかげです。ありがたいですね」
松村監督(以下、松村)「映画は1時間10分で、上映会ではミニ落語やトークもあって合計3時間半。半分以上の人がその長丁場を最後まで残ってくださって、関心の高さを実感でき、うれしく思いました」
── 映画で描かれているテーマは、日本中が抱える普遍的な課題で、荒川区以外の方でも共感できる内容だと感じました。シャッター街になっていく商店街、地域文化の後継ぎ問題、独居老人などのテーマを描いています。
松村「荒川区の魅力を発信するための映画作りとはいえ、荒川の宣伝っぽくならないようにしたいと思っていました。
荒川区地域魅力発信実行委員会から依頼されたのは、荒川区の5つの地域を紹介してほしいということくらい。あとは自由にやらせてもらいました。実際に区内のさまざまな方からお話を伺って脚本を書いています。
店の跡継ぎ問題では『店を閉めて、タワマンにした方がいい』といった踏み込んだセリフを書きましたが、直しの要望はなく、そのまま作品に反映できました。
── 映画では、地域の課題にまっすぐ向き合う人たちの関わり合いが描かれています。一方で、メディアでは注目されがちな「下町の人付き合い」が失われていることを表現したセリフがあることは驚きでした。
松村「あれが現代の下町の一つの顔だと思っています。私は上野育ちですが、子どもの頃にはいわゆる下町付き合いがない環境でした。向こう三軒、両隣の付き合いがあって……という人が全てではありません。THE 下町人情のような話にはしたくありませんでした」
小林「私も、映画で人情を荒川区の特徴として打ち出したくはないと考えていました。近所付き合いはちょっとしたおせっかいのような、自然にあるものです。監督はそのあたりを表現してくれたと思っています」
── 藤真由美さん演じる、ジョイフル三の輪の『きく』の女将さんのセリフ『元気でね、変わらずにね』は印象的ですね。自然でさりげないやさしさが感じられます。
松村「役作りで女将さんのことを取り上げたドキュメンタリーを藤さんが観て、演技に盛り込んでくれました。お客さんには必ず、ちょっと天ぷらをサービスする。そんなところもご本人そのままです。
出演されている役者さんたちは、私たち世代やちょっと上の世代にとっての大スター。ベテランの人たちに出ていただけて本当にうれしいです。いまだ現役で活躍されている姿を映画を通して観られますし、観ていただいた方には昔のことを思い出してもらえればと思います」
「あらかわミラクルLOVE!」は、2025年8月8日(金)にムーブ町屋ホールで、8月17日(日)にあらかわ遊園で再上映が決定しました。
チケットは絶賛発売中! 申込み方法など詳細は、荒川区のホームページをご覧ください。
>> 関連サイト: 荒川区ホームページ『荒川区地域魅力発信映画「あらかわミラクルLOVE!」上映会』
その後も、渋谷の映画館での上映を調整中です。
次なる舞台はミュージカルへ
映画の取り組みに続き、荒川区地域魅力発信実行委員会では区民参加型のミュージカル「あらかわ宝物さがし物語 PART3」を2025年12月14日に上演予定。
この取り組みにおける小林委員長の狙いはズバリ、荒川区民が地域自慢のタネを見つけること。ミュージカルの練習から本番を通して、役を演じる区民自身が、まだ気づいていない地域の魅力に気づいていく仕組みです。
大人と子どもが一緒に参加できるようにするために、まず「楽しいこと」を重視。ステージの上でみんなで歌ったり踊ったりする、舞台の形式になりました。
今年5月には75名の応募によるオーディションが行われ、小学1年生から86歳までの希望者が集合。現在は合格者の皆さんが公演日に向けてレッスンを積み重ねています。上演が今から楽しみです。
荒川区地域魅力発信実行委員会のこれからの活動にも、目が離せません!