2024年12月、荒川の水害対策に関心を寄せる住民や団体が一堂に会した「第4回荒川流域防災住民ネットワークの集い2024 in 荒川区」が東京都立大学荒川キャンパスで開催されました。
荒川区民をはじめ、荒川流域の各地域から多くの人が参加し、防災への意識の高さがうかがえるイベントとなりました。
176名が集結! みんなで考える、地域の防災
本イベントは「誰も置き去りにしない」「早期避難の実現」を目標に掲げ、基調講演やグループ討議、さまざまな展示・体験ブースを通じて、防災意識の向上を図るものです。
会場には多くの参加者が集まり大盛況。
市民団体、大学の防災研究同好会、中学校のレスキュー部などさまざまな団体によるブースが展開され、活動報告がありました。
多様な視点で防災を考え、相互理解を深める
イベントでは、多くの団体がそれぞれの視点で防災への取り組みを紹介。
特に印象的だったのは、妊婦、障がい者、高齢者といった「要配慮者」の視点に立った取り組みです。
こちらは東京都助産師会による、妊婦や小さな子どもをもつお母さんの視点を体験するコーナー。災害時に直面する課題や、解決策を疑似体験できるようになっています。
男性が、妊婦ジャケットを体験していました。着用するとずっしりと重量を感じます。
足元が見えにくく、床に落ちている紙をひろうのも一苦労。地震発生時の混乱の中では、多くの困難があることが想像できます。
こちらのブースでは、障がいをもつ当事者が作成したデジタル紙芝居を上映。紙芝居は有志により声が当てられ、障がい者の思いが多くの参加者に届けられました。
この日は滝口区長も出席。マイクの声はリアルタイムで文字起こしされ、耳が不自由な人にも伝わるように工夫されていました。
また、会場では手話による通訳も。
グループ討議の際も、参加者の発言を手話で伝えることでコミュニケーションが円滑に行われる様子が印象的でした。
イベントは防災に関するものですが、このような取り組みは、地域の誰もが安心・安全に生活するための相互理解を深めるものだと感じます。
荒川区の取り組みと、有志団体による活動を紹介
荒川区の区民生活部・防災課は、防災アプリの紹介や、災害時の備蓄に関するブースを展開。
どのような防災グッズが必要になるか、実際に見て知ることができます。
荒川区防災アプリのダウンロードで促進も。アプリでは災害情報の収集、防災マップの確認ができます。荒川区公式ホームページや、アプリストアでチェックしてみてください。
>> 荒川区ホームページ「荒川区防災アプリを配信しています」
こちらは以前荒川102でも紹介した、防災×景観かるた。荒川区の身近な景観に垣間見える防災の取り組みを、かるたにしています。
荒川下流河川事務所によるパネル展も。
こちらは大東文化大学の防災研究同好会、STERAのブース。
海抜0メートルの地域が一目でわかるよう、立体模型の展示も。災害発生時に行動できるよう、大学のみならず地域の防災力を高める活動を行なっているそうです。
日ごろからの備えとともに、住民一人ひとりが防災に関心を持ち、地域で助け合うことが重要であると改めて感じる機会となりました。
みんなでつくる、未来へ向けた防災ネットワーク
イベントの後半は、グループ討議。
災害発生時に地域でどんなアクションが取れるのか? 「誰も取り残さない」とはどういうことか? 参加者同士で考える機会になりました。
グループ討議後、各グループの共有を終え、締めくくりは加藤孝明氏(東京大学教授)、石川秀樹氏(東京都立大学教授)によるグループ討議の講評。
「防災も街づくりの一つ。行政は後追いになるため、市民が自発的に行動し、多様性のある、ゆるい連携が必要。自助・近所(近助)・共助・公助の、どれかに偏ってはいけない。自由に声を出し合い、認め合う社会が必要」というメッセージで締めくくられました。
荒川流域防災住民ネットワークは次のステップへ
荒川流域の住民の力をつなげ、小さな防災ネットワークを多く作ることが災害時の命綱になります。
この集いを契機に、より多くの住民が防災に対して主体的に関わり、「いつ起こるかわからない水害・災害への備え」を進めていくことが期待されます。
荒川流域防災住民ネットワークでは、今回できた新たなつながりを継続していくため、次のステップを企画中。Facebookを通じて、情報発信やメンバー募集をしています。
災害はいつ、どこで起こるかわかりません。地域全体での防災力の向上に努めるため、ぜひフォローしてください。