御殿坂に建つ「令和の看板建築」

日暮里駅から「夕やけだんだん」へと続く御殿坂。その途中に、100年の歴史を見守ってきた名店「中野屋」と肩を並べるように、新しい建物が姿を現しました。2026年3月28日にオープンする「スターバックス カフェ & アートギャラリー 谷中御殿坂」です。
その内覧会に伺ってきました。

設計を担当したのは、谷中で企画・デザイン・運営を一体で行うHAGISO。
「お声がけを頂いたときは、正直悩みました」と宮崎氏は振り返ります。
しかし、「他の誰かがやるなら、自分たちが地域の財産になるものを作りたい」との思いで引き受けたそうです。

「看板建築」とは、関東大震災後の復興期、木造町家の正面を銅板やタイルで飾り、西洋風の意匠を与えた建物のこと。
当時の人々の憧れと工夫が詰まった、谷中の街並みの象徴です。
まず目を引くのは、隣接する中野屋との驚くほど滑らかな連続性です。中野屋さんが大正12年創業であることを踏まえ、HAGISOは今回の建築を、その系譜の最新章となる「令和の看板建築」と定義しました。中野屋さんの窓や看板、そしてオーニングの「高さ」を緻密に揃え、内部にはそのラインを維持するために、階段の折り返し部分を活用した「中二階」が設けられています。

外装には常滑のやきもの工房による特注タイルを採用。
職人が一枚ずつ釉薬を掛け流したその表情は、雨の日には濡れたような質感を放ち、街の湿度に溶け込みます。
表通りに面した入口がありません

この建物には、表通りに面した入口がありません。隣の中野屋さんのとの間の細い「路地」を数歩進んだ先、そこにひっそりとした入り口が現れます。
谷中の街路には、戦前から続く親密な奥行きがあり、工事中にもこの路地に設えられていたベンチで地元の方が寛がれていたとか。
行列ができた場合にも表通りに出にくいという配慮でもあります。

店舗裏手のベンチにはリードフックもありワンちゃん連れも安心。
店内拝見

店内に入るとテイクアウト用商品。その奥にスイーツやサンドイッチの並ぶ棚と注文カウンター。
かなり余裕のあるスペースです。

手前は浅煎り、奥へ順に深煎りになるケースは地元の煎餅屋を参考にされたとか。
左のコーヒー豆と同じ並び順です。

御殿坂を背にした店内。
吹き抜けになっていて明るいです。

2階は様々な席が交わる大きな空間。
梁がなく屋根の形を生かした作りが斬新ですね。

この小上がり良いですね!
スターバックスには他にあまり無いそうです。
ゆっくりくつろげます。

壁面全部が窓になってる2階奥からは経王寺の緑を借景に。
これは贅沢。
境界のないアートギャラリー

店内を回遊していると、あることに気づきます。そこには「ここからが展示スペースです」という明確な仕切りが存在しません。ここはカフェでありながら、建物全体がひとつの「アートギャラリー」として設計されています。

一般的なカフェでは、落ち着きや温かみを出すためにベージュや木質系の壁を選ぶことが多いですが、ここでは作品を飾ることを最優先し、カフェとしては珍しい「純白の壁」が採用されました。この白い壁面をキャンバスに、年に4〜6回という頻度で展示が入れ替わります。

2026年3月28日から6月28日までKarin Hosono・真田将太朗・YU SORAによる「スターバックス カフェ&アートギャラリー 谷中御殿坂 柿落とし展」を開催中。
建築中から来店し、どんな作品をどのように展示するかなど対話していたそうです。

壁にかけられた絵だけではなく、立体アートも配置されているのも特徴的。
店内に隠れた立体アートを探してみてください。
<店舗情報>
- 店名:スターバックス カフェ&アートギャラリー 谷中御殿坂
- 住所:東京都荒川区西日暮里3丁目2-5
- 電話番号:03-5809-0834
- 営業時間:8:00〜21:00
- 定休日:不定休