都電沿いに、おいしい台湾を味わえるお店が登場
都電荒川線の町屋駅前〜町屋二丁目の中ほどに、今年6月にオープンした台湾茶・タピオカドリンクのお店、沁涼茶品(チンリャンチャピン)。地元出身のオーナーが開業し、台湾人と日本人のスタッフが、本格的な台湾茶とタピオカドリンクを提供しています。
エントランスに記載された「日本未上陸の青茶」「一杯ずつシェイクして作る本場台湾流」など気になるワードに惹かれてお話を伺ったところ、聞けば聞くほどこだわりのワードが飛び出す取材となりました。
台湾人のお客さんも懐かしむ、本場のスタイルをお値打ちに提供
今回、お話を伺ったのはオーナーの中村俊幸さん。荒川区出身で、普段は薬剤師として都内で勤務しています。仕事で台湾に住んでいた経験があり、現地で知り合ったミシェルさんと結婚。ミシェルさんのご実家がお茶屋さんを営んでいたこともあり、中村さんも台湾茶の奥深さに魅了されていったと言います。
お店で楽しめるのは、ミシェルさんの出身地、台湾南部の味。日本で他店では見られないお茶もふくめ、常に20種類ほどのお茶の中から、その日の気温、湿度にあわせた5種類ほどのお茶を提供するスタイルです。
「台湾茶のおいしさを伝えたいと思っています。良いお茶をお値打ちな価格で。ここに来たらおいしい台湾を味わえる、というお店にしたいですね」
そう語る中村さん夫妻のこだわりが、沁涼茶品(チンリャンチャピン)のあらゆるところに見られます。
取材の際にいただいたこちらのお茶も、香りが華やかで、口当たりがまろやか。
左は、コーヒーを想起させる香ばしい香りの古早味(こはやみ)紅茶。少し砂糖を入れて、ほんのり甘い味わいです。ミルクを入れて、コーヒー牛乳のように楽しむことも。
右は、烏龍茶の仲間の四季春(しきはる)青茶。こちらも砂糖を少々加えていますが、濃い目に淹れていることもあり、甘さの中にまろやかな渋みを感じます。
ドリンクにトッピングとして入れるタピオカも台湾から輸入したもの。冷凍のものは一切使いません。特別にタピオカだけをいただいてみると、柔らかさと弾力を兼ね備えた驚くほどのモチモチ食感!
「台湾人はこの食感が大好きなんです。モチモチ食感は『QQ』と表現され、スイーツのほか、料理でもさまざまなQQグルメがあるんですよ」
本場のQQ食感のタピオカを提供したいと、煮てから蒸す、合計2時間ほどの手順を踏んでいるのだとか。
また、通常のタピオカドリンクのほか、親子で楽しんでもらいたいと、小さめのキッズサイズも提供しています。ドリンクのサイズのほか、子どもが喉につまらせることがないようにタピオカのサイズも小さいものを使用。中村さん夫妻の2歳のお子さんも、このサイズでタピオカドリンクを楽しんでいるそうです。
サイズの違いは一目瞭然。タピオカはキャッサバからとったデンプンの粉を固めたものであるため、このような小さいサイズのタピオカは台湾からの空輸でその3分の1は割れてしまうそうです。こうした手間のかかりそうな食材をお値打ちな価格で提供するのは、大変ではないですか?
「妻の前職は、台湾を相手に貿易をする商社なんです。そのノウハウを活用して、茶葉もタピオカも、台湾の認証機関から食品衛生に関する許可を得たものを直輸入しています。もともと品質の高い台湾茶を選んでおり、さらに輸送コストや関税で高額になりがちなところを、お値打ちな価格に抑えています」
一杯ずつシェイクするのが台湾流! 本場の味は、こう作る
お店のメニューを見てみましょう。こちらが定番メニュー。お茶はこの中から、その日の気温、湿度にあわせた最適なものが提供されています。台湾の紅茶、緑茶、烏龍茶などのお茶、黒糖タピオカミルク、京都抹茶ラテといったドリンクのほか、ヤクルト緑茶という見慣れないメニューも。実は台湾ではヤクルトがよく飲まれており、緑茶と混ぜる飲み方は一般的なのだそうです。
そのほかにも、限定メニューがたくさん! この日は雨の降る寒い日だったため、体が温まりそうなドリンクが並んでいました。
今回は、お店の味を楽しめる定番と、誰もが気になるであろうヤクルト緑茶をお願いすることに。
左が鉄観音烏龍茶にミルクとタピオカのトッピング。ミルクのまろやかさに負けない、豊かなお茶の香りを楽しめます。もちろんタピオカはQQ食感です。
右がヤクルト緑茶。最初は「ヤクルトに緑茶?と」と疑問に思ったものの、一口飲んでその印象は「なぜ日本人が気づかなかったのだろう?」と一変しました。ヤクルトの甘さが和らぎ、緑茶のすっきりさわやかな後味と香りが味わえるドリンクです。
これらドリンクのおいしさの秘密は、茶葉の品質やタピオカにかけられた手間はもちろんのこと、一杯ずつシェイクするという作り方にあります。本場・台湾では、お茶をお湯で抽出したあと、氷とともにシェイク。お茶が空気に触れ、氷で急冷されることで、おいしさが引き出されるのだそうです。なお、ホットドリンクはシェイクして冷えたお茶を適温に再加熱して提供されます。
持ち帰りの際、希望者にはこのような持ち運び用のアイテムも。台湾では環境問題への配慮から、ビニールのショッピング袋が有料化されており、紙でつくられたこのようなネットが一般的です。コンビニ弁当でもこのスタイルなんだとか。細かなところにも、本場・台湾を味わうことができます。
台湾茶は第一歩。おいしい台湾を伝えたい
おいしさへのさまざまなこだわり、工夫が見られる沁涼茶品(チンリャンチャピン)。今後の展望も聞いてみました。
「荒川区にはイベントが多いので出店も行っていますが、今後は2店舗目、3店舗目と増やしていきたいですね。台湾という軸はそのままに、台湾料理の提供もしていきたいと考えています」
実際、この取材のあとに台湾スイーツの豆花(トウファ)、豚肉かけご飯の魯肉飯(ルーローファン)、肉まんと、さまざまな台湾グルメの提供にチャレンジ。その様子は、お店のSNSで公開されていました。
お客さんの要望をもとに考案しているというメニューは、限定数を上回る人気のよう。これからの展開が気になるお店です。
<店舗情報>
店名:沁涼茶品(チンリャンチャピン)
ホームページ:http://www.qlcp.jp/
Facebook:https://www.facebook.com/qlcp.55/
Instagram:https://www.instagram.com/qlcp.55/
営業時間:11:30〜20:00(日曜のみ18時まで)
定休日:不定休
電話番号:03-6807-7307
住所:東京都荒川区荒川6-20-10
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