築100年の長屋で紡ぐこれからの働き方・暮らし方:株式会社meguri(東日暮里)

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東日暮里3丁目。三河島駅より徒歩10分の圏内。

雑然とした住宅地の中を蜘蛛の巣のように細い路地が通り、ところどころに匠の技を持つ中小企業や職人の店が点在する。

荒川区でもこれまで比較的無風地帯だったこの場所に、最近若いベンチャー企業がいくつもオフィスを構え始め、俄かに変化が起き始めています。

その変化の火付け役であり、瞬く間に地域を飛び越えて荒川区の様々なムーブメントの中で独特の存在感を示し始めているのが、株式会社meguri。

右奥が代表の杉本さん

築100年の長屋にオフィスを構えるmeguriを率いるのは女性起業家の杉本綾弓さん。

区内外の様々な企業や組織を対象に業務改善のコンサルティングサービスを提供するとともに、地域内においても餅つきイベントを実施したり、コーヒーが無料で飲める「フリーコーヒー」を開催するなど、ユニークな活動で注目を集めています。

長屋オフィス前にてフリーコーヒーイベントなどを開催

記事を書いている私の自宅から徒歩1分。長屋のオフィスに代表の杉本さんを訪ねてきました。

 

悪ガキ〜高校生店長〜妊娠発覚と同時に30才で起業


代表の杉本さんは杉並区の生まれ。

「下北沢の一番街商店街というところで育ちましたがかなりの悪ガキでした。お祭りでは配られるお菓子には見向きもせずにお金ばかり拾い集めたり、友達と一緒に探検と称して民家の敷地内に侵入したり。」

商店街の大人の方にしょっちゅう怒られていたといいます。

お父さんが自営で、自身も3才から子役の仕事もするなど芸能関係の様々な職業の大人に囲まれて育ったという杉本さん。小さいころから個を重視した家庭教育を受けて育ちます。

「自分の人生は自分で決めるものだ、ということを延々と言われ続けました。」

今でこそふんわりとした空気をまとっている部分もある杉本さんですが、子どものころは相当にとんがっていたようです。

「公立の小学校に入学したものの、1年生のときからピアスも空いてましたし茶髪でパーマ。子役の仕事もやっていたのでそういうことが当たり前だったというのもありますが、何も考えずにみんなと一緒にする、という考え方が無かったんです。」

中学校では校則が嫌で「日本の教育は間違っている」と校長先生にプレゼンするなど、答えが用意されているような環境に通う意味を見出せなくなっていた杉本さん。進学した都立高校は半年で辞めたいと思うようになり、通信制の高校に転校します。そして、アルバイトに明け暮れるようになります。

「16才のときにアルバイトを始めたらめちゃくちゃ楽しいなと思いました。自分で考えて自分で行動したことが分かりやすく評価される。最初はガソリンスタンドなどでバイトをしていましたが、その後ブックオフに出会い、17才で採用業務なども行い、18才のときには店長を任されました。」

杉本さんが出会ったのは、当時ブックオフが学生に投資して通学しながら店長をやる「学生ブックオフ」という取り組み。ここで初の「高校生店長」となった杉本さんは、店舗を独立採算性で経営し、今に至る仕事のキャリアを本格的に歩み始めます。

いつかは起業するんだろうと10代のころから感じていたという杉本さんですが「経営をするにはまだ人の痛みとかも良く分からないし、30才になるまでは色々なものを見て、経験して、遊んでみよう」と決めていたそうです。

小売、IT系の仕事を経て、30才となった2014年11月に妊娠が発覚。これを機に起業を決意し、12月に株式会社meguriを設立します。

 

meguri = 循環。社名に込められた思い


meguriのロゴ

「私たちは、「ないなら、つくる」というスタンスで、「より良い働く・暮らすをつくる」ということをミッションにしています。」

meguriの事業のメインは、業務品質やサービス品質の改善のコンサルティング。改善を通して、働く人たちの「あったらいいな」を伴走しながら一緒に生み出しています。

「今の社会にある課題を解決しようと何かをうみだす・つくりだすエネルギーが美しいと考えています。人は誰でも必ず関わりの中で、何かを与えられて生きている。その与えられたものや本来自分がもつ力をいかしながら、自分ができることを考え・行動していくと、自然と仲間が集まり、循環されていく。そういうエネルギーをみんなが発揮するためには、『あり方』がとても大切だと考えていますね」

そんな世界観は、meguriのスタッフとの付き合い方にも見ることができます。

インターン説明会にて

meguriで特に問われるのは仕事における「心技体」のうち、「技」を徹底的に伸ばせ、ということ。

「よく『自分らしさ』を探す人がいますが、まずやるべきことをやる中でしかそれは見つからないと考えています。技術を伸ばそうとする先に、心や体が揺さぶらされる体験がある。その時に、自分はどんなことをストレスに感じて、どんな時に喜びを感じるのか?自分というものを徐々に知っていくのだと思います。常に、自分の「あり方」を問い続けます。ある意味、寺子屋のような場所かもしれませんね。」

 

「家族展」を実施


meguriでは、「暮らす」のプロジェクトの一貫で長屋を使った「家族展」を9月に開催しました。

家族展より

暮らすというテーマにおいて欠かせない「家族」についての研究成果を発表したもので、現在多くの人が持つ家族観は実はここ100年の間に出来たものであり、時代とともに家族のあり姿は変化していることを示したものでした。

家族の姿の移り変わりについての研究成果を発表

「もともとは、家族について興味がある有志の未婚既婚、子あり、子なしなど多様なメンバーで自主的に勉強会をしていたのがはじまりです。せっかくなので、これをラボとして研究の成果を世の中に出していきたいねと展示をしました。

家族は最小単位のコミュニティだと思うのですが、でも家族の話ってなかなか外ではしないですよね。『家族はこれが当たり前』ということが、家族展を通して、さまざまな人たちと家族について話をすることが、実は自分の家だけの独特のルールだった!なんてこともあって、自分の思い込みや癖などを認識して、自分を知るきっかけになるんじゃないかなと考えています。

働くことも暮らすことも分断できない地続きの自分の人生。よりよい働くと暮らすをつくるための一歩は、自分に気付くことなんじゃないかなと思います。」

 

長屋を通じて彼女たちが創り出し、世の中に提示していこうとしているものが何なのかは、すでにそこに存在しているようです。あとは、それをどう伝えていくのか。次の世代に何を残していくのか。

気になった方は、ぜひ長屋を訪れてみるといいですよ。きっと、家族のようにさらっと受け入れてくれるはず。


<会社概要>


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