ブルーボトルコーヒーの日本進出が話題となるなど、今や空前のコーヒーブームとなっている東京。
しかし我らが荒川区は23区でも珍しい「スタバ空白区」として有名になるなど、おいしいコーヒーが飲める町という印象は特にありません。
そんな中、「はしもと珈琲と申します。11月15日にオープンしました」とARAKAWA102に取材依頼のメールをいただきました。「都電荒川二丁目駅からすぐです!」と聞いて、「お、それなら自転車で5分じゃない」ということで、早速取材に伺ってきました。
– どういった経緯で珈琲豆屋を始めたんでしょうか?
もともとコーヒー屋をやっていたわけではないんです。私は個人タクシーをやってるんですが、家族でお店をやろうという話しになりまして、自分がコーヒー好きだったんでコーヒーだったら家族で同じ家の中でできるかなということで。ゼロからのスタートでしたが、いろいろなところにコーヒーを買いには行ってたんです。この辺だとバッハさんとかカメヤマコーヒーさんとか。
– 家族経営なんですね。
お店をオープンするまで、構想スタートから2年ぐらいかかりました。
このお店を出すということになって妻もイラストレーターの勉強を半年ぐらいしました。店内のPOPや黒板は妻が書いてるんです。たとえば(豆の産地を示す)国旗の絵の細かいところも全部妻が書いてるんです。結構細かくて驚きました(笑)。家族それぞれが自分にできることをしようと。
内装とかは、友達が沢山てつだってくれました。床も木の棚も天井の証明も、友達がやってくれたんです。
– いろんな業種のお友達がいらっしゃるんですね。
みんなアウトドアつながりなんです。 もともと自分が釣りの業界にいたりブラックバスのボートを売る仕事なんかをしていたので、釣りをやったりキャンプをやったりバックパッカーでフライフィッシングをしたり、、いろいろやっていまして、そこで知りあいになりました。
毎週のように山奥にこもって釣りをしたり。その時に、知りあいの方が山で珈琲を焼いて入れてくれるんですが、それで興味をもって自分でも珈琲を調べたり自分で山で珈琲を入れたりするようになりました。普段せわしないので、山にいったりして無駄に時間を使うのが楽しいんですよね(笑)。
– 自家焙煎でやられていますが 機械は特別なものなんですか?
1回で500gまでしか焼けないんですよ。普通はkg単位で焼けるんですけど、うちはお客さんの注文が入ってからその場で焼く少量焙煎のお店なんです。たくさん焼くと飲むまでに時間がたってコーヒーの薫りが失われてしまうんですが、少しずつ焼くことでおいしい状態の珈琲を飲んでほしいと思っています。
よくお店のセールで売っているような珈琲は、焙煎から少し時間が経ってしまってるんです。そうすると薫りも味も落ちてしまうのですが、やっぱり飲み頃というのがありまして、適性な時期に家で飲んでもらう、というコンセプトなんです。
うちの焙煎機は熱風で焼くのでしっかり中まで焼けるんです。母親でも焼けるように、コントローラーで設定して自動で焼けるようにはなってるんですけど、毎日焼いてると気温が違ったり、焼き続けていると釜の温度も変わったりするので、やっぱりちゃんと見てないとだめなんですよね。 ある程度は焙煎機の中で冷まして出てくるんですけど、焼いた後は一気にサーキュレーターで風をあてて冷ましています。冷まさないと中でどんどん焼けていってしまうんです。
– 飲み頃っていうのは3-4日なんですか?
4-5日ぐらいが大体いいんですよね。ですが、中々丁度いいそういう状態で売っているところってほとんどないんです。
うちの場合は袋にラベルを貼って焙煎日も書いてあります。 焼き方も微調整がきくので、深煎りがいいとか浅めがいいとか、お客様のオーダーにあわせた焼き方ができるんです。
– 焼き方と味の関係について詳しく教えてください。
浅いと珈琲豆って酸味が凄くあるんです。焼き進めるとその酸味が消えていくんですね。うちでは丁度お客さんの好みにあったところで焼き加減を調整できます。
酸味のある豆って逆にあまりスーパーでは売ってなくて、誰の好みにでもあうように深く焼くことが多いです。そのせいか、浅い酸味のある豆がありますか?ってお店に来るお客さんも多いです。 豆の種類でそもそも酸味の少ない豆もあります。
– 某アメリカ系チェーンなんかでよく◯◯ローストとか言われますけどそういうことなんですね。
ああいうお店はかなり深煎りしていて、苦味が強いです。
うちは、豆についてはプレミアムとかスペシャルティという珈琲豆を扱ってるんですが、最近は珈琲を飲む国が増えていて、そういうのもどんどん値段があがっています。
– プレミアム、スペシャルティってなんですか?
豆を卸している業者が豆の選別に手間をかけたものをいいます。豆を収穫した状態だと良くない豆も混じってるんですが、それをハンドピックしてダメな豆を取り除きます。それを何回も繰り返している豆のことを指します。
以前、豆を仕入れたときに安い豆を仕入れたことがあったんですが、悪い豆を省く作業にすごく時間がかかってしまって、豆の量も1/3ぐらいになってしまったんです。それだったら最初からいい豆を仕入れたほうがいいな、という結論になりました。
あとは取れる時期とか標高とかにもよりますが、やっぱり美味しくない豆は美味しくないんです。有名な珈琲店にいっていろいろな珈琲を飲んでいたので、美味しくない豆は分かるようになりました。
– お客さんが豆を指定するんですか?
指定できます。うちは焙煎機とかもあって谷中珈琲さんとかと似ているスタイルなんですけど、そのせいか、買い方に馴れている方が多いですね。 「ああこういうお店なんだ」という感じで豆を指定して買われるかたも多いです。ブレンドはあんまり癖が無いように調整してます。
– 今後のお店の展開について教えてください。
地域密着でやっていこうと思ってます。近所の人に買いにきてもらって、ゆくゆくはネットでも売っていきたいとは思ってます。
取材中、焼きたて挽きたての珈琲を試飲させていただきました。今回試飲させていただいたのはマンデリン(インドネシア)です。
マンデリンは、苦味とコクがあり、豆自体も大きいのが特徴です。ベトナムの豆は小さく、ブラジルはその間ぐらい。 ドミニカの豆は、お湯を入れるとすごく膨らむそうです。
橋本さんに珈琲をいれていただきます。まんべんなく、10円玉を描くようにゆっくりとお湯をかけて、しばらく蒸らします。泡がぶわぁっと膨らんでいきます見た目にもおいしそうです。焼きたての良い豆だと泡が膨らむんだそうです。
先に「はしもとブレンド」をいただいていたのですが、それまた全然違うコクと苦味が口に広がります。それでいてやや清涼感もあるのは焼きたてだからかもしれません。たった今焼いていただいた豆でコーヒーをいただくというのは気分のいいものです。
さらに、お母さんのオススメでミルクを入れて飲んでみました。 普段あまりミルクを入れない私ですが、たしかにこの珈琲にはミルクがしっとりと合い、珈琲の薫りがぐっと引き立つのが分かりました。 知って飲むと面白いです。飲み方も含めてお店の方に聞いて買っていくのもいいですね。
<店舗情報>
- 正式店名:はしもと珈琲
- 住所:東京都荒川区荒川1-7-4
- 電話番号:03-6806-8202
- 営業時間:10時〜18時(定休日:日曜、月曜)
- オンラインショップ:http://store.shopping.yahoo.co.jp/hashimotocoffee/
※荒川102の取材情報は地図からも探せます。ぜひご活用ください。>>> 「荒川102取材マップ」
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豆を買ってもいつも飲みきれないので近いお店で、週2回ちょっとづつ買って飲むのがいいんでしょうね。美味しそう。