尾久満喫サイクルロード 〜 尾久八幡神社を出てBLDで休憩(移動時間15分)
(文中写真撮影:s_hiroyasu @広安省吾写真事務所)
都電の小台停留所。その線路を横切るように走るのが、通称あっぷるろーどと呼ばれる、小台橋へと続く小台橋通り。ここをJR方面へと走っていくとほどなく、円筒形の螺旋階段をつけた瀟洒な建物が見えてきます。
その1階にBLDさんがあります。どっちの料理ショーで取り上げられたキーマカレーパンで有名なカフェ併設のパン屋さんです。
奥のカフェで、買ったパンをいただきながらコーヒー(1杯おかわりができますよ)をいただければ、贅沢な一時が流れます。いつもと違うおしゃれな雰囲気に、子どもたちもちょっとおとなしーくなります(笑)。
店長の近藤さんにお店のことを伺いました。
– ご出身はこちらなんですか?
私は福岡出身で、学生時代は大阪で過ごした身で、社会人になって東京に来て、結婚と同時に荒川区に来たんです。
– お店のことを教えてください。
お店はオープンして18年です。
息子が生まれて1才になる前に始めたんです。なので息子の年でお店の年数も分かるんです(笑)。
10周年のときも夢中でやっていたので全然気づいてなかったんですけど、昔から来ていただいているお客さんがお花をくださったんです。
あんまり何年なんていうことを気にせずに日々やってるんですけど、お客さんのお子さんが小さかったのにもう社会人になっていたりして。
– もともとパン屋を目指されてたんですか?
いや、、まったくなんです。食も、もともと自分自身はそれほどこだわりもなくて(笑)。
ですが、主人がグルメで、いろいろな料理もできて、、おいしいものが大好きで。それで、おいしいものを色々集めたお店をやりたい、っていうのがお店を開いた理由なんです。
お店をやる前は主人はグラフィックデザインをやってたんですけど、お店なんかをやってホントにお客さんが来るのかなと思って、最初はとりあえず反対しました(笑)。
パンは当時からそうですが、今でも自分たちでは焼けないので最初から職人さんに頼んで焼いてもらってます。例えば具材は全部自分たちで作ってるんですけど、全部手作りで化学調味料も一切使わないでやってます。すべて私達が独学で学びました。
そんな感じなので、今でも自分たちは素人だと思ってるんで、頑張らないと!って、思ってやってます(笑)。
– 食器も売られていたり、お店の内装も装飾に凝っている印象がありますが、どういったテーマなんでしょうか?
実は一番最初に始めたときは表側がレストランだったんです。
で、奥がパンだったんですけど、どっちの料理ショーですとか、テレビで取り上げられたりしたおかげでパンのほうがすごく忙しくなってしまって、パンの売り場を大きくしたんです。私達のお店はパン屋とレストランを2軒経営しているようなことになるんですけど、さすがに難しい、ということで、パンを表にして奥をカフェに改装しました。
その時はお店のイメージについては主人がいろいろ考えたんですけど、やっぱり楽しさや自然の柔らかさを出したいということで、フランスの路地裏にあるお店のようなイメージで改装しました。お店にかかっている布や、セミの陶器の花瓶なんかも、プロヴァンスのものを取り寄せました。
お店の名前も実は正式には「Le Bateau Lavoir Diner – Oven Express」って言います。
Le Batearu Lavoirっていうのはパリにあるアパートの名前で、ピカソやモディリアーニとかの著名な画家が無名のときに住んでた日本で言えばトキワ荘のようなイメージのアパートなんです。Bateauは船、Lavoirが洗濯で、洗濯船っていう意味なんですね。
お店をオープンしたときはみなパンを焼く人も含めて初心者だったんですけど、みな若くてやる気のある人の集まりだったので、そういう人が集まっている食堂、ということでこの名前をつけたんです。で、奥にはオーブンもあって、パンもお出ししますよ、っていう。
– 荒川区でお店をやっていることについてはどう思われますか?
若い人や子育て中の人たちも結構いらっしゃるんですけど、区内にはそういう人たちがゆっくりできるお店も少ないようなので、そういう方にとっての憩いの場所にしたいなと思ってます。
一度、ここで夜にBarをやろう、っていったら、「手伝うからやりましょう!」なんていう方もいらして随分盛り上がりました。結局まだやれてはいないんですけど、そういうニーズもあるんだなって思ってます。
お店自体のコンセプトとしては、荒川区の人なら都心までいかなくてもここで買えますよ、っていうことにこだわってます。だからデニッシュもあればハード系のパンもあるし、でも下町だからコッペパンみたいなものもあんぱんも置いてる、っていう。みなさんのニーズに答えられようにしたいと思ってます。
– お店の今後の方向性はどうですか?
まず小麦を国産の北海道産に切り替えをやりました。マーガリンもすべてバターに切り替えました。
今の世の中は食品添加物が多すぎるので、できるだけ減らすようにしてます。
経営的には国産小麦はやっぱり高いんですけど、ポストハーベスト(収穫後)の農薬散布が外国産の場合はどうしてもあるんです。保存のために。もちろん政府の基準値をクリアしているものではあるんですけど、いろいろ調べていくとでもどうなのかなって思って。子どもたちに食べさせるものでもありますし、変更しました。
マーガリンなんかも海外では規制されているトランス脂肪酸が日本では規制が無かったり、日本はよく調べてみると結構添加物をたくさん使ってるんです。それで、いろいろ調べて、ゼロではないですが、添加物を極力無くしてます。
調理にも、ブイヨンなんかも一切止めてます。酵母もほとんどのパンが自家製の天然酵母に切り替えてます。
それから、カフェも充実させていく方針で、いま、食事も出せるような方向で検討を開始してます。パンについてはデニッシュ、ハード系を更にしっかりやっていきたいなと思っています。
近藤さんのパワフルさと、食のおいしさと安全をひたむきに追求されている気持ちが伝わってくるインタビューでした。
そんな近藤さん、実はネットでシフォンケーキの販売もされています。
素材にこだわったプレミアムシフォンケーキ。こちらも是非ご覧ください。
<店舗情報>
- お店の名前:BLD(Le Bateau Lavoir Diner)
- 場所:〒116-0012 東京都荒川区西尾久2-30-11
- 営業時間:10:30-19:30
- 定休日:月曜・第4火曜
- TEL:03-3809-2099
さて、おいしいパンもいただいて少し落ち着いたところで、また自転車に戻りましょう。
次は都電ミニ資料館まで向かいます。