熊野前駅にある、熊野前商店街。
地域の方に親しまれるこの商店街で個展が開催されております。
地元在住の若手クリエイターである戸田江美さんと、natural cafeこひきやのコラボレーションが実現です!
熊野前商店街の魅力にぐっと迫った写真展は、地域の人々が住む軌跡や想いが詰まった内容になっていました。
商店街のかけらを集めると見えてくる景色。
カフェを楽しみながら、戸田さんの創る作品に触れることができる空間は、一味違うカフェを楽しむことができるかもしれません。
そんな写真展の魅力をお伝えできればと思い、カフェこひきや店主の朝倉さんとデザイナー戸田江美さんにお話を伺ってきました。
東尾久出身、在住の戸田江美さんはWEBグラフィックデザイナー。写真はライフワークで常に持ち歩いて写真を撮っているのだそう。
人当たりの良さが伺えるとてもステキな方で、すぐに打ち解けるような不思議な感覚になれました。そんな戸田さんの作品に触れられるのがnatural cafe こひきやです。
– 今回カフェこひきやで写真展をひらくことになったきっかけを教えてください。
朝倉さん:
「11月にお店をオープンして、多くの方に来ていただいていた中でお客さんとしてきてくれたのが戸田さん。ご飯を食べてくださったのですが、お店に傘を戸田さんが忘れたんです。その次に来た時に、今度は財布を忘れたんです(笑)。そこから話すようになって名刺交換したのが始まりですかね。
料理の写真も撮っていたのを見ていたので商店街のことを相談した時に戸田さんも話を聞いてくれ、『商店街を切り取ろう』という風に乗ってくれたというのが始まりですね。」
-商店街にカメラを向けたのはなぜでしょう?
戸田さん:
「朝倉さんからお話しいただいたときに、本当は撮りためた夏の写真をどこかのコンペにだそうか展示しようかと考えていたのがあったので、それを飾ろうと思っていたんです。でも、実際こひきやさんで打ち合わせするにつれて、朝倉さんの商店街への愛が強くて、この熊野前でやるときに展示の意味を持たせるには、この商店街の景色を改めてとったほうが展示の意味があるのかなと思ったんです。
あと、地元の人は写真やアートを見てもらうよりも、地元の人たちに興味をもってもらうにはやっぱり見慣れている『地元』をテーマにした写真を撮ったほうがいいと思ったんです。朝倉さんの話を聞いたり、近くを歩いているうちにこの熊野前商店街がステキだなと思い「撮ってみたいな」と思うようになったんです。」
「今までは海外や観光地の作品を撮っていたのですが、じっくり地元と向き合う時間も楽しいかもしれないと思ったんです。それに加え自分の作品作りのためにもなるかもしれないと思ったことがきっかけです。」
「どの席に座っても見える展示にしたい」
そんな戸田さんの想いから作られた空間はカフェこひきや朝倉さんの「商店街を知ってもらいたい、広めたい」という想いとが重なってできた必然であると言えますね。
朝倉さん:
「荒川は良い人ばかりで安心感がある街な気がします。オープンするために工事しているときにおじさんおばさんが入ってきて、工事中なのに座ったりしてきて(笑)。一緒に座って街の話をしたりして楽しんだんです。
荒川でも、日暮里・町屋・東尾久・西尾久で全然文化が違う。その中でもこの東尾久は平和で治安がいいんです。坂がないので自転車人口が多く、またどこに行くにも行きやすい場所で、交通の便も良いですよね。」
– 2人が知り合ってから数か月で個展開催に至ったそうですね。
戸田さん:
「地域の仕事もすることが多いけれど、朝倉さんのメールの返信の速さから話がどんどん進んでいったこともあってこの話が実現したんだと思います。カフェが日月の休みの日に店を開けてくれて、打合せや設営をしてくださいました。」
「もともと壁には黒板があったんです。それを取り外して、壁に穴をあけて額をかけていく作業をしたんですが、柱にも穴をあけてくださってまで一緒に作業をやってくださったんです。穴を開けちゃってるのがすごいですよね(笑)。
あと美大卒の奥様がいたからこそこの個展の設営が順調に進んだんだと思います。」
そう話す戸田さん。
実際、取分け皿などを奥様が作っていて使用しており、味のある作品がとても美しかったです。
– 戸田さんにとって熊野前商店街はどんな場所ですか?
「東尾久に住んでたのですが熊野前商店街の記憶があるのは幼稚園小学校低学年くらい。夏祭りにきてたので記憶しているんですがお祭りらしい金魚すくいとかもある中、100円玉つかみ放題とかの祭りがあってすごい楽しい想いであがありますね。そのまましばらく商店街にいかなくなったまま成人を迎え社会人になったんです。
あるとき商店街に美味しい焼き菓子屋さんができたことを知り、行ってみると熊野前商店街は徐々にシャッター街になってしまってたんです。だから今の思い出よりも昔の記憶が強いんです。」
「この国旗、ずっとあるんですよね(笑)。誰がなんの目的でつけたかわからないけれど、こうした商店街のかけらを集めると熊野前商店街になるんです。」
「写真はその時間・瞬間を切り取っている。私達はそれを伝えていきたい。熊野前の3つ繋がった商店街を歩いて切り取ったので写真はほぼ商店街の写真です。
写真を撮ろうと思って、ふと気付いたときに撮った景色が見ると寄りの写真ばかりになったんです。小さいことが集まってできてるのがこの商店街なんだなと切り取ってみると案外面白いことに気づきました。」
カフェこひきやの店内は、現在戸田さんの作品に溢れています。
小さなかけらをたくさん集めてみると、この熊野前商店街のいいところが沢山見れることでしょう。
朝倉さん:
「商店街がもっといい形で活性化してくれないかなというのが今思うことですかね。高齢化していてシャッターがどんどんしまってしまうのはさみしいし、例えばシャッターを開けて子供たちが遊ぶスペースができたりすればいいのにな。高齢化なのに、近年は人口が増えているのが東尾久なんです。でもこの周辺に住む人たちは、日暮里のほうにいっちゃうんですよね。
あと5年くらいするとみんなお店辞めちゃうかもしれないと思うとシャッター通りになるのを止めなきゃいけない、変えなきゃいけないと思うんです。それが今の役目かもしれないですね。カフェでもいいしお店が今後できてくれるのがいいですね。商店街は個人で戦うのには限界があるから、この場所をスポットにして、ここも美味しいしあそこにもいいお店があるんだよという風になってほしい。
店内の写真に気付いたお客さんが写真見て嬉しそうな顔をしてるんですよ、それって東尾久が好きなんだと思うんです。こういうのをきっかけにもっともっと商店街の魅力が増えていってほしいですよね。」
natural cafe こひきやでの写真展は、年内終了を目安としているそうです。
熊野前の魅力を知りに、思い出を探しに、ぜひカフェこひきやに訪れてみてくださいね。
今回は写真展のお話しをお聞きしに伺ったのですが、カフェこひきやの魅力もたくさん聞くことができました。
写真展の魅力をお伝えした次は、デザイナー戸田さんからカフェこひきやへバトンタッチ。次回は「natural cafe こひきや」の魅力に迫ります。お楽しみに。
戸田江美さん
- 作品サイト http://todaemi.com
- トダビューハイツ http://todaviewheights.com
natural cafe こひきや
- 住所:荒川区東尾久5-20-15
- 電話:03-6807-7512
- facebook:www.facebook.com/kohikiya
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