< 「下町 花*フェス」2017 〜 咲かそう笑顔の花!花やの想い(前編)
4. 花に癒される体験を経て、町屋に花やMOMOをオープン>
– 花やMOMOのオープンの経緯を教えてください。
青山フラワーマーケットを辞めた後、最初は青山フラワーマーケットで知り合った相棒と一緒に渋谷でマンションの一室を借りて注文をもらって活けにいく、みたいな仕事をしていました。
ですが、相棒に子どもがうまれ、私も結婚したりして、その仕事を閉じて本格的にこちらでの生活を始めたんですね。
子どもが生まれなかったらこんなに地元のことを見たり考えたりすることは無かったと思います。
別にここで買い物しなくてもいいな、って思ってましたし、何か買い物するとか人にプレゼントするとかっていうと、電車に乗ってどこかに買いにいかないとなって感覚だったので。
でも子どもができてみるとそういうわけにもいかないから、地元に目が向くようになりました。
– それで花屋をオープンされたのですか?
うーん。最初から花でやるべきか、カフェもいいかもしれないとか、人が集まっていい空気が生まれる場が出来るといいなぁって思ってました。
花でやっていく必要があるのかどうかなっていうのは考えてました。
そんな時に、花に心が癒される、っていう経験をしたんです。
– どんな経験だったのですか?
子どもが幼稚園ぐらいのときだったかなぁ。なかなか人見知りで、思うようにならない、子育てって大変、、、みたいな。自分の思うようにはならないんだぞ、って子どもに教えられているような、そんな時期があったんです。そのころ、うちから幼稚園に通う途中に椿の木があったんです。普通の椿とはちょっと品種が違うもので。
ある日、風が強い日だったのかな。椿が綺麗なまま道ばたにいっぱい落ちていたんです。
形も崩れていないし、一つぐらいもらってもいいかなって思って持って帰って、家で小皿に水を張って椿を入れて流しの横にポンって置いておいたんです。それで、その置いた椿を何気なく眺めていたら、心の凝り固まったものがきゅーーって、持っていってくれるような感じ?抜かれる感じ。
その時点で花を扱って20年近くになっていたんですけど、そんな気分になるのは初めてだったんですね。
えぇ、、なんだぁ、って思って。部屋の違うところに移して、またそこで見ると、やっぱりすーっと。
すごく癒やされる、知らないうちに凝り固まっていたものがほぐされるような感じがして。花がこんなことをしてくれるの、みんな知ってるのかな、って思いました。
仕事が辛いときとか、大変なときとか、花ってこんなことをしてくれるんだよ、って。そういうことを伝えられるといいなって思ったんです。
そのためにはちょっと安い金額で、きちんとしたいいお花を置かなくちゃいけない。
そんなにお金をかけなくても、こんな花があるのよ、って。
花やMOMOの名刺に書かれている素敵なイラスト。よくみると動物や植物が書かれた不思議な絵です。
「MOMOという名前はミヒャエル・エンデの時間泥棒のお話「MOMO」という本の主人公の女の子の名前から取ったんです。その女の子と一緒に遊ぶと子どもたちも普段よりも楽しい遊びを思いついたり、大人も悩みをもっていても気分が晴れたりするような女の子なんですが、うちの花を介してお客さんにもそんな気分になってもらえたらいいなぁ、って思って。
そのことをデザイナーさんに伝えたら、このイラストができたんです。太陽とか月とか動物とか植物とか、全部の生き物が入っているんです。MOMOの世界なんです。とっても気に入ってます。」
大竹さんの気持ちを聞きながらデザイナーさんが想像を巡らせた絵。架空の実「MOMOの実」も描かれています。不思議に思ったらぜひ大竹さんに聞いてみてくださいね。
– 大竹さんは常に何かを表現していきたい、どう表現したらいいんだろう、ということを考えている方なんですね。
私は花とお客さんのパイプ役だと思ってるんです。
なるべく花が心地よいように私が束ねたりアレンジしたりしていきたいなぁって思うんですね。何かの形にギュッと当てはめるというのではなく。
レッスンするときもそうです。
普通のレッスンは、今日はこんな花を使います、こんな形にします、という感じで進めるものが多いのかなと思うんですけど、うちは週末の花屋が終わった後に残った花をばーっと持っていって、好きな花を何本選んでください、って言うんです。花の選び方にもその人の性格が見えて面白いんですよ。
どうしたいというより、花に「どこをきれいに見せたい?」みたいな気持ちで向かっていると、気持ちのいいアレンジが出来るようになるかな。。
5. 今年の下町 花・フェスへにかける思い
– イベントのお話を聞かせてください。たくさんのイベントをやる原動力って何なんですか?
みんなには花屋なのにいろんなことをしている、ってよく言われたりもするんですけど、私にとっては最終的な目的は同じなんです。
人が本来あるべきものに対して心豊かに生きていく、ということに対して、いろいろ生活の中で優先しなきゃいけないものとかあるじゃないですか?私もやっと50代になって、ようやく人らしい生活というか、人ってやっぱりこうやって生きるものなんじゃないかな、なんてことがやっと分かってきたような気がしてるんです(笑)。
周りの情報に踊らされる世代ってあるじゃないですか、でもそれはそれで、一生懸命踊らされてその中で自分を探していく中で、いや、違うな、っていうようなことを薄々思っていた気がするんだけど、やっとそれが腑に落ちた感じがあります。
人間も、自然の中の一つの存在であって、動物も植物もみな対等なんだけど、人だけちょっと勝手なことをやってるなっていうようなことあるじゃないですか。かといって、昔みたいな生活に戻ることもできないですしね、だからまるっきり同じものではないにしても、今の暮らしを、少しでも自然や地球と折り合いを保って、みんなが自然に永く暮らしていける方法って何なのかなっていうのを考えていきたいなって思っています。
そういうイメージを形にしていく中で、テーマとして食のイメージが強いのがクラシノmarketだし、人とのつながりや心のありようをテーマにしているのが下町・花フェスかなって思います。
– 今回の花フェスは4回目ですが、目玉はなんでしょうか。
3回目のときに、無理に広げようとしないで地固めの年にしようって思ったんです。内輪での紹介を中心に、結果的に参加店舗は50ぐらいにはなったんですが、夜の飲食店さんは、時間もかかるしちょっとお金もかかるのでなかなか足を運んでもらえる回数が少ないんだな、っていうことがわかったんです。
ですので今回は、そういうお店にもみなさんが足を運んでもらいやすくなるように、1000円ぐらいで楽しめる「ちょい飲み」メニューを作ってもらいました。参加者の方もなかなか入るキッカケがなかったお店に気軽に行ってもらえるかなぁと。。
あと、荒川区の中の顔を知っているお客さんとは十分つながれているという感じはあるんです。なので、今回は知らない方、荒川区の近隣にお住まいの方にも興味を持ってもらえると嬉しいなって思いまして、荒川区のランドマーク的な場所にもスタンプスポットとして参加してもらうようにしました。具体的には尾久の原公園、あらかわ遊園、ゆいの森あらかわ、スサノオ神社、この4ヶ所にも参加してもらっていて、この辺りも巡って観光もしながら路地裏探索してみようかな、っていう流れになってもらえると嬉しいなと思ってます。
– ポスターは去年はオレンジでしたが今年は緑ですね。
あまり形を変えずに「今年も花フェスだね」って意識してもらえるようにしています。
お店の名前で花のうずができあがっていて、一つ一つの線がエリアを表しています。
花フェスのパンフレットを持っているとやっぱりお店に入りやすいみたいですし、お店の中でお客さん同士が同じパンフレットを持っていると「あ、あなたも?」みたいなところから会話が始まって、次のお店に一緒に行きましょう、みたいな流れも起きるみたいですよ。
– 参加店舗も多いですし、賑やかになるといいですね。
まずここに住んでいる中の人たちがこの期間楽しかったね、お店の方も喜んでもらえる、賑やかで良かったね、って思ってもらえる。そんな風にしたいですね。
なんかわからないけど人がいっぱい来たね、、という感じだと、外の方たちもあまり印象良くないじゃないですか。
中の人たちが「どうぞー」という感じでウェルカムする雰囲気に自然となるような、そんな感じにしたいですね。
1回目のときから毎年思うんですが、確実にお客さんが楽しい種を運んできてくれるんですよ。「どこ行ってきたよ~」ってね。参加店舗さんには、そういう気持ちをうまく、次のお店に送り出していってもらいたいなぁって思います。
<イベント情報>
第4回 下町 花・フェス 〜小店をめぐるスタンプラリー〜
- 会期:2017年9月25日(月)〜10月15日(日)
- エリア:荒川区内全域(一部足立区/北区含む)
- 主催:下町花フェス!委員会
- 協力:(有)橋本シルク工芸、ホワイト・リバープリンティング
- スペシャルサンクス:(株)トム 柳田信之、(株)エア・シード 井上恵利子
- 後援:荒川区
詳細は以下をご確認ください。
参加店舗マップ:「下町 花*フェス」店舗マップ
公式Facebook: https://www.facebook.com/arakawa.hanafes.2016/
花やMOMO: http://hanaya-momo.net/
※荒川102の取材情報は地図からも探せます。ぜひご活用ください。>>> 「荒川102取材マップ」
(荒川102スポンサード記事)
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