荒川区の銭湯を紹介する銭湯巡りシリーズ。今回紹介するのはその佇まいから人気の高い東日暮里の「帝国湯」さんです。
7月の親子ふれあい入浴の日は7月19日(土)です。 今月のお風呂はココで決まり!
創業は大正5年。その名に負けないど真ん中銭湯:帝国湯(東日暮里)
2010年に放送されたアド街ック天国「三河島」編でも数ある銭湯の中からピックアップされたのが東日暮里3丁目にある帝国湯。
第3日暮里小学校から仲町商店街方面に伸びる通学路沿い、酒屋さんの前にその大きな建物を表しています。
歴史を感じる玄関が特徴で、周りに高い建物もないのでニョキっと立つ高い煙突が目立ちます。玄関の形式は千鳥破風のようですが、反り返ったものではなくて、少し円形の丸みを帯びた形ですね。
煙突は高くてスレンダーな感じがします。建物の前面も広いのですが、奥行きも随分あるんだなーということがわかります。
ガラガラっと引き戸を開けて脱衣所に上がります。番台はやっぱり東京式の1m以上ある高い番台で、浴場をしっかり見渡すことが出来ます。
「番台から見ると、お客さんのお肌の色も分かるから湯加減とかもすぐ把握できるのよ」という理由もあるそうです。
番台の上にはお正月などには鏡餅を置くための台が設置されています。
開放感あふれる脱衣所はやはり歴史を経た建物にしか出せない落ち着いた渋い色合いです。石川県からこの地にやってきた先代の創業者がお湯を開業したのは大正5年と、まもなく100年を迎える帝国湯。その後一度火災に会い、今の建物は約60年前に立て直したものだそうです。
折り上げ格天井が四方から持ち上がっています。裾で桁を支えているのは雲手の肘木。自宅に一つ欲しいですね、こんな部屋(笑)。
脱衣所には建物の完成時に近所の商店さんからもらったというお祝いの額がいくつか掛けられています。こんな立派な額、今なら作りたくても作れなさそうですね。
女湯です。男湯はちょうど配置が真逆の構成になっています。
お風呂は浅いお湯、深いお湯、薬湯の3つのシンプルな構成です。薬湯は結構びっくりするぐらい深くて小さい子どもだと足はつかないかなー。お風呂の周りにはタイル絵の錦鯉たちがゆったりと泳いでいます。
よく見ると、富士山の上を、うさぎが乗った「人参ロケット」が飛んでいます。子どもとの会話につながるものを、というオーナーさんのリクエストに答えて絵師さんが書いてくれたというものだそうです。
絵師さんはもう亡くなられてしまったので、今は毎年絵の上に保護剤を塗ってメンテナンスしているとのことです。うーん、絵師さんがいなくなっちゃうと銭湯の光景ももうなくなっちゃいそう。
こちらは男湯の脱衣所から箱庭側を眺めたもの。ベンチに腰掛けてスポーツ新聞を読んでいれば極上の時間が流れます。
さわやかな風が常に吹き抜けているこの脱衣所で、お客さんはゆっくりと涼を取ります。体の火照りも落ち着いてきたら、最後にまたさっとひとっ風呂入ってから帰る、というのが常連さんの入り方だそうです。
庭には鯉が泳いでいます。少し見つけにくいのですが、池にいる黒いフナは30才を超えているそうです。見つけた方はラッキー。
将棋盤も囲碁盤もあるよー。親子で来て湯上がりに子どもとひと勝負!なんてのも乙です。もちろん子ども相手でも大人げなく全力勝負ですけどねっ(^^
こちらは女湯の箱庭です。縁側はもはや旅館のテラスのよう。普段男湯しか見たことが無いので女湯は女性が喜びそうな感じに整備されているのが印象的でした。テラスのベンチに腰掛けながらのんびりお母さんと娘の会話が交わされるのかな?
オーナーさんが全て自ら手入れをされているという庭。女湯の庭には、都会では滅多に見ることもない樹齢数十年の大きな柊の木があります。
柊といえばあの棘々の葉っぱを繁らせて植え込みに使われているのはよく見ますが、ここにあるのは数mの高さの立派な木。
オーナーさんに教えてもらったのですが、若い柊の葉は棘々ですが、古くなった葉は棘がなくなって普通の円い葉になるんですよ?知ってました? 見たことのない方は是非、こちらの庭に生えている柊を見てみてください。「人も年を取ると棘がなくなって丸くなるのと似てるのよ」とオーナーさん。
ちなみに、木の根本や幹の中間にはいくつか削られたような穴が空いているのですが、これらは、戦争の時に落ちてきた焼夷弾で作られた傷だそうです。戦争の災禍も生き抜いてきた木なんですねぇ。必見。
大きな古時計に昭和27年の入浴者心得。
時計はこの建物が出来た時に工務店さんから贈られたもの。まさしく建物と共に時間を刻んできた時計を眺めながら、ゆっくり時を過ごしましょう。
<銭湯データ>
- 銭湯の名前:帝国湯
- 住所 :東京都荒川区東日暮里3-22-3
- 営業時間 :15時〜24時ごろ
- 定休日 :毎週月曜日
- 電話番号 :03-3891-4637
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