荒川のカフェ:天然酵母のパン屋さん「カフェむぎわらい」で朝食を。(三ノ輪)

三ノ輪の交差点から明治通り沿いに少し区役所方面に向かうと、かわいい木の壁にたくさんのお花が植栽されたお店があります。 そこが「カフェむぎわらい」です。

お店の外は植栽で覆われています。

お店に入ればずらりと並ぶカゴに、かわいい天然酵母のパンがいっぱい。その場でカフェでいただけば、体に浸透するようなおいしさ。。その場でインタビューを申し込んでしまいました。

パンづくりでお忙しい中、オーナーの雅恵さんにお話を伺ってきました。パンや料理をするのが好きで、おいしくて体に良いものをみなさんに食べてもらいたいという思いがあふれるインタビューでした。

 

– お店を始めた経緯を教えてください

最初は習い事をするのが好きだったので、いろんな教室に行っていたんです。おそばをうったり、パンを作ったり。そのうち、天然酵母のパン教室(ラルナッチュ)を知りまして、そこで習っているうちによそのカフェにパンやおかしを作ったりっていうのを先生からお願いされるようになってカフェでパンを出すようになったんです。それでたくさんパンを焼いていたら、今度はほかの料理教室の先生から、イベントや結婚式向けにパンを焼くお仕事をいただくようになって。

マンションでやってたんで狭くなってしまって、工房が欲しいなって思うようになって、折角だからいろいろな食べ方も提案したいなって思って、それでお店も始めたんです。10年目になります。

所狭しと並ぶパンかご達。

 

– もともと荒川のお住まいなんですか?

岐阜なんです。

 

– お店を開けたときは反応はどうでしたか?

最初は何屋さんかわからないって言われて(笑)。 お花もなかったし看板もなかったし、お店もこっそり開けたんです。なんとなく、そーーっと(笑)。
近所の方が来ていただいたんですけど、何屋なんだろう?引き戸だし入りにくいし、まさかパン屋じゃないよね、って。

禁煙だし、自然食っぽいし。私はマクロビオティックや自然食の勉強もしていたのでそういうお料理を作りたいし好きだったんですけど、私がお店始めたころってマクロビとか玄米食とかって、変わり者が隅のほうで食べてるイメージがあったんですよ(笑)。

記者のオススメ、モーニングトーストセット。大きなカップのコーヒーもついて朝から至福の一時が流れます。

でも、マクロの好きな人もそうじゃない人も、同じテーブルでいろんな人が食べれたらいいな、その中にマクロの食事も少し入っていて違和感なくやれればってことでやってたんですけど、やっぱり禁煙なので「カフェでタバコ吸えないことってあるの?」って言われたりして、「すいません、、」って言いながら。。もう少しリサーチしてから選べば良かったのに、と言われました(笑)。

でも、みんなやさしいんですよ。心配して来てくれたり。お店はじめると忙しいじゃないですか?そこに近所のおばさんが差し入れもってきてくれたり、その辺はやっぱり下町なんですよね。いろんなこと言ってくれて、やってくれて。たぶん私が来ないとお店潰れちゃうんじゃないの?って、そんな感じでお店を覗いてくれたりするんですよ。

たばこ吸えないのだって「禁煙マーク外れたら入ってやるよ!」なんて言いながら、それでもたまに来てくれて、「まだ外れないのか?」なんて言いながら食べてくれたりとか。やさしいんですよね。

 

– お店の前のお花が綺麗ですよね

そうですね。あたしはパンを焼くのでいっぱいいっぱいで、やってくださる方がいるんです。

 

– 看板も素敵ですよね

あれもご縁があって、木を作ってやってる人をお客さんに紹介していただいたりして。

かわいい看板

 

– パンを焼きあげるのに2-3日かかっていらっしゃるそうですね

パンをこねて熟成させるのに、作業性の問題はあるんですけど、やっぱり長時間熟成させたほうが、基本的にはそのほうがいいと習ってきたし自分もそう感じるんです。 なので、こねてから冷蔵庫で1〜3日かけてから焼くんですけど、それを発酵器にいれて温度管理して、それから焼いて、ってやるんで、時間はだらだらかかるんですけど、逆にその方がのんびりやれるんです。

 

– 種類が多いから管理が大変そうですね。。?

だからボールがいっぱいで(笑)。工房はボールだらけですよ。

 

– 全部ご自身で焼いてるんですか?

そうです。スタッフも手伝いますが、今も自分で捏ねて、冷蔵庫に入れてから順番に出していくんです。食パン、あんぱん、それぞれ違います。

 

– 朝は早いんですか?

そんなでも無いですよ。パンの焼く量と発酵の具合で、3時だったり4時だったり寝坊したり。。。

 

– 近くにお住まいなんですか?

この上に住んでるんです。

結構心配性なんです。それにパンって発酵器にいれてもデータ通りに行かないんです。種類もたくさんあるんで、このパンは八時間とか12時間とか24時間とかっていうのを同じタイミングで焼くのってどうしても時差が出るじゃないですか。心配なのでちょくちょく発酵器を見にいくんです。開けて、移動させてって。なので大体寝るまでに必ず見て、ああ6時間後にはこうだなって、心配な子がいたら夜中に降りてきてパンを移動させて温度調整したり。。だから通えないんです。パジャマ来ていけるぐらいじゃないと。実は、このお店を始めてから震災が起きるまでは殆どこの建物の中から出たことが無かったんです。建物の中だけで生きていました(笑)。

ほんとに衣食住全部できちゃったんで。買い物いかなくても食べるものはあるし、送ってくれるじゃないですか。で、野菜は八百屋さんが送ってくれるし、着るものも服屋さんが作ってくれたりするんで。建物を出るのは月1回パン教室に顔を出していたのと、かっぱ橋に材料買いに走っていくときぐらいでした。年越しも除夜の鐘を聞きながらお店にいました(笑)。

パンの本だけは沢山あるんです。本屋で立ち読みする時間は無いので、パンとか天然酵母とかマクロとか書いてあるとすぐ買うんです。手元にあると安心してしまって、棚に積んであるだけで見ないんですけど(笑)。

出かけなくてもそこの場所に連れていってくれるんで本っていいですよね。あとは気になるものがあれば通販で頼んだりして。

 

– パンの新作っていつも考えられてるんですか?

実験をするのが本当は好きなんです(笑)。お水を増やして減らして、、ちょっとこれを足してあれを減らして、、先生食べてみて、なんて言うのが大好きなんです。本当はこもって実験して出来たものを見せびらかすのがいいんです。

でもいまでも作りたいものは沢山あるんですけど、いまある以上に増やすことは出来ても減らすことは出来ないので、減らしちゃうとこれどうしたの?って言われちゃうから。やっぱり1人でも2人でも言ってくださる人がいるとね。どんどん増えていっちゃったので。1日焼いてろって言われれれば焼けるんですけどね。

店内右側がカフェになっています。

去年は酵素シロップのかき氷をはじめたんですけど、酵素ジュース飲んでいただきたいし、一方で体に罪悪感無くかき氷食べたいなって思って夏に始めたんですね。でも今度は冬になると暖かいものを食べてもらいたいなっておぜんざい出そうかなって。

ここが自分の衣食住の場所なので、自分が食べたいものを作らないと自分自身が困っちゃうんです。それで取り寄せると、お店だといっぱい送ってくれるから、お店で料理を出して、その中から自分もちょっといただく、みたいなことをやってます。やっぱりお店っていいなって思います(笑)。

 

– 最近荒川区もパン屋さん増えてきましたよね?

そうなんですか?どこかおいしいところありました?私ほんと中々外を歩けなくて。

ほんとに好きなんです、パン屋さんが。行けるものなら行きたいし、食べたいし、人がお店始めるって聞くと「いいなぁ」って思うんですよ。うちのスタッフがお店始めるとかって聞くと。「なんでなんですか、雅恵さんお店やってるじゃないですか?」なんて聞かれるんですけど、ほんと、「いいなぁ、パン屋さんやれて」って思うんですよね(笑)。何か違うんですよね、ここのお店は。

 

– 何か一言お願いできますか?

パンって毎日食べるもので、わざわざ遠くに食べに行くような特別なものじゃないじゃないですか。自分のお店をやるってことは近所のお客さんに来てもらって楽しんでもらって、地元の人にいいなって思ってもわらないとダメだなって思ってるんです。

昔は雑誌の取材なんかも断っていたんですけど、初めて荒川ケーブルの取材を受けたときにお客さんが凄く喜んでくださって。「見たわよ!」って。そういうこともあって、ああ、ここが私の地元なんだな、ご縁があったんだなって思ってます。

10年ぐらい経つとお客さんも年をとられるんで、大丈夫かしら、って心配になったりすることも多いですね。長くつづいているお客さんがいるとそれで地元なんだな、って感じてます。
オーブンと私が壊れない限り、楽しくつづけられれば、って思ってます。よかったらまたお店にいらしてください。


<店舗情報>

  • お店の名前:カフェむぎわらい
  • 場所:東京都荒川区東日暮里1−5−6 マリアージュ三ノ輪 1F
  • 営業時間:8:00-18:30

※荒川102の取材情報は地図からも探せます。ぜひご活用ください。>>> 「荒川102取材マップ」


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