下町企業訪問記#1 – 荒川から世界へ!驚きの「革のような紙」を作り出す印刷会社:plus Orange by オフィスサニー(東日暮里)

間近で見て、手に取って触ってみて、それでもまだ「これが紙でできているの?」と思ってしまう。そんな、独自技術の「革のような紙」を武器に様々な製品を開発し、目の肥えたバイヤーを唸らせている印刷会社が東日暮里にあります。

革のような紙 plusOrange #1

オフィスサニーというその会社に行ってきました。応対してくれたのは社長の奥さまで広報担当もされている高橋さんです。

– 会社の歴史について教えてください。

創業から数えると私で4代目になります。

革のような紙 plusOrange #2
高橋さん

うちの会社は父の代のときの昭和40年に設立されたのですが、その前はウエス業をやっていました。

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日暮里オフィス外観。壁は社長がラッキーカラーだと言うオレンジに塗られています。

父の代では写植屋として、印刷前の原稿を作ることを生業にしていました。荒川区の中でも専業業者として比較的大きくやっていたのですが、B2Bの受注商売でやっていくことや紙媒体が減っていくだろうというのも分かっていたので、印刷機も入れて名刺を刷ったりしていたのですが、受注業だけでなく、自分たち自身で工夫してもっと発信していけることは無いかなと模索していました。

革のような紙 plusOrange #4

– 独自商品が誕生した経緯を教えてください。

まずは名刺の受注単価を上げたいと思い、バーコ印刷という、ロゴマークのところだけ浮いたような印刷ができる機械を買ったのがきっかけでした。

この印刷機はアメリカのバーコ社が開発したものでして、通常のエンボス加工のようなものは裏に凹凸が出来ますが、バーコ印刷では紙の表面が盛り上がるだけなので、貼り箱などにも綺麗に付けられますし、折り曲げても表面が割れたりしません。

そこで、これを名刺以外の他の用途に使えないかなと考え始めたんです。デザインがもともと出来たので、バーコ印刷を使えば革のような印刷ができるんじゃないかな、と考えて実際に試しに印刷してみたら本当に革のようになって自分たち自身が一番驚きました(笑)。

革のような紙 plusOrange #5
近くで見て、触ってみてもまるで本物の革のよう。

そこで、これで何か別の物を製造すれば自分たちで販売できるもものが出来るんじゃないかと考えが膨らみまして、紙というのは通常平面なわけですが、それを立体にしてみたらどうだろう、紙を折ってブックカバーにしてみたらどうだろう、と考えて作ったのが一番最初の商品です。

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印傳のような紙のブックカバー

これを、三省堂書店さんが面白いといって売ってくださいまして、売れ始めました。その後更に、通常は鹿の皮で作られている印傳の柄も同じ技術で作れるんじゃないかと思って色々試してみたら作れまして、これもご好評いただきました。

ただ、バーコ印刷の印刷機は少し粗い部分があって大量にむらなく印刷するのが比較的難しいんです。そこが私たち独自のノウハウになっています。また、この技術は熱処理が必要なのですが、文様によっても熱処理の加減を変えることが必要で、ヒーターが強すぎて燃えたり、なかなか開発のときには苦労しました。熱処理のために機械を使っているときには室内が暑いのですが、夏場なんかは熱中症のような状態になりながらやっていました(笑)。

– 特許を取得されたのですね。

バーコ印刷の技術を活用し、紙をあたかも革のように見せるというアイデアとノウハウの部分について、2年半ぐらい前の駆け出しのころに、その当時としては大金をはたいて特許の申請を行いました。

特許を出すときには実際の取得まで2-3年はかかりますよと言われていて、当時は自分たちが2-3年後にどうなっているかなんて全く分からず、続けていけるのかもわからなかったので、タネばかりまき続けていたんです。その後、何度も拒絶などがあって紆余曲折を繰り返したのですが、それが今年の1月に漸く特許として成立しました。

革のような紙 plusOrange #7
御朱印帳シリーズ

本当は印傳と革のデザインの両方について取得したかったのですが、印傳についてはすでに日本に古来からあるものということで、まずは「革のような紙」というところで成立したというところです。

– これから更に飛躍ですね。

いまは自分たちでplus-orangeというブランドにして広めているんですけど、その他に、自分たち自身で印刷をしてデザインもできるところを活かしてノベルティ制作なども始めています。

最近では、サンパール荒川がリニューアルした際に荒川区があら坊あらみぃをあしらったノートを作ったんですが、それは当社で制作をしました。また、信用金庫さんがお客様にお配りするノベルティを作ったり、デザインだけもらってそれで御朱印帳を作ったりなど、OEM(製造請負)もやったりしています。

革のような紙 plusOrange #8

海外市場も狙っていまして、モダンさを出すために鹿革を使う本物の印傳には無い色合いのものを開発するなどして、うまく海外に発信していきたいなと思っています。

– 次々と新しいことにチャレンジする社風なんですね。

それまで自分たちがやったことのない物販という分野に進出する、ということでもあったので、区役所がやっているような補助金や経営塾など、活用できるものは全て使って勉強しました。

父の代でもウエス業から全く違う印刷業に入ったということなので、業態を180度転換したということになりますが、今回も、社長が新しいことをやらないと会社が潰れる、と言い始めたときには、私は子どもをおんぶしながら毎日名刺の印刷に追われていたときだったので「えぇ、そんなこと起きるの?」なんて思っていました。ですが、社長は絶対に少なくなってくるけど無くなってからじゃ遅いから、誰かがやった後では追いつかないから先にやらなきゃいけないんだ、と言って言い出したら聞かないんです(笑)。

ですが、今振り返ると、社長が言い出したときにあのまま名刺の印刷をやっていたら今頃潰れていたかなと思います。

– 新店舗についてお聞かせください。

JR御徒町駅の高架下にある2k540に出店しました(※2016年4月28日オープン(2k540お知らせリンク))。

革のような紙 plusOrange #9
2k540に開店

もともと以前モノスポで出展したときからいつかはここに入りたいという思いがあり、社長がモノスポで行くたびに事務局に掛け合っていたのですが、出していた企画書が漸くJRの方の目にとめていただきました。

2k450には革や木や金属をつかったお店はあるんですが、紙をテーマにしたお店が無かったんです。うちは紙に付加価値をつけてオリジナルの製品作りをしていることが認めていただきまして、審査はとても厳しかったのですが、今年の4月1日にようやく鍵をもらいました。

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– 最後に会社について一言どうぞ。

うちは私も社長も荒川区育ちで場所もここから全然変わらないんですが、社長のキャラがちょっととんがっています(笑)。

商品開発のミーティングを全員でやるんですけど、下町の人間なのでやるといったらすぐやるっていうところがあります。決めたらやり続けるし、諦めなかった、というのが自慢かもしれません。


最初にオープンした谷根千のお店は検討不足で10ヶ月で閉めることになってしまったと語る高橋さん。

それでも、転んでもただでは起きないぞ、と営業活動やコンテストへの出展、インターネットを使った広告宣伝など、にも粘り強くチャレンジし、書店や大手ストアでの販売など道が開けていったといいます。

荒川区が誇る地元発企業として、これからも日本へ世界へと羽ばたいていってほしいですね!

東日暮里の本社、2k450の直営店、および三省堂書店本店などのお取り扱い店舗(取扱い店舗リンク)では実物を手に取って見れるほか、オンラインショップもありますから、ご自身用はもちろんのこと、ご贈答用、あるいは地元の心を込めたちょっと気の利いた自社ノベルティ用などに、ぜひお試しください。

強い印象を持ってもらえること、間違いなし!です。

革のような紙 plusOrange #11

 


<企業情報>

<関連情報>

2k540 AKI-OKA ARTISAN http://www.jrtk.jp/2k540/


※荒川102の取材情報は地図からも探せます。ぜひご活用ください。>  「荒川102取材マップ」

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