TAO GALLERY – 中国人現代アーティストが伝える日本の伝統。

生地屋や雑貨屋が賑やかに軒を並べる日暮里繊維街。

そんな中に、ひっそりと趣の異なるお店ができました。白を基調にしたエントランスは街の景色に溶け込み、少し注意しないと通り過ぎてしまいそう。

2016-09-25-10-05-06

扉を開けて中に入れば、奥に長く、しっとりとして落ち着いた、それでいて若々しい、気取らない空気が囲んでくれます。

2016-09-25-10-06-22

ここは、来日して数年東京に住む中国人アーティスト、曾超(そう ちょう)さんがパートナーの顧遠航(こ えんこう)さんと一緒に7月にオープンしたアートギャラリー「TAO GALLERY」です。

繊維街に吹く新しい風。気になったのでどんなお店なのか尋ねてみました。

 

日本の伝統文化に興味があり来日

 


– 曾さんはどちらのご出身なんですか?

「私は湖南省の出身で油絵を描いています。湖南省は広東省の上にあって、毛沢東の生まれた地域でもあります。6年前に日本に来て、現在は東京造形美術大学で博士課程に通っています。」

Tao Gallery 曾超さん
オーナーの曾超さん(右)と顧遠航さん(左)。

日本に来たのはもともと日本の伝統文化に興味を持ったのがきっかけだという曾さん。

「日本の伝統文化のすごく良いところは、伝統を守ることだと思います。中国にも素晴らしい伝統技術もあるのですが、伝統を守ることは苦手で、いろいろな伝統が失われました。中国は戦争や革命も多かったとか社会的な原因ももちろんあるのですが、日本は伝統を(変えてしまうよりも)少しずつ改良していくことのほうが多いと感じています。中国よりも伝統はよく守られています。芸術では、創ることも大事ですが、守ることも大事です。」

中国でも個展など芸術活動をしていたという曾さん。日本に来てからも活躍されています。

「私は現代芸術をやっているんですが、2年前に日本のアワードを受賞しました(※CAF ART AWARDS 2014 優秀賞)。」

CAF賞 曾超 受賞作品
曾さんの受賞作品(CAF賞2014 ※クリックすると移動します)

ギャラリーの壁には曾さんが描いた油絵も飾られていました。某大手IT企業の社長にも購入されたといいます。

「これは中国の仮山石を人の顔に模して描いた作品です。もともと仮山石はタオイズムに基いて自然を表現するために作られた人工の石なのです」

タオイズムとは、「道」を重視する老荘思想のことです。世界の全てを陰陽五行によって表現するタオイズムの世界観に関心があるという曾さんは、大学でも道について研究をしており、また、ギャラリーの運営会社の社名である「道株式会社」も、タオイズムの「道」から取ったそうです。

 

TAO GALLERYとは

 

以前銀座の貸しギャラリーを借りて個展を行ったこともある曾さん。その際、展示料が高くてこれでは若いアーティストとかは使いにくいなと思ったのが、自分でギャラリーを運営したいと思い始めるきっかけになったと言います。

Tao Gallery 内観2
奥に長いギャラリー

「自分も作家なので、若いアーティストや職人さんの気持ちも分かるんです。できるだけサポートしたいなと思っていろいろ模索していたらこういう形になりました。」


– ギャラリーのコンセプトはどのようなものなのでしょう?

「価格が安い展示販売の場を提供したいということがありますが、芸術の対象としては伝統的なものも現代芸術も同時にテーマできる場所と考えていて、特に何かが駄目ということは考えていません。また、日本の伝統文化を海外に発信していくこともやっていきたいと思っています。」

Tao Gallery 日暮里 長澤製作所
荒川区の職人の伝統工芸品も。こちらは鍛金の長澤製作所の銅製急須。

いまのところは新しいお店なので友人の紹介などで展示につながる場合が多いそうですが、基本的には話しがあればどんなものでも展示対象にはなるということです。


– なぜ日暮里にギャラリーを開いたのですか?

「値段も安いですし、僕も彼女も下町が好きなのでここが気に入りました。今は西日暮里に住んでいます。以前は新小岩に住んでいました。」

パートナーの顧さんはグラフィックデザイナーで、湖北省の出身。5年前に日本に来日したそうです。曾さんは「とてもやさしいです。」と言います。インタビュー中も、それはとっても伝わってきました。

曾さんは、中国にも下町はあるけど、都市部には無くなっていると嘆きます。

「高層ビルが増えて古いものがどんどん無くなっています。」

 

人間と人間の関係を大事にしながら、日本の伝統文化を海外に発信したい

 

– 芸術はなかなか理解が難しいことも多いですが、どのように楽しんだらいいんでしょう?

「いろいろな技術もある程度分からないとモノの良さがあまり分からないところはあると思います。良い物に沢山観たり触ったり工房見学したりだんだん理解が進みます。これから東京オリンピックに向けて海外の観光客が沢山来ることもありますし、私はこれを良い機会だと思って日本の伝統技術を発信していきたいです。」

Tao Gallery 日暮里 紅珊牙
紅珊牙(べにさんが)。失われた天平時代の象牙加工技法を復元して制作されたもの。


– 今後の展開について教えてください。

「今後は日本のものだけでなく、海外の作家や職人のものも含めた交流展示のようなものをやりたいと思っています。伝統芸術と現代芸術をテーマにしたものを開こうと思っています。」

Tao Gallery 日暮里 ひまわりの種
中国人芸術家の作品も。「ひまわりの種」は一粒一粒手作りの陶磁器。

また、たまにイベントや書道教室をやることもあるそうです。ギャラリーの運営を含め、日々どのようなことを考えながら仕事をしているのか尋ねてみました。

「国と国の関係は人間と人間の関係だと思ってます。下町と同じです。外国人として、それは常に意識しています。」

決して良いとは言えない隣国関係。そんな中でも一人の人間として相手のとの関係を大事にしていきたいという気持ち、その人柄はインタビューの中でも伝わってきました。

インタビューの最後には、手土産も用意してくれていた曾さん。

「下町の気持ちですよ(笑)。」

Tao Gallery 曾超 顧遠航
日暮里から世界へ。

 

遠く中国から来て、荒川の地で、国々のアーティストをつなぐ活動をする。
なかなか簡単に出来ることではありません。

こんな優しい曾さんが運営するほんわか癒やしギャラリー、ぜひ、足を運んでみてください。
きっと、あなたの気持ちに優しく馴染む一品が見つかるに違いありません。


店舗情報

  • 正式名称:TAO GALLERY
  • 営業時間:11:00 – 19:00
  • 住所:荒川区東日暮里5-23-9 東京日暮里ビル1F
  • 電話番号:03-3805-0023

※荒川102の取材情報は地図からも探せます。ぜひご活用ください。>>> 「荒川102取材マップ」


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です