「自分で好きといえるジブン」に。文武両道をサポートするアカデミーを併設:Sports Country Ambista @南千住(後編)

前編:「伸びしろナンバーワン」を目指して – 地域サッカーの現実に立ち向かう、Sports Country Ambista @南千住(前編)

― スポーツ以外のことも身につけてほしい、との思いからアカデミアも併設。


アカデミアは、文武両道の支援に特化したアカデミーのようなものです。

単純に「サッカーがんばった」だけでなく、自分でスポーツ経験に対して意味付けをし、ちゃんと将来のキャリアに向かってどうそこが接合していけるか、サッカー以外のモノで何を身に着けられるか、を一緒に学べる塾みたいなものです。今のところサッカーを習っている女の子たちが通ってきているところなんですが、ウチの一番思いを込めているメイン事業と言っていい事業になります。

ウチのクラブに来ている子たちも、プロにはなれる確率は極めて低いのが現実です。
プロになる子たちは幼少期から然るべき道を歩んで英才教育を受けるのがアスリートの世界。
その現実を踏まえて、私たちは「選手の伸び代ナンバーワンのクラブ」を作りたい。
最も強いクラブを目指すんじゃなくて、「入ってから卒業するまでの成長の幅でいったら東京一」と胸を張って言えるクラブを作りたい。

なので、中学生は基本的にアカデミアにも通っていて、「勉強とサッカーに一緒に取り組む意味ってなんだろう」という問いに向き合ったり、定期テストに向けて目標設定をして、PDCAサイクルの回し方やモチベーションマネージメントの方法などを学んでいきます。

 

― 目指すゴールはすべてココ。「自分が好きといえる自分」になる。


元々、「女の子がサッカーする価値って何なんだろう?」という問いからアカデミアは始まっています。

女子サッカーのワールドカップ優勝の話でも、プロになるという事は、凄まじくハードルが高い事で、プロの中で日本代表になるなんて、もっともっと凄まじい事で、日本代表で世界一になるなんて、宝くじ1等当たるより難しいんじゃないかくらいの、凄まじい確率でなった超トップ・オブ・トップのアスリートです。
それなのに、その人たちが「日中にスーパーでレジ打ちしながら月収20万円で、頑張ってナイター練習と土日の練習だけ行って世界一になりました」という状況に対して、子ども達に「夢持って目指せよ!」と言っても、「いや、ちょっと夢持てないよね、、、」っていう。

それでも私達は、サッカーに対して青春を捧げる意味はもちろんあると思っています。

アカデミアでは、「世の中はこれから変わってくるから、今までの常識はもう全く通用しない時代になっていきますよ」と言っています。
大学入試は偏差値入試ではなくなり、国立大学もAO入試をや面接を入れていくとか、どんどん動き始めている。学校歴よりも、中で何を学んだのかが問われていく。そんな時代背景を踏まえて、「文武両道の価値」を子どもたちと一緒に探しています。

つまり、「答えが用意されている問題に対して頑張って答えを出して○×で点数を付ける」という感覚ではなく、「答えが無い問いに対して自分なりに答えを作ってアクションを起こしていけるか」が大切な時代になる。
アカデミアでは、勉強とスポーツ両方を通じて「自分で好きと言える自分」になれるように、中学校3年間で色々な挑戦を繰り返していきます。

なので、アカデミアでは教科教育は全然教えていないし、スポーツも教えていません。
学力を自分で高められる人間になってほしいし、自分でスポーツ技能を高められる人間になってほしい。
そのためには目標設定やモチベーション・マネージメントをすることが大事なので、PDCSサイクルの回し方、プレゼンテーション、グループワーク、といった、学校ではなかなかやらないソーシャルスキルを学んでいます。

アカデミアの教材は、私が東京未来大学でキャリア教育を担当していた時に、大学4年生に教えていた事を、中学生用に噛み砕いてつくっています。その中では、女性のキャリアに関連する「生涯賃金」「ライフイベント」「業界・業種・職種」「出産と仕事」といった内容にも踏み込みます。

大学生レベルのインプットをしたうえで、「じゃあ、あなたはどう自分のキャリアを築いていきますか」みたいな話をしていく。教室はみんなノリノリですよ(笑)。

 

― 大人のプレゼンに対して質問の取り合い。大人と子どもが相互に刺激をもらえる空間に。


アカデミアでは、様々な形で絶対唯一の答えがない問いに対して、自分なり答えを出し、それを他の人に納得してもらえるように伝えるという練習を毎週繰り返します。

この前は、大人の2人の女性に来てもらいました。
1人が、20代後半で仕事を辞めて世界一周に出て放浪して、今はフリーで仕事をして自由奔放な女性。
もう1人は、バリバリ働いていたけれど結婚・出産・子育てで仕事を辞めたけれど、もう1回このタイミングで、自分の人生を見つめなおして働き始めた女性です。

2人に自分の事をプレゼンしてもらって、「質問のある人」って聞いたら、一斉に手を挙げてきて、質問の取り合いになったんですよ(笑)
本当に子どもはピュアなんで、大人達が「あー、そうか」と気付かされることも沢山。
大人にとっても子どもにとっても学びにあふれた空間になっていました。

 

― サッカーは辞めてもいい。自分自身の幸せをつかめる女性になってほしい。


私たちは、プロフェッショナル教育をする場ではありません。サッカーを通じて身に付けた何かで魅力的な女性になってほしいし、自分自身の幸せを掴める女性になってほしい。
なので、スポーツ界でよくある「なにがなんでも絶対にやめんな!やりきれ!!」とは少し温度感が違って、「道具として、サッカーというスポーツを使えばいいんだよ」という関わり方をいつもしています。

でも、本気で目標を掲げて努力をするとか、大会で勝ち負けの感情の揺れ動きがあるっていうのは本当に貴重な経験です。大人になってからはなかなかできない経験を本気でしてほしいからこそ、、目標の達成(勝利)に向けて頑張らせはします。でも、結果がどうなっても、どうってことはなくて。勝ったら嬉しいし、負けたら悔しいね。「じゃあ次どうする?」っていうだけです。結果はあくまで、通過点でしかない、っていうスタンスでウチはやっています。

 

― ジェフ千葉の下部組織にも勝利。「今ウチめっちゃ強いです(笑)」


ただ、なんやかんやちゃんとこういう事をやってきた結果、、今のウチはめっちゃ強いです(笑)

勝手に強くなります、子ども達が自分で目的意識を持って練習するし、やらされている訳でもないし、勝ちたいと思わされている訳でもないから、もう全てが自分の意思で動く子達が勝手に育っているので。今年は、パンフレットにも書いていますが、女子は東京都大会で優勝し(※2017年の東京都中学女子サッカーリーグ3部(U-15)/5部(U-13)でそれぞれ優勝)、男子も東京都で初めてベスト16までいきました。勝手に育ってます(笑)

法人2年目で結果が出たのはありがたいし、子ども達の伸びしろも凄いです。
でも女子サッカーはまだまだ未完成なので、奇跡も起こせます。
今年は、ジェフ千葉というJ1の下部組織にも勝ったんですよ。奇跡です(笑)
運だけじゃ勝てないので、凄い事なんです。

 

――2018年の抱負を聞かせてください。


「スポーツ×マチづくり」を掲げる法人として、縦への事業展開はどんどん広げていきたいと思っています。

スポーツの出会いや絆は子どもだけのものではない。
移民だらけの東京という街で、なにかのご縁で同じ時代を同じ地域で暮らしているんだから、ココが「第二の故郷」だと思えるような街を作りたい。
街を歩いていて「あ、こんにちはー!」みたいな自然なあいさつが飛びかう街を作りたいです。

スポーツを通じてちょっとでも知った事がある、一緒に身体を動かした事がある、という人たちがこの街で挨拶を交わして「今度あれ行きます?」みたいな会話がナチュラルに出来るようになるのが究極の理想です。
そういう大人の方を対象にした、スポーツ事業というのは力を入れてやっていきたいなと思っています。

 

インタビューの翌週、私はアカデミアに“オトナ”オブザーバーとして参加をしてきました。

石尾さんからの、ひとつひとつの問いかけに、子ども達の手は次々に挙がり、そこは中学校の教室とは違う活気に満ち溢れていました。

1人1人のスピーチには、真直ぐな夢もあれば、見えない未来への葛藤もあれば、現在抱える素直な思いもありました。そのどれもが、誠実で、あけすけで、そして力強いプレゼンでした。学校とも、塾とも、クラブ活動とも違う、空間と人間関係がそこにはありました。

また、普段の生活の中では決して交る事のないオブザーバーとの交流も、これからは教室ではなく、子ども達が好きなサッカーで出来る日が来る事を予感させていました。

サッカー、または様々なスポーツ、もしくは好きな事で絆が出来る場所がここからもっと広がるかのように。


<企業情報>

  • 企業名:NPO法人Sports Country Ambista
  • 住所:東京都荒川区南千住2-19-2幸生桜レーベン3階/4階
  • 電話:03-5615-2390
  • Eメール:info@ambista.org
  • HP:https://sports-country-ambista.squarespace.com/

※荒川102の取材情報は地図からも探せます。ぜひご活用ください。>>> 「荒川102取材マップ」


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です