「伸びしろナンバーワン」を目指して – 地域サッカーの現実に立ち向かう、Sports Country Ambista @南千住(前編)

学生の頃、夢中になったスポーツはありますか?
野球、サッカー、バスケット、テニス、、、もしかしたらもっとマイナーなスポーツにハマっていた方もいるのかもしれません。
あるいはスポーツは苦手で、絵を描いたり、楽器を弾いたり、小説を書いたり。

そして、それを幾つまで続けていましたか?
プロになれないからと、辞めてしまってはいませんか?
時間が出来たから、またやりたいと思った事はありませんか?
好きな事からは、色々な事を学べて、見知らぬ人と出会わせてくれたりはしませんでしたか?

 

三ノ輪橋駅と南千住駅のちょうど真ん中あたり、昼夜問わず車が走る道を横道に逸れた静かな通り沿いにある幸生桜レーベン(旧国際電気ビル)にあるSports Country Ambistaは、2016年に設立されたNPO法人。

「選手の伸びしろNo.1クラブ」を掲げて文武両道のスポーツ教育を推進しており、法人設立2年で、運営する荒川区の少年サッカークラブFC LIGARと女子サッカーチームFC HERMANAが各種大会で優勝するなど、急速に実績を上げています。

Sports Country Ambista Ambista Times

今回、お話を伺わせていただいたのは、サッカークラブの指導者であり、NPO法人Sports Country Ambistaの代表理事である石尾潤さん。

大阪出身の石尾さんは、高校時代は久我山高等学校へ進学してサッカーに熱中。全国高校サッカー選手権でベスト8入り。その後、早稲田大学に現役合格した経歴を持ちます。

Sports Country Ambista 代表 石尾さん
石尾潤さん

幸生桜レーベンの階段を登り、4F右手にある扉を開けると、DIYを施したと思われるセミナールームがあります。セミナー用の机の他、書籍の棚も。棚には、スポーツや教育の書籍だけでなく、経営論などの書籍もあります。
「全て自分が眼を通した本で、興味のある中高生に無償で貸しています」と、石尾さんは爽やかな笑顔で案内をしてくれました。

 

― 大学在学中に指導者としてのキャリアをスタート。


早稲田大学在学中に、東京都多摩市にあるサッカーチームで4年間指導者として月給を貰って働きながら、日中は学生をしていました。

それまで22年間ずっとサッカーで生きてきて、選手・指導者としてある程度の評価を得られて、何かしら居場所を持てていました。ですので、サッカーの指導者として就職する道ももちろんあったんですけれど、裸になった自分がビジネスマンとしてどこまで戦えるのか試してみたくて、一般企業に就職したんです。

新卒入社した学校法人三幸学園では、堀切の東京未来大学でキャンパスアドバイザーとして3年間働きました。就職後しばらくはサッカーの指導者はスパッと辞めていたんです。

Sports Country Ambista 練習光景1

ですが、「ボランティアとして手伝ってほしい」という話しが就職1年目の冬くらいにあって、「ボランティアならいいですよ」と言って、仕事の休みの日だけサッカーの指導者のお仕事をもう一度始めました。

ボランティアとして週1回しか行っていなかったのですが、「石尾がまたサッカーの指導を始めたらしい」という噂が知り合いの中でなんとなく広まり、この法人を始めるキッカケにもなった女子サッカークラブの代表から「女子サッカーをやっているんだけれど手伝ってほしい」と連絡をいただきました。

 

―当たり前が当たり前でない女子サッカーの世界を目の当たりに。


当時会社は好きでしたし、仕事は本当に充実していました。このまま長く働いていこうと思っていたんですが、偶然足を踏み入れた地域女子サッカーの環境は想像を絶する状態でした。

自分が男子としてサッカーをしてきた分には、環境などの問題で不自由を感じた事は1度もありませんでした。

放課後にサッカーボール持って校庭にいれば友達なんて勝手に集まってきたし、本格的に習いたいと思えば自転車圏内に3~4チームくらいあって、指導者も同級生もいて、練習場もある。小中高大どのステージでもそれはすべて当たり前でしかなかった。
しかし、女子サッカーの世界に入ると、そのすべてが当り前ではないことに衝撃を受けました。

Sports Country Ambista 石尾代表2

自分にとって当たり前が当たり前じゃない人って世の中いるんだよ、みたいな話は昔からよく聞いていましたが、自分が本当に、そこに当事者意識を持ってアクションを起こした事って、恥ずかしながら1回も無くて。
この時初めて、自分と同じスポーツを愛しているのに性別が違うだけでこんなにも大人社会から与えてもらえるものが違うのはおかしいって自分を突き動かすなにかがあったんです。

当時私は週1回のボランティアとして関っていたので、たまに仕事が休みの時だけ来て偉そうにサッカー教えているこの中途半端さはなんだ!(笑)というジレンマが始まり、ガッツリ手伝うのか、スパッと辞めるかにしないとと思い始めました。

 

― 「サッカーを愛する少女たちに最幸の環境を。」NPO法人の設立を決意。


女子ワールドカップで日本が優勝したのが2011年で、その時幼稚園生とか小学校1〜2年生だった子供たちを中心に、サッカー面白そうって始めた女の子は増えました。
ですが、結局そこだけ少し増えてその後の世代は続いていないし、上の世代も少ない。
男子を飛び越えて世界一になったトップチームに対して、地域が全く追い付けていないのが現状です。

荒川区で調べても競技人口は0.7%とかで、中学女子サッカークラブは荒川区全体でウチだけです。
東京23区ですから、全国的に見れば人口は多いし恵まれている環境だけれども、それでも選択肢は非常に少なく、多くの女の子は男子チームに混じっているというのが現実です。

始めるキッカケとしては全然何の問題もないし、低学年くらいまではなんの問題も無くやれるんですが、高学年になってくると努力では埋められない差が男子と出始め、居場所を失っていく女の子が沢山います。
結局、サッカーを通じて得られる喜びとか感動とか自己肯定感の高まりを感じられる回数が学年が上がる毎にどんどん減っていき、中学に上がる時には、公立中学校で女子サッカー部があるところなんて1個も無くて、ウチに入るか辞めるかしか無いっていう状況だったんです。

Sports Country Ambista 女子サッカー

別のスポーツに転向している子たちが、「小学校からサッカーやっていて、やりきった」とか「次は別のスポーツやってみたい」というポジティブな理由でやっているなら全然いいんですが、環境がないから、という理由でサッカーを辞めていく子がたくさんいることを知りました。

その時私は25歳だったので、ここでチャレンジして5年頑張って無理だったとしてもまだ30歳。そこから転職なんて全然いける、と。こんな現実を知ってしまったのに、それを見て見ぬふりをしてしまう大人の1人にはなりたくないと思い、仕事を辞めることにしました。

 

― アンビスタ(Ambista) = 志高き人材を荒川区から世界に。


スペイン語でアンビシオンが志という意味。○○ニスタというのが○○な人という意味なんですが、我々はスペインのサッカーが好きだったので、そこから法人名はとりました。
志高き大人たちが集まる場にしたいという思いと、志高き人材を荒川区から世界に輩出したいという二つの意味を込めました。

今は子ども達を対象とした育成スポーツが事業の中心となっていますが、これからは生涯スポーツ、福祉・健康スポーツなどにも積極的に事業を展開していくつもりです。

Sports Country Ambista パンフレット

サッカーからスタートはしたんですけれど、そこにこだわっている訳ではありません。
やっぱりスポーツだけが持っている本質的な力って、人と人を心で繋げるという事だと思っています。

私は、プロになるためだけにずっとサッカーを頑張っていたけれど、結局その夢は叶いませんでした。
でも、サッカーをやっていた事が無駄だったかと思うと、全くそう思っていません。

結局、サッカーのスキルじゃない人生で必要なものをサッカーから教わってきたし、そこで得た繋がりや絆が今の自分にとって凄く大切な宝物になっています。
スポーツならではの感情の共有、勝って嬉しい、負けて悔しい、勝つためにどうする。みんなで考える、話し合う。そのプロセスの中に宝物があると思っていて、それを使って荒川区を1つにしていきたいというのが、私が1番思っている事です。

まずは、自分がやっていたからサッカーから始めましたが、すでにチアダンスやヨガ教室など、他のスポーツにも展開を始めています。

Sports Country Ambista ヨガ教室

今後は、世代を越えて本来出会うはずのなかった地域住民の皆さんが、スポーツというキッカケを経て出会い、絆を育み、共に手を取り合いながら心身共に健康な生活を送っていくように。そんな温もりのある地域コミュニティをここで作っていきたいなと思っています。

> 後編:「自分で好きといえるジブン」に。文武両道をサポートするアカデミーを併設


<企業情報>

  • 企業名:NPO法人Sports Country Ambista
  • 住所:東京都荒川区南千住2-19-2幸生桜レーベン3階/4階
  • 電話:03-5615-2390
  • Eメール:info@ambista.org
  • HP:https://sports-country-ambista.squarespace.com/

※荒川102の取材情報は地図からも探せます。ぜひご活用ください。>>> 「荒川102取材マップ」


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